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渋谷グランベルホテル Cozy Suite

 
Granbell Hotel Shibuya 2010.10.04(月)
東京都渋谷区 楽-3

ベッド

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大きな窓


この界隈には頻繁に出掛けるのだが、グランベルホテルに泊まる機会はなかった。泊まろうと思えば、いつでも泊まれたのに、実際のところは泊まりたくなかったのである。

オープンした頃は、何度か食事に立ち寄った。夜のバーにも顔を出したことがある。これが上海の下町あたりにあれば、なんとなくエキゾチックだと思えるのだろうが、知り尽くした街の中では粗だけが目立ってしまうことを痛感した。

都会的でシックなブティックホテル。まさにその通りのホテルだと思う。スタイリッシュさを前面に出し、渋谷の隠れ家的なニュアンスもある。それなのにいまひとつ魅力を感じないのは、表面的なことを繕うには余念がなくとも、それを隅々まで行き届かせるという心意気が足りないからだ。

外観

ホテルは変形の窮屈な敷地に建っている。先に本館ができ、後から新館を増築した。それぞれの建物は基本的には独立しており、各階に接合部を設けて一体化させている。

余談だが、新館がある場所には、かつて趣きのある古いビルがあった。そこには個性的な飲食店やカフェが入居し、渋谷の裏通りらしいアーティスティックなムードがあった。その頃が懐かしい。

エントランス

ここ桜丘町は坂の多いところ。加えて道路が狭く、ほとんどの道が一方通行だ。ホテル正面玄関も細い坂の途中にある。狭い道だが、通行量は多い。

エントランス

一見して、ここがホテルだと気付く人は少ないだろう。正面にはカフェバーがあり、その脇に館内へと通じるユニークな扉がある。扉が閉じている時はまるで壁のように見えるが、隅を押し開くと忍者屋敷のどんでん返しのように回転する。

館内に入るとすぐにフロントカウンターがある。それはとても小さく、レストランのレセプションのよう。背後には白いソファがあるが、その他に待ち合わせやくつろぎのスペースは見当たらなかった。

サービスは想像していたよりもずっとよかった。物腰も上品だし預けた荷物の扱いも丁寧で、シティホテルに近いものを感じさせる。

客室階廊下

客室へは、本館、新館ともに、フロント脇にある2基のエレベータを利用する。本館は3階から13階まで、新館は3階から8階までに客室がある。

客室階廊下は、まるで宇宙的なアトラクションの内部のようにダーク。これなら、廊下で人とすれ違っても、顔を悟られずに済むかもしれない。お忍び客が愛用しそうな雰囲気だ。

今回利用したのは、新館8階に4室並ぶメゾネットスイートの中のひとつ、コージースイート。4室の新館スイートは、すべてレイアウトや広さが異なる。

スイート利用のプランを予約したが、どのスイートになるかは、ホテル側に委ねるというもの。他のスイートがどんな造りなのかわからないので、当たりなのかそうでないのかもわからないが、この部屋も悪くはない。

下階リビング

客室ドアを入ると、すぐにリビングスペースがある。L字のソファとユニークな丸テーブル。ソファの背後には間接照明があり、壁を妖しく浮かび上がらせている。ソファは小さく、カラオケボックスの個室のよう。ここにふたりで掛ければ、いやでも親密さが増しそうだ。

キャビネット

ソファ脇のキャビネットには、エスプレッソマシンと十分な種類と数のコーヒーカセット、ミネラルウォーター、カップ&ソーサー、グラスなどが用意されている。また、24時間ルームサービスに対応してるが、内容はフィンガースナックなどが主で、この辺もカラオケボックス的。

カーテンは電動。外には芝が植えてあったのだろうが、今はその残骸により禿山状態。こういうみっともないところがいけないのだ。枯れたならさっさと撤去し、見苦しくないように整えるべき。せっかくソファでねんごろになっても、カーテンを開けたとたんに興ざめ、なんてことにならないようご用心。

また、カーペットが非常に汚い。レストランの厨房出入り口並みだ。とてもじゃないが、素足では歩けない。清掃は完全に落第だ。

枯れ山とらせん階段

階下の面積は14平米。ソファセットとテレビ、そして上階へのらせん階段だけでも窮屈なほど。らせん階段は傾斜がきつく、上がりにくい。まして、重い荷物を上階のクローゼットに運ぶのは容易でなかった。

らせん階段の奥の壁はミラー張りになっているのだが、こちらも埃だらけで汚らしかった。清掃ができないのなら、ふつうの壁にすればいいのに。

上階

上階は斜めのガラス窓がユニークな、ロフト的スペース。約41平米あるので、下階に比べると広いのだが、斜め壁ならではの圧迫感からは逃れられない。階段上の、白い格子ガラスで囲われた箇所はウォークインクローゼット。内部は狭が、窓に面しているため昼間は明るい。

上階

居室には手前からソファ、テレビ台、ベッドという配置。困ったことにライティングデスクはどこにもない。それどころか、テーブルさえないのである。いったい何を考えてデザインしたのか。

上階

ソファは2つ仲良くテレビを見るような向きに並んでいる。テレビの台は大きいのだが、これはテレビが回転できる仕組みになっているため。下にはオーディオが収められている。

ソファ

唯一、パソコンを広げられそうなのは、ミニバーキャビネットの上。そこにもアナログレコードプレイヤーなどが並んでいるが、それをどければなんとかスペースは確保できる。イスはないので、仕方なく立ったまま作業をした。

レコードプレイヤー

ベッドはまずまずの寝心地だった。マットレスはシモンズ。ベッドリネンも悪くない。窓側の壁はかなり切迫しており、ベッドから窓際に立つ時は、頭をぶつけないよう十分な注意が必要だ。

ベッド

床は全体に艶やかなフローリングで、いい味を醸している。窓も床から天井まであっていい。カーテンはなく、引き戸で完全に遮光される。

床と窓

ベッドボードの奥はレンガ造り。これが山小屋のような雰囲気を演出する。そこに仕込まれた間接照明も効果的だ。ベッドの脇はバスルームの開口部があり、引き戸で閉じることもできる。

ベッドとバスルーム

バスルームは広々としており、一見、機能的にも充実している印象があるが、やはりホテルデザインに関しては素人が設計したらしく、詰めが甘い。

バスルーム

バスルーム入口のガラススイングドアは、重たいだけで不便。トイレは入口正面に曇りガラスで仕切られたブース内にあるが、床面までをガラスで覆うべきだった。

バスルーム

バスタブはベッドと平行に設置。ユニークなデザインだが、プラスチックでベコベコ。まるで縁日の金魚すくい用水槽みたいだ。奥にあるシャワーブースには、ハンドシャワーとレインシャワーを備えているのはいいが、ブースが狭い上に、下部から水漏れするので使いにくかった。

鳥オブジェ

バスタブの脇はベッドボード奥と同じ煉瓦造りで、鳥のオブジェが飾っている。これが一番気が利いてると感じた。間接照明もいい。

ベイシン

ベイシンは1面だが、スタイリッシュな天然石を使っている。ミラーも立派で、この周囲が一番雰囲気がいい。ベイシン下にはタオル類が置いてあるが、すべて薄くボロボロだった。バスローブは壁に掛かっている。

バスアメニティ

バスアメニティはとても充実している。入浴剤や基礎化粧品まで、急な宿泊にも十分対応できる内容だ。

朝食は2階にあるテナントレストラン「にんにん」で提供される。800円だが、内容にその価値はない。明らかにやる気がなく、仕方なく営業しているという感じ。

客層は外国人が多い。そして、このホテルは昼よりも夜の方が圧倒的に似合うと思った。

昼の窓からの眺め

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渋谷グランベルホテル

このホテルに関する過去のレビュー

初登場のため、過去のレビューはありません。