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オキナワ マリオット リゾート & スパ Crown Suite | |
Okinawa Marriott Resort & Spa | 2010.06.25(金) |
沖縄県名護市 | 喜-4 |
ARCHIVES ・ 1992 |
新宿以来の再会 オキナワマリオットを訪れるのは今回が初めてだ。いつかは泊まってみようと思いながら、馴染みのブセナやイルカのいるルネッサンスを差し置いて予約を入れる勇気がなく、いつも最終候補に残りながらもマリオットに決めた試しがなかった。 だが、今回の沖縄訪問は、このホテルを訪ねることこそが最大の目的である。初めてのホテルに泊まるためではない。久しぶりに会いたい人がここにいるからだ。 その人は以前、ヒルトン東京のエグゼクティブフロアの責任者をしていた。エグゼ階の改装が済み、新しいラウンジの完成とともに着任した彼女には、何かと厳しく接し続けてきた。それだけの不手際があったからなのだが、責任者である彼女が矢面に立たされる機会がどうしても多かった。 ある日、彼女の夢を見て、どこか遠くへ行ってしまうような予感がした。次にヒルトン東京に滞在した際、その夢の話をすると、彼女は笑いながらも、実はとヒルトンの退職を切りだし、最終日には、沖縄で会いましょうと言って別れたのだった。今回は、その約束を果たすための旅である。 予約の時点では彼女が気付かないように細工をしてある。せっかくなら突然行って驚かせたかった。また、あらかじめ知らせないのにはもうひとつ理由がある。それは、余計な気を使わせないためである。特別な計らいを期待しているように思わせたくないし、実際のところ、知らせておいて何の計らいもなしでは逆に寂しい思いをするからという気持ちもあった。 那覇で借りたメルセデスに乗って、マリオットの正面玄関に到着。エイサーのような格好をした年配のドアマンに、素朴な感じの出迎えを受けた。名前を尋ねられ、リストと照会してスイートの客とわかると、車はバレーパーキングに回された。 館内に入ると、少しロビーで待つようにと言われた。フロントデスクはメインエントランスの脇にあり、広いロビーに対してとてもこぢんまりとしている。ロビーの天井はガラス屋根で、自然光がたっぷりと降りそそぐが、何か不具合があるらしく工事が始まろうとしていた。 床は何種類もの大理石を使ったパターン模様。あまり上品とはいえない感じだが、気合いの入った豪華さは伝わってくる。一角にはロビーラウンジ、中央付近にはフリーでくつろげるソファセットがある。 インテリアの趣味はなかなかユニーク。沖縄の宮廷風、はたまた中国風とも受け取れる装飾が、館内のあちこちを彩っている。かと思えば、西洋の古城かと見紛う場所があったり、アメリカンスタイルのホテルならではの雰囲気だったり、ここには統一感を求めず、何でもありの広い心で楽しむべきかもしれない。 そして、ロビーの一角には座ったまま手続きができそうなレセプションデスクのあるスペースが設けられており、ここでチェックインをするのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。 やがてベルアテンダントから声が掛かり、チェックイン手続きのため、14階のコンシェルジュデスクへと案内された。エレベータは4基。変わった配置だが、うち2基はシースルー。内部もまたゴージャスな感じだ。 14階に降り立つと、正面にコンシェルジュデスクがある。本来は廊下でしかない場所に、むりにデスクを設置したという風にしか見えず、これではスタッフも居心地が悪いに違いない。 そこで出迎えたのが、ヒルトン以来に会う、今はマリオットのヘッドコンシェルジュになった彼女であった。彼女にとっては突然の再会だったわけだが、作り笑いではなく、本当に喜んで歓迎してくれた。ヒルトンにいた時より、ずっとリラックスした表情になり、元気に活躍している様子。はるばる訪ねてきた甲斐があった。 チェックインは、彼女の手によりスムーズに行われた。初めての滞在なので、館内設備のこと、エグゼクティブフロアの特典のことなどを細かく聞いた。 コンシェルジュデスクの向かいには、エグゼクティブラウンジがある。エレベータホールの裏にある空きスペースに取ってつけたようなラウンジではあるが、朝6時から深夜12時まで、長時間にわたり営業している。 ラウンジは14階と15階に分かれ階段でつながっており、それぞれ数卓のテーブルやイスが置かれている。ソフトドリンクは営業時間内ならいつでも、また時間帯によってフードサービスやアルコールサービスを実施している。 客室階は、エレベータホール付近に吹き抜けに面したガラス開口部があり、そこからV字に二方向へと廊下がのびている。カーペットは中国の段通を思わせる東洋的なデザインだ。 今回利用したクラウンスイートは、最上階を除く各階の先端部分に位置する109平米の客室。両開きの立派な扉を入ると、簡単なホワイエがあり、ガラスの両開きスライドドアを通ってリビングルームへと通じている。 リビングの床は大理石張り。入口正面にはキャスター付きテーブルがあって、それが最初に目に入るのだが、何も載っていないので、引っ越し直後の部屋のようでやや殺風景に感じた。その奥がダイニングエリアで、小さなシャンデリアが下がっている。 窓側にはソファを配したシッティングエリアを設け、そこにはペルシャじゅうたん風のマットを敷いている。窓の片隅に置かれたテレビは26インチで、ビデオオンデマンドも無料。天井高は270センチあるのだが、部屋が広いためか、さほど高くは感じない。 ダイニングテーブル近くには、ミニバーキャビネットがあり、ミラーとブラケット照明が添えられている。ミニバーや冷蔵庫の品揃えは標準的。ミネラルウォーターとドリップコーヒーは無料。カップ&ソーサーには「喜璃癒志」と印字されている。 シッティングエリアのソファは2種類。3人用のロングタイプに加え、ひとり用がふたつ。いずれにもクッションが添えられ、中央の丸テーブルを含め、全体にどっしりと重厚感がある。 ライティングデスクは入口脇に設置。どちらかというと簡易的で、あまりデスクワークに適した環境にはないが、LANの接続口があるのはここだけ。色の合わないアームチェアがひとつ置かれ、もうひとつ向かい合っているイスは、ダイニングのものがここにひとつ来ている。 バルコニーも広く取られ、木製のイスとテーブルが置かれている。しかし、半ば朽ちており、迂闊に座れば服に色が移りそうな感じ。また、バルコニーの水はけが悪く、いつまでも水たまりが残っていた。 窓を開けると、室内はたちまち結露する。大理石の床も、木製家具の表面も、ガラス面も、あらゆる場所が白く曇ってしまうので、なかなか窓を開け放とうという気にはなれなかった。 家具は見た目には装飾的で華やかだが、品質はさほどでもない。廉価な商品を扱う輸入家具店で多く見かけるような品物ばかりであるが、稼働率が高くないのか、傷などは少なく、状態は悪くない。 ベッドルームはフローリング床になっており、広大な印象のあるリビングに比べると、ほどよくコンパクトで落ち着く感じ。こちらにも水はけの悪いバルコニーがあり、プールサイドにあるような寝椅子が置いてある。 ベッドはキングサイズが1台。厚くてやわらかいマットレスに、滑らかな肌触りのベッドリネンを使い、6つの枕を置いている。ベッドサイドにはウォークインクローゼットがあり、収納力も十分だ。 窓際には、窓を背にしてオットマン付きソファがふたつ並んでいる。間には丸いコーヒーテーブル。とにかくこのスイートには、イスの類が非常に多い。部屋全体のイス類をすべて数えると18脚にも及ぶのだが、やや過分ではないのか。 ソファの前には、ドレッサーとチェストが並んでいる。どちらもヨーロッパ調のデザインだが、フローリング床の色調と近すぎるように感じた。こうしたインテリアの中では、液晶テレビも浮き上がってしまっている。 さて、このスイートで最も魅力的なのは、やはり何といってもバスルームだ。解放感たっぷりの白亜のバスルームには、長い時間をここで過ごしたくなるような設備が整っている。 ベッドルームから両開きのガラススイングドアを抜けると、バスルームがある。2面の窓を持ち、それぞれにバスタブとシャワーブースが面しており、いずれからも周辺の木々や青い海がよく見渡せる。 ベイシンは1面で、天然石製の長いカウンターを持っており、アームチェアが置いてある。トイレは石の仕切りの向こう側。全体に白い大理石が明るい印象を作っている中、茶色の石はあまり合っていない。せめて黄色とかグレーにすればよかったように思う。 バスタブは大型で、ブロア機能を備えている。窓台の高さとバスタブの縁が合っているので、入浴中も視界が開け、開放感を存分に味わうことのできる設計だ。バスタブ周囲に十分な空間があることも、ゆとりを感じさせる。 シャワーブースも同様に開放感のある設計だが、こちらにはちょっとした不都合もある。まず、天井から垂直に吊り下げられたシャワーヘッドだが、この品にこのような設置方法は想定されていないはずである。本体に水流のコントロール機能が付いてるため、使用中に調整しようとして上を向くと、目に水が入ってしまう。また、水流があちこちに広がるので、当てたいところに当たらないもどかしさがあった。 そして、窓とシャワーブース扉の位置関係も悪い。シャワーブース脇の窓は、ブースの扉を閉じても、窓の一部分がブース内になる。そのため、シャワーを浴びると窓も濡れてしまう。それだけならまだしも、視線を遮るためにブラインドを下ろしていると、そのブラインドとびしょ濡れになり、この高温多湿の環境で、ひどくカビだらけになっているのだ。 シャワーを浴びる度に、カビとご対面では気分が悪い。これを避けるには、シャワーブースの扉が、窓部分より向こうに行かないように、止め具を設置すればいい。そうしても、ブース内の広さは十分に保たれる。 バスアメニティはマリオット共通のブランドで揃っており、細かいアイテムも充実している。ソープバーには消費期限が記載されているのだが、その期限が目前に迫っているのには驚いた。フレッシュさが自慢のソープというより、単に古いものが余っているようだった。タオルは4種類が4枚ないし3枚ずつ用意されている。 バスルームのトイレの他に、リビングの奥にも開放感たっぷりのトイレがある。部屋に案内された際に、「一番大切な注意」として、トイレのカーテンを引かないと、上階から「丸見え」だと説明された。確かに、下層階のトイレ内が「丸見え」なので、気を付けなければなるまい。こちらのトイレにも、アームチェア付きベイシンと、十分なタオルが置かれている。 ホテル自慢のガーデンプールは、なんと長さが170メートル。途中途切れている箇所もあるが、確かに広い。大磯ロングビーチには及ばないにしても、沖縄のホテルでは最大規模であることは間違いなさそうだ。 子どもも喜ぶウォータースライダー、プールサイドサウナ、2か所のガゼボ、2か所のジャクージの他、軽食やドリンクを扱う店があり、客室からはフード付きバスローブを着用し、そのままアクセスできるのが便利だ。営業時間も、8:00から22:00と長いのが嬉しい。 あいにくの天候で、時折雨がぱらついていたが、プールに繰り出す人は少なくなかった。なにしろ、ホテルは満室に近い賑わいだという。だが、それを考えると、プールサイドは静けさが保たれ、いい雰囲気だった。 周囲には南国の植物が植えられ、この時期はヒガンバナ科のハマオモトが咲き乱れている。プールの一部は深さが2.5メートルあり、素潜りの練習もできる。たまに強い日差しが戻ると、水面がきらきらと輝いて美しかった。 プールサイドのガゼボのうち、深いプールの近くにあるものは、エグゼクティブフロアとスイートの専用となっており、時間帯によってはフリードリンクのサービスもある。 ガゼボの中は、心地よい風が通り抜ける。やはりここも水はけがよくないのが難点だが、プールサイドのデッキチェアとはまた一味違う雰囲気を楽しめる空間だ。プールでなくビーチでアクティビティを楽しみたい時は、専用のカートで送迎してくれる。 また、屋内にも広いプールとフィットネスジムが用意されており、これらも無料で利用することができる。また、温浴施設としてのスパもあるのだが、男女別なのに水着着用で、営業時間も短い。 夜のロビーは間接照明を中心とした幻想的な雰囲気となり、昼間とはガラッと変わる。さて、夕食はどうしようか。コンシェルジュに相談すると、焼肉がお勧めだというので、それに従った。 ロビー階にある沖縄焼肉「琉仙」で、沖縄極上セット8,000円を注文。入口に近い半個室が用意され、サービスにもとりわけ気を遣ってくれたので、安心して食事をすることができた。 ところが、焼肉は初の経験。肉を焼くのに必死で、なんだか食べた気がしなかった。鉄板焼が高い理由とそのありがたみがよく理解できた。 食後は館内を散策。土産物店も遅くまで賑わっている。ブッフェレストランを見ると大混雑していた。以前は6,000円だったディナーブッフェも、今は4,000円と手ごろな価格になっている。ロビーの裏手には石造りの立派な階段があり、そこだけ別世界のような雰囲気。 その階段の上にはユニークなシャンデリアが下がっており、これまた独特の雰囲気を醸している。TDRのイクスピアリにでもあれば似合いそうな感じだ。 翌朝はきれいに晴れ上がった。いや、まだ雲が少なからず空を覆っているが、前日の不安定な天気と比べれば、これは晴れなのである。少しでも太陽が顔を出していれば、海の色はまったく違って見える。 朝食へ行こうと、エレベータを待った。しかしなかなか来ない。やっと乗り込んだエレベータも、途中階でどんどん人が多くなり、鮨づめ状態でロビーへと着いた。やはり、朝の人気もブッフェレストラン。早々に行列ができている。 でも、和定食を出す日本料理店は比較的空いていた。サービスに当たる人員は揃っているのに、なかなか気が利かないのは困ったもの。茶を酌んで歩くのが役目なのに、急須を持ったまま、空になった茶碗を見過ごして通り越すようでは、役立たずと言われてもしかたないだろう。 チェックアウトは、14階のラウンジでスムーズに行われた。再会を果たせた彼女も見送るつもりでいたようだが、ちょっとしたタイミングで、出発時に会うことができなかった。でも、これが今生の別れというわけでもない。中途半端にしておいても、また次の機会が廻ってくるだろう。そんなことを思いながら、正面玄関を後にした。 |
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