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瀬波グランドホテル はぎのや Japanese Room  
Senami Grand Hotel Haginoya 2010.06.23(水)
新潟県村上市 楽-2

通学客で賑わう朝の村上駅

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旅館のビジネスユース


シティホテルのない地域に仕事で訪れる時は、宿選びに苦労する。せめて東急インやワシントンホテル、あるいは東横インやルートインでも構わないので、ウェスタンスタイルのホテルがあれば、迷わずそこを予約するが、小さく古いビジネスホテルしかないとなると、やや躊躇せざるを得ない。

眠るだけならどこでもいいような気がするが、眠ることもままならない部屋である可能性も否定できないし、そういう時に限って、しっかり体を休めておく必要性が高い。

新潟県村上市もそのような場所である。市内には名湯瀬波温泉があり、そこには高級旅館もある。しかし、旅館は素泊まりのひとり客など歓迎しないものだ。また、仮に空室があったとしても、束の間の滞在では料金に見合わない。

だが、今回、はぎのやで見つけた宿泊プランは、ビジネスユースにぴったりなものだった。シングルユースの朝食付が、ビジネスホテルのようなプライスで売られていたのである。混雑する時ならこのようなプランは売らないのだろうが、梅雨の平日の閑散期ならではのお買い得プランは、天の恵みのようにありがたかった。

はぎのやは周囲に田んぼが広がるのどかな環境にある。本館を中心に建て増しをしながら規模を拡大したと見える外観は、高級旅館らしい趣きを感じさせる。

外観

車寄せからメインエントランスまでの間には、遊歩道のようなアプローチがあり、両脇は日本庭園を思わせる植栽になっている。階段を上がってエントランス。館内に入ると広々としたロビー空間が出迎える。

エントランスへのアプローチ

ロビーの印象は華やかで、劇場のホワイエを思わせる。二層吹き抜けになっており、壁面のミラーが空間を一層ダイナミックに見せている。

ロビー

ロビーの奥はラウンジ「フローラ」。シティホテルような、ヨーロピアンスタイルの空間だ。表に面した高い窓により、圧倒的な解放感が得られる。

ロビー

さらに奥へと進めば、マンガコーナー、ギャラリー風スペース、ダンスフロア、宿泊客用無料ドリンクラウンジなど、滞在中に楽しめるさまざまな設備がある。

ギャラリー風のコーナー

通常のチェックインタイムは15時から。宿にとってはさほど歓迎したくもない客だろうに、早めの時間に到着してしまった。とりあえず、荷物だけでも預けようと立ち寄ったのだが、意外なことにそのままチェックインして、部屋へ入れてくれた。

案内係は、温泉に浸かってのんびり過ごそうと訪れる客に接するのと同じように、というか、足腰のおぼつかない年寄りをいたわるように、とてもゆ~っくりとした口調で館内の説明をしてくれるのだが、聞いているうちに急に40年くらい歳を取ったような心境になった。

用意された部屋は本館5階の和室。これよりも狭く条件の悪い部屋もあるはずだが、比較的広い部屋になった様子。他には、露天風呂付きの新客室やファミリールームなど、多様でユニークな部屋があるという。

客室ドア

だが、この部屋も十分にユニークだった。扉を開けるとまっすぐに延びる長い廊下。その途中に、トイレやバスに通じる引き戸がある。廊下はカーペット敷きで、やや薄暗く、ミステリー小説に出て来そうな雰囲気。

ドアを入ったところ

廊下は居室の手前で踏み込みとなり、正面の6畳、そして脇の4畳半、それぞれに通じる襖がある。窓は6畳の方にしかなく、その窓もかつては開閉可能だったようだが、現在ははめ殺しになっている。

そして、6畳のうち半分はカーペット敷きの広縁代わりとなっており、畳の部分は実質3畳分しかない。広縁風部分には、イスやテーブル、テレビ、冷蔵庫、クローゼットが置かれている。

窓側の部屋

メインの居室は4畳半の方らしく、そちらに床の間が設けられている。照明は、3畳、広縁、4畳半にそれぞれペンダントライトを設置。個々にオン・オフできるので便利だった。

襖は廊下に面している

4畳半には卓があり、菓子がひとつ置いてあった。旅館といえば到着時に茶のサービスがあるものだと思っていたが、最近は割愛するのか、あるいは安いプランなので割愛されたのか、いずれにしてもセルフサービス。風呂上がりにうれしい冷水もある。

畳と畳の間にカーペットのコーナー

奥の襖は押入れになっており、布団などが入っている。寝支度は留守中に整えられていたが、朝の布団上げは実施していないとのこと。これも最近の風潮らしい。

床の間のある部屋

床の間に花はなく、空調設備と花瓶と額が飾ってある。空調設備ばかりかティシューボックスまで調度品の仲間入りとは、出世したものだ。

室内は古びた感じではあるが、清潔感には不足なし。だが、ひとりでは持て余す広さと、ユニークな間取りのため、なかなか落ち着けなかった。

床の間の横の襖は廊下に通じている

室内のバスルームは、独立したトイレ、2か所にある洗面台、洗い場付きのバスで構成されている。トイレは狭く、しかも旧式な感じで使うのが怖かった。

洗面所

バスルームはヒルトン東京の和室スイートに似た感じ。タイル張りで、洗い桶やイスも用意されている。タオルは大小1枚ずつだが、かなり薄くてくたびれていた。

風呂場

館内の大浴場は2か所。時間帯によって男女が入れ換わるので、1泊の滞在でも、夜と朝とで両方の風呂を楽しめる。いずれも広々としており、手入れも行き届いている。脱衣所の清潔感やパウダーコーナーの充実ぶりに感心した。

大浴場

8階の「眺」には、岩風呂風の露天風呂を付帯しており、日中なら日本海まで見えるそうだが、夜はまっくらで何も見えなかった。この日、他に男の泊まり客はないらしく、深夜に入浴したにもかかわらず、桶はひとつも乱れておらず、ゴミ箱も空だった。

大浴場

3階の「望」は、「眺」よりはこぢんまりとしているが、豊かな緑をのぞく大きな窓に面した湯船は格別の心地よさ。

露天風呂

ヒノキ造りの露天風呂からは、周囲ののどかな景色が望める。温泉はほのかな香り。源泉掛け流しではないが、湯の清潔感も文句なし。ビジネスホテルプライスで、この湯を完全に独り占めできるなんて、まさに極楽気分だった。

眺め

マッサージコーナーには、最新型のマッサージチェアがずらりと並んで壮観だ。だが、なんとなくスペースシャトル乗組員の宇宙服のようにも見え、SF映画チックな光景だった。

マッサージチェア

朝食は食事処で。前日に時間の予約が必要で、できるだけ早く出発したいので一番早い時間にと頼んだところ、7時半が最も早いとのことだった。だが、7時25分に食事処に行くと、もう食べ終わって帰る客がいた。いったいなぜだろう。急いでいると知りながら、これでは不親切というより意地悪ではないか。

朝食

本日の焼き魚はキングサーモンですって、えっ、鮭の聖地、村上でキングサーモン?ちょっとガッカリ。5分で食べ終わり、急いでチェックアウト。おとなしそうな兄ちゃんが、重たいスーツケースを車まで運んでくれた。

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OFFICIAL WEBSITE

瀬波グランドホテル はぎのや

このホテルに関する過去のレビュー

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