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倉敷国際ホテル Single Room  
Kurashiki Kokusai Hotel 2010.06.06(日)
岡山県倉敷市 楽-3

美観地区の中橋

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ミュージアム的クラシックホテル


天領時代の面影を今に残す倉敷美観地区の片隅に建つ倉敷国際ホテルは、倉敷初の本格的なホテルとして1963年に開業した。設計は、千里阪急ホテルやホテル日航成田と同じ浦辺鎮太郎氏。同氏もまた、倉敷にゆかりのある人物であった。

ホテルは5階建てで、グレーと白のボーダーラインが印象的。正面玄関に車寄せはないが、屋根が歩道を横切って道路まで突き出ている。玄関までは階段があり、趣きのある扉で館内へと通じている。

外観

建物は凹字型をしており、そのへこんだ部分に玄関がある。ところどころの窓にはプランターが下がり、赤や白の花々が彩りを添えている。どこか美術館の一部のような、芸術的な香りの漂う外観だ。

小さな看板

ロビーは広々としている。古めかしいイスやソファがいくつも並び、自由に座れるコーナーと、喫茶利用できるコーナーとに分かれている様子。中央部分は最上階までの吹き抜けになっており、棟方志巧氏の大版画「大世界の柵」が、2段に分けて掲示されている。

ロビー

他にも、館内の随所にさりげなく展示された日本美術家たちの作品が、行き交う人が足を止めて見入る瞬間を待ちかまえている。雰囲気はレトロそのものだが、よく手入れが行き届き、空気の乱れは一切感じられない。まさにさながら美術館である。

ロビー

チェックインは、ロビーに面した小さなフロントカウンターで行われる。物静かな若い係が手続きをし、初老の男が部屋まで案内した。特段丁寧だとか、感じがいいという印象を与えるわけではないが、風格と心地よさはしっかりと感じられた。

エレベータホール

エレベータは2基。他に階段もある。エレベータホールにはロッキングチェアが置かれ、ゆっくりと過ぎゆく時間をイメージさせる。派手な装飾はないが、あちこちに洒落たものを置いているなと感心した。

また、吹き抜けに面した廊下にはイスやテーブルが並べられ、大版画の傍らで思い思いの時間を過ごせるようになっている。昭和の日本文学でも読みふけるなんて、いかがだろうか。

吹き抜けに面したシッティングエリア

客室は本館の2階から4階のほか、2階から連絡しているアネックスの2階と3階にもある。本館5階には式場など、婚礼関係の施設が集まっているようだ。客室階には、それぞれ客室係のステーションカウンターが設けられており、日中は係が控えていることもある。

今回用意された客室は、スタンダードなシングルルーム。面積は約19平米だという。表の道路向きと、裏向きがあり、用意されたのは裏向きだった。おそらく裏側の方が静けさの点で優位な気がする。

入口から室内を見る

客室は幅が狭いが、窮屈ではない。白い壁と淡い色のファブリックにより、艶やかな木目の家具が引き立っており、ベッドの前に下がっているガラスボール型のペンダントライトや、真鍮縁の壁掛け時計がいい味を醸している。

また、ベッドボードや上部の羽目板も、インテリアを引き締める効果を発揮。全体に淡い照明だが、それがまたレトロなムードを一層のものに仕立てている。

窓側からベッドを見る

窓際に置かれたベッドは160センチ幅と、シングルルームとしてはゆとりあるサイズ。寝具やマットレスも古いので、細心の寝心地とはいかないが、この空間では懐かしい寝心地もまた味わいのひとつかもしれない。

ベッドに並んで60年代デザインのアームチェアと四角いテーブルが置かれている。今が旬のデザインだが、これらは「60年代風」ではなく、まさに当時のものなのだろう。

ベッドとシッティングエリア

デスクユニットはコンパクトにまとまっている。4段の引き出しと冷蔵庫に挟まれて、イスの入るスペースは少々窮屈そうだ。テレビは23インチの液晶。今では珍しくなった冷水のサービスも残っている。

ディレクトリーに洒落た絵葉書があったので、滞在中にしたためてフロントに投函を頼んだ。すると、切手はホテルで負担して出してくれるとのこと。ちょっと嬉しいサービスだ。

デスクユニット

バスルームはすっかり新調されている。客室入り口ドアもそうだが、バスルームの扉も、ノブが高い位置に取り付けられている。これもクラシックホテルならでは。

バスルームの床はタイルで、壁面には大理石柄のパネルを使っている。ベイシンの上には整理に便利な棚が設けられているが、ベイシンで顔を洗って頭を上げる時、何度、棚に頭をぶつけたことか。少々、位置関係がよくないようだ。

バスルーム

バスタブも新しい。排水口のある方の床が低くなっており、排水と節水の両方に効果的な構造だ。シャンプー類は大型ディスペンサーボトル。他のアイテムはカゴにまとめられている。

バスタブ

タオルはシングルルームなのに2組用意されている。バスタオルとウォッシュタオルはふつうのタオル地だが、フェイスタオルはとても薄い生地でできている。これがとてもよく水を吸い、使い心地抜群だった。

タオル

翌朝、窓の外を見ると、倉敷らしい景観が広がっていた。高層階ではないので、遠くの様子はわからないが、美観地区にある建物の美しい瓦屋根が連なっているほか、鶴形山も見える。もっと大原美術館に近い側の部屋ならば、美術館の庭を借景にできるのかもしれない。

窓からの眺め

客室内は、周囲に人がいなければ静かだが、隣室に客がいると音は筒抜けになる。特に、バタンと勢いよく閉まる扉の音は、深夜には非常に気になった。

朝食はレストラン「ウイステリア」でブッフェ形式で提供される。宿泊客数によって料理の内容が変わり、客が多い時にだけ、卵料理を作るカウンターが出現する。だが、内容は1,680円の値段の割にはいまひとつで、もうひと工夫を期待したい。

レストラン「ウイステリア」店内

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倉敷国際ホテル

このホテルに関する過去のレビュー

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