仙台クラシックフェスティバル出演のため、仙台へ向かった。個人的な思いとしては、仙台ロイヤルパークホテルへの宿泊に魅力を感じていたが、事務所が用意したオフィシャルホテルへ滞在することにした。

居場所が明らかであれば、どの宿に泊まるのも自由ではあるが、やはりそれでは何かの時に面倒になりかねない。チームはコンパクトにまとまっている方が身動きがいい。

ホテルへのチェックインはめいめいに行うよう指示されており、仙台駅からはタクシーを使うことになっていた。だが、指定されたホリデイインは、仙台駅からタクシーに乗るほど遠くはないので、歩いてみることにした。

東口は県都らしい賑わいを見せるが、西口は開発が始まったばかりという景観。そもそも、西口に駅改札はなく、一度東口を出てから、自由通路ですべての線路を横切るという不便さだ。2週間分の旅支度をした身では、駅を出るまでにも、すでに結構な距離を歩いた気がする。

駅前の通りを右に一直線。数分でホリデイインの裏口へと至った。ロビーはモダンに改装され、ビートの効いた音楽が鳴り響いている。ロビーの中央は2層の吹き抜け。中央に橋を思わせる通路があり、天井からは天使の輪のような照明がふたつ下がり、青白い光を放っている。全体にクールなイメージだが、メインエントランスとエレベータホールにそれぞれ飾られた生花が、安らぎを感じさせる。

チェックインは「せんくらの神田」と告げるだけで、すぐにルームキーと朝食券が差しだされた。部屋への案内はなく、2基あるエレベータで客室へと向かった。客室は2階から12階までにあり、今回用意されたのは6階のツインルーム。

表側に10室の広い部屋、そして裏側に6室の狭い部屋というのが標準のフロアプランらしい。広い側は通りに面している分、視界は開けていたのだろうが、現在は大型高層マンションが目の前にそびえ、楽しめる眺めではない。

ツインルームの面積は26平米あり、窮屈という感じはしなかった。120センチ幅ベッドが2台並び、窓際にはレザー張りのアームチェアセットと、独立型のデスクがある。ブラウン管テレビの下は3段の引き出しで、収納力もまずまず。脇にはズボンプレッサーも常設してある。空の冷蔵庫はデスクの下に据え、棚にはインスタントコーヒーとマグカップが用意されている。

この部屋はコネクトドア付きなので、デスクとベッドが並んでいるが、通常は違う配置のようだ。入口付近に設けられたクローゼットは奥行きがなく、ハンガーを横向きに収納するタイプ。バスルームは3.2平米のユニットで、バスタブの長さが160センチと、それなりの広さだ。タオルは3サイズが2枚ずつ揃うが、薄っぺらくくたびれている。

チェックインした際にはわからなかったが、カランからシャワーに切り替えると、中に仕込まれたコマのせいでドリルのような騒音を立てるし、壁掛け式のドライヤーは壊れているしで、ややメンテナンス不足が感じられた。これについては、翌日外出の際にフロントに告げて置いたところ、戻るまでには修繕されていた。

レストランはロビー階にある1軒のみで、オールデイダイニングの役割を果たしてる。朝食はブッフェ形式で1,400円。せんくらの出演者たちはどちらかというと朝は遅い。それを見越して朝一番で出向いてみたら、もっと手ごわい団体に席巻されていた。小学生たちである。

オープン時間からすでに満席。ロビーでしばらく待たされ、やっと案内されたかと思えば、ブッフェ台はすっかり空っぽ。残っているすべての食材を集めても、弁当一人前にもならないだろう。数少ない係は大慌てで補充に取り掛かるが、今度はそこに中国人たちが参戦してきた。もうギブアップ。コーヒーだけ飲んで退散した。

ランチタイムの様子はわからなかったが、ディナーには1度利用した。パスタコースは、アミューズ、前菜、選べるパスタ、ガーリックトースト、デザート、コーヒーが付いて2,500円。更に宿泊客は一割引だった。カジュアルではあるが、きちんとしたテーブルセッティングや落ち着いたサービスなどは、なかなかの雰囲気を感じさせる。

仙台初の外資系ホテル。翌年にはウェスティンが乗り込んでくるが、こことはグレードが違う。ホリデイインにしてはグレードが高い印象があるが、料金は控えめと、ちょっとお得な気分の味わえる快適なホテルだ。