アグネス ホテル アンド アパートメンツ東京 Suite
The Agnes Hotel and Apartments Tokyo
2008.12.28(日)
東京都新宿区
楽-3

リゾートのレストランのような雰囲気
 
アパートに1泊 よく晴れ渡った気持ちのいい天気だった。ホテルに到着したのは午後3時。ちょうど係が正面玄関に居合わせたが、荷物を車から降ろすのを手伝ってくれないばかりか、挨拶もなく、完全に無視された格好だった。これには到着早々気分がよくなかったが、それほど驚きはしない。むしろ、颯爽と挨拶され、荷物を運んでくれたとしたら、そちらの方がビックリだ。

だが、館内に入ってみて、やっぱり先ほど係を見かけた時、こちらから頼んででも手伝ってもらうべきだったと後悔した。メインエントランスから入ると、そこは小さなロビーになっており、ソファがいくつか並べられている。そこから先に進むには、階段を上がらなければならず、やたらと重いトランクを一人で運び上げるのには、ちょっとした決心が必要だった。

トランクはキャスター付きなので、階段脇に設けられた細いスロープを使うことも可能だが、実際にはトランクを抱え込んで、2度に分けて階段を上がった。この様子を見れば、誰もがアパートメントに長期滞在する客だと思うだろうが、物好きがたった1泊しに来ただけである。

フロントは、その階段を上がったところにあって、とても小さい。係がふたり立つのがやっとだ。そこで到着を告げると、若い男性の係は淡々と手続きに取り掛かった。そして、部屋の仕上がりまで30分待つように言われ、更には支払いを先に求められた。料金先払いのホテルは珍しくないが、部屋が仕上がっておらず、キーも渡してくれないのに、先に金だけよこせとは心外である。

今回の予約を入れた後、ホテルからは丁寧なメールが来た。禁煙室を希望とのことだが、あいにく禁煙室に空きがないので、十分な消臭対応をした上で到着を待っている、という内容だった。文面からももてなしの心が垣間見られ感心していたのに、いざ来て見れば、十分な消臭どころか部屋の用意さえ整わず、30分も無駄にしろと言う。これでは「プラマイゼロ、むしろマイ」ではないか。

だが、ないものは仕方がない。部屋の用意が出来るまで、ロビーラウンジで座って待つことにした。だが、先払いに関しては、せめてルームキーと交換でなければ応じないと断わった。

15分ほど待った頃、係がラウンジにやって来た。部屋の用意が整ったという。予定より早くなったのは大変結構である。渡されたキーは、最初にフロントで知らされた部屋番号とは違っていた。荷物を運んでもらいながら向かった部屋は禁煙室だったので、部屋割りの調整を行なったものと思われる。部屋まで案内して来た係は、退出する際に、待たせたことへの詫びを怠らず、そのしるしとしてハーブティセットを置いていった。

このホテルは基本的にホテル棟とアパートメント棟のふたつに分かれており、それぞれにエレベータが1基あるのだが、やはりエレベータが1基というのは、待たされる頻度が高い。そして、アパートメント棟は、エレベータホールから各客室をつなぐ廊下が、マンションのそれのように外気に触れる設計なので、寒い冬や悪天候の際に不便しそうだ。

今回利用するのは、このアパートメント棟にあるスイート。客室扉が並ぶ廊下を見る限りはマンションそのもので、扉もオートロックにはなっていない。入口付近は、大理石張りのホワイエになっているが、空間的な余裕はなく、長期滞在に必要な設備が所狭しと集約されている。可能な限りのスペースを収納に割いているのも大きな特徴だ。

そして洗濯機やIHコンロとシンク付きのミニキッチン、電子レンジ、冷凍冷蔵庫がある他、簡単な調理道具や2名分の食器類、食器洗い洗剤とスポンジなども常備。コンロ脇には消火スプレーも備えている。ミニキッチンの背後には大理石を使ったゲスト用トイレがある。

リビングルームは、ソファセットとアーモアのみというさっぱりとした設えで、カラースキームも淡くシンプルにまとめている。ソファはベッドにもなるタイプで、サイドテーブルに載った動物柄のスタンドがアクセントになっている。テレビは25インチのブラウン管テレビで、DVDプレイヤーは備わっていないが、番組が豊富なケーブルテレビを視聴できるようにしている。

続くベッドルームもまたシンプルだ。200センチ幅のベッドの他は、収納棚とデスクがあるのみで、テレビもソファも置いていない。収納棚は240センチの天井ギリギリにまで迫る特大サイズを設置しており、長期滞在の利用にとことん配慮していることが伺える。照明はリビング、ベッドルームともに、4つのダウンライトとスタンドのみで、やわらかくムードある雰囲気を作っている。電話機は珍しいSONY製。室内装飾も少なく、額はひとつもない。

ベッドはダブルベッドとしてメイクされているが、用途によってハリウッドツインにもメイクできるよう、クローゼット内に予備のベッドスカートやクッションが用意されている。マットレスはツイン仕様なので、ダブルでメイクすると真ん中辺りが沈み込んで違和感があり、なんとも中途半端な寝心地だった。

バスルームは8.25平米。大理石とテラコッタを使い、ゴージャス感とナチュラル感を巧みにブレンドして仕上げ、大型のジャクージバスと独立したシャワーブースを備えている。ベイシンはシングルだが、グリーンの大理石が印象的だ。アメニティはアロマエッセ、タオルは3サイズが2枚ずつ備わり、バスローブも用意されている。

不思議なことに、バスルーム内が非常に寒かった。そして壁がとても冷たく、朝にはびっしょりと湿っていた。もうひとつ不思議だったのが、バスルーム内の床に1箇所も排水口がないことである。万が一バスタブやシャワーブースが溢れた場合、その水が流れる場所がなく、ベッドルームまで水が及ぶ心配があるが、大丈夫なのだろうか。

朝食は7時からロビー階にあるレストランで提供される。部屋から朝食に出かけるにあたり、まさか革ジャンで行くのもおかしいだろうと思い、わりと薄着で出たら、エレベータを待つ間に凍え死にそうだった。レストランはわずか30席ほどの瀟洒な空間。老夫婦もいるが、女性ひとりの客が多い。そして係はひとりだけだったが、混雑することもなく滞りもしなかった。

ブッフェ台にはサツマイモのスープ、粥、煮込んだ鶏、フレッシュ野菜、ボイル野菜、コールドミート、フルーツが並ぶ。パンはデニッシュ中心で冷凍品。ジュースはフレッシュオレンジ。玉子料理はリクエストして作ってもらえる。バジル風味のミックスオムレツがオススメだ。コーヒーはやや煮詰まった味がした。

キチネット付きの客室を利用するのは、本来ならば定期建物賃貸借契約をしなければならないようだが、今回はフツウのチェックインだった。アパートメント棟のエレベータホールへは、フロント係がいちいちキー操作をしなければ入れないようになっている。セキュリティ面では意味があるのかもしれないが、それよりも面倒くさいという印象の方が強かった。フロント係も総じて淡白な雰囲気。もしアパートメントに長期滞在するのなら、メゾン一刻の管理人さんみたいに手厚く面倒見てもらいたいが、それはムリな相談だろう。

 
外観 各部屋への通路 入口付近も確かにアパートメント的

さまざまな生活アイテムがある 洗濯乾燥機 ミニキッチン

あまり大掛かりな料理はできないが・・・ ティーセット 調理道具

リビング ソファとテレビキャビネットだけのシンプル空間 装飾もほとんどない

ソファセット テレビ スタンド

ベッドルーム ツインマットレスをむりにダブルでメイクしたベッド たっぷりの収納

ベッドの上に空調 ベッド デスク

バルコニー 電話機 お詫びのハーブティー

寒いバスルーム ジャクージバス シャワーブース

ベイシン アメニティ キッチン裏のトイレ

渡り廊下からの景色 ロビーから地下への通路 ラウンジ

正面玄関 正面玄関からロビーへの階段 階段脇には急なスロープがある

ラウンジ レストラン 朝食

 アグネス ホテル アンド アパートメンツ東京(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 040314


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