上田東急イン Suite
Ueda Tokyu Inn
2008.05.27(火)
長野県上田市
楽-4

千曲川に架かる鉄橋
 
日本酒を味わう 信州上田を初めて訪ねた。駅に降り立った時、最初に吸った空気のなんと清々しいこと。駅前で北の方角を見れば、山がすぐ目の前に迫るようだ。聞けば、太郎山と言って、上田のシンボル的な山らしい。少し歩けば真田氏の居城として名高い上田城址があり、そこはとりわけ春の桜が見事だと聞く。旧街道沿いには古い商家が残っているらしく、そんな街並みをふらりと歩いてみたかったが、今回は遊びに来たわけではなかった。

上田の酒蔵から、年に一度の「新酒を味わう会」にお招き頂き、その席で演奏をご披露する約束で訪れたのだった。酒宴では仕込み上がったばかりの新酒を中心に7種類が振舞われた。これまで日本酒とは、ワインほどに触れ合う機会を持たずに来たが、こうして7種の日本酒を目の前にし、それぞれの味わいに浸ると、米と水と愛情とで、これほどまでに変化に富んだ繊細な液体が出来上がるのかと、感嘆せずにはいられない。

素人が云々するのはおこがましいのでやめておくが、早い話が、こう、体にすーっと沁み込むのである。ワインほどに大それた主張はしない。しかし、優しい香りがいつまでも鼻腔をくすぐる。やっぱり一番美味しいのは大吟醸だけれど、にごり酒というのも個性的で味わい深かった。

もう自分の務めは済んでいたので、弱いくせに調子にのってグビグビ飲んでいたら、アンコールのお声が掛かったではないか。嬉し恥ずかし真っ赤な顔でもう1曲。そして、酒蔵の主の同級生たちとおっしゃる立派なおじいさん方の熱いリクエストにお応えし「青い山脈」を伴奏させて頂いた。なんだかこちらまで同じ同級生になった気分で楽しいひと時を過ごした。

ホテルに戻って一人になってからも、美酒の余韻は続いていた。今日は、人と人を結び、心を温かくする酒に出会うことができた。滞在した宿は駅前の東急イン。上田は東急にとってもゆかりの地である。

東急インとは言え、外観もロビーもエクセルホテル東急としてもいけそうなくらい、気合いを入れて造ったようだ。1階には東急百貨店のギフトショップとレストランがあり、中央は2層吹き抜けの広々としたロビーになっている。ロビー内装には天然石が多用されており、特に中央部分は3色の石によるパターンが華やかさを醸しているが、人影はまばらだった。

用意された客室は最上階のコーナーに1室だけあるスイートだった。入口ホワイエには姿見だけを配し、すぐ突き当たりにゲスト用トイレがあるために、簡単なパーテーションを設けている。ホワイエから左右に分かれており、右側がリビングルーム、左側がベッドルームだ。

リビングルームにはシングルルームと同じ広さが当てられており、丸いテーブルを囲んだソファセットを中心に、小さなワークデスクと小さなクローゼットを配置。部屋のコーナーには32インチAQUOSの載ったテレビ台と、大型冷蔵庫キャビネットがある。

冷蔵庫は両開き。ちょっと考えればわかることだが、ほろ酔いで部屋に戻ったので頭が回らず、先に開けた方にミネラルウォーターを突っ込んで寝た。朝、目覚めに水を一杯と思ったら、なんとコチンコチンに凍っていた。そう、片方はフリーザーだったのである。そんな酔っ払いのために、扉にちょっと一言表示があったら嬉しいと思った。リビングもせっかくコーナー部分に位置しているのに、窓は1面だけ。もう1面にも窓を設けたら格段に明るいリビングになったことだろう。

ベッドルームも窓は1面。220センチ幅のオーバーキングサイズベッドを据えている。マットレスはフランスベッド製で、カバーと一体になった寝具を使っている。枕はテンピュールだ。そして、両開きのクローゼット、ワイドブラウン管テレビの載った収納家具がある。リビング、ベッドルームともに、空気清浄機を備え、ちょっと立派な照明器具が使われている。

バスルーム手前は大理石床のドレッシングエリアになっており、ここだけで3平米超の面積があってスイートらしい空間だ。だが、バスルームの方は160×200センチサイズのシンプルなトイレ付きユニットで、おそらくツインルームなどと同等だと思われる。アメニティは東急イン共通のボトルディスペンサー式。タオルは大小2枚ずつだが、バスローブは備わっている。

この仕様から察するに、部屋の主な使用目的はブライダル関連だと思われる。ハネムーナーの宿泊兼、親族の控室として便利な設計だろう。窓からは千曲川が望めるが、鉄線入りのガラスを使っているため、眺めの価値は半減だった。また、コンセントが少ないのも不便な点であった。

朝食は1階のレストラン「ブーランジェ」にてブッフェ形式で提供される。和洋揃うが、特にこの地域の名産品らしき料理は見当たらない。スタッフは若い男性ふたり。特に技術が優れているわけではないが、とても爽やかで、客が帰る際にはきちんとお辞儀をして見送るなどの礼儀正しさが好印象だった。レストランと宴会場は東急インではなく、「ホテル国際21長野」系列の「国際21クリスタルホール」によって運営されているらしい。

朝食後は、付近の千曲川河川敷を散策した。川の音と穏やかな天気が心地よい。鉄橋を時折電車が通るが、東京で見慣れた東急車輛なので、千曲川が多摩川のようにも感じられ、不思議な気分だった。

 
リビングルーム 細いクローゼットの右側がエントランス リビングからベッドルーム方向を見る

夜のリビングルーム テレビは新しい デスクは小さい

客室備品としてはとても大きなフリーザー冷蔵庫 天井の照明器具 ゲスト用トイレ

大きなベッド ベッドの脇に窓がある 右の扉はバスルーム

ベッドルームからリビング方向を見る ベッドルームテレビ下の収納 ドレッシングルーム

ドレッシングルームの床は石張り バスルームにもベイシンがある バスタブ

ロビー ロビー ロビーから宴会場への階段

エレベータホール ホテル前の広場 外観

 上田東急イン(公式サイト)
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