ホテルヴィラフォンテーヌ六本木アネックス Twin Room Designed by ACTUS |
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Hotel Villa Fontaine Roppongi Annex |
2008.05.24(土)
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東京都港区 |
楽-1
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臨時営業 | 地下鉄六本木一丁目駅の1番出口から日本IBMビルの脇を抜けて行くと、緑の窓枠と赤いラインが印象的な建物が見えてくる。それが黒川紀章が設計した元六本木プリンスホテルだ。六本木の喧騒を離れた場所にあって、遊び心満載の内装や中央に大胆に配置したプールを持つこのホテルの存在は広く知られていたが、2006年12月25日にプリンスホテルとしての営業を終了し、住友不動産に売却され、しばらくは空き家の状態が続いていた。
周辺の建物とともに再開発をする予定になっているが、その目処が立たなかったのか、同じ住友不動産が展開するホテルビラフォンテーヌとして期間限定で営業を始めた。すでに六本木には泉ガーデンにヴィラフォンテーヌがある。両者は少し離れた位置にあるが、こちらはホテルヴィラフォンテーヌ六本木アネックスとなっている。 泉ガーデンの方はヴィラフォンテーヌとしてはハイグレード版に当たり、アネックスの方はスタンダード版。しかも、他のスタンダードクラスよりも低い位置づけであるかのように思える。それは安いラックレートと、ヴィラフォンテーヌ全店の中で唯一ここだけがチェックアウトタイムを10時に設定しているからだ。 しかし、客室は一応改装しているし、ハード面や全体のスケール感では、他店に負けてなどいない。その上、2007年1月から2009年秋まで、900日間という期間限定での営業である。ならば、一度は利用してみたい。 そう思っていたら好都合な機会が巡ってきた。急遽、翌日に六本木ヒルズで行なわれるイベントに参加することになったので、近くに泊まってから行くと丁度よかったのである。夕方ホテルに到着した際、ロビーはチェックインする客で賑わっていた。だが、音楽が流れているわけでもないし、かつてロビーにあった水槽などの装飾も取り去られているので、華やいだ雰囲気を醸す要素はなく、何かの事務手続きのように淡々とチェックインが進められているという感じだった。 客層を見ると、日本人の家族連れ、若いカップル、そして外国人たちが多く、週末だからか見た目ビジネスマンという人はまったくいなかった。それにしても、外国人たちはこのような期間限定の宿をよく見つけて来たものだと感心する。 さて、客室にはスタンダードフロアの他に、ACUTASの家具でコーディネートしたスペシャルフロアがある。スイートもあるが、3名以上で利用することを想定して販売されており、予約は電話で受け付けているので、予約時点でネットに残っていたACTUSツインを予約。それも間際だったので、残数わずかだったようだ。 用意されたのは客室としては最上階に当たる9階の部屋だ。8階と9階がスペシャルフロアで、うち8階が禁煙らしい。できれば禁煙と言いたいところだが、今回はどんなにタバコ臭くても我慢して最上階に泊まりたかった。それは、外観を見ると最上階の窓だけが他のフロアとは違っているので、実際にどうなっているのかを中から確かめたかったからである。 その点、部屋の窓は期待を裏切らなかった。べつに世にも珍しい窓というわけではなく、他とちょっとだけ違うだけなのだが、それでも満足だった。このホテルはどの部屋も窓が高いところに設置されている。設計者は、周囲の景観がそれほど魅力的ではないので、部屋に入って六本木という世界の続きを愉しむのなら、むしろ景色は邪魔だと考えたのかもしれない。 そして、最上階だけは、わずかではあるが窓をトップライト風に天井の方にまで回り込ませ、東京の狭い空の一部を部屋に取り入れた。感じとしては2階建て列車の2階の窓のようでもあり、不思議な効果を生んでいる。ホテルは数あれど、こうした設計にはなかなか遭遇しない。 しかし、難点もあった。この日のように強い雨が降っていると、天窓を直撃して結構うるさいのだった。これは雨の日でないとわからない。また垂直部の一部のみ開閉が可能で、外側にドレープ、内側に水色のレースを掛け、傾斜部分に横棒を取り付ける工夫をしている。 一方、室内はそれほど面白くなかった。北欧風インテリアだと言うが、期間営業だけに相当予算を抑えたのだろう、安っぽさだけが伝わってくる。実際、イスとテーブルなどは、学生が小遣いで買うような品物。とてもホテルに置くようなクオリティではなく、座り心地も悪い。 デスクユニットやベッド、ベッドボードなどはプリンス時代のものを活用しており、新調したのはイスとテーブル、寝具、カーテン、一部の照明器具だけのようであり、それほど個性も感じられない。わざわざACTUSの名前を出すのは家具を安く提供してもらっているからかもしれないが、かえってACTUSのイメージダウンになっているように思う。冷蔵庫には無料のミネラルウォーター1リットルボトルが用意され、湯沸しポットもある。バスルームにはまったく手をつけず、アメニティはヴィラフォンテーヌ共通の仕様。入浴剤「バブ」もあった。 朝食はプールサイドのレストランで無料で提供される。かつてハイレグギャルで賑わったプールからはすっかり水が抜かれ寂れてしまった。ブッフェ台に並ぶのは、きざみキャベツ、乾いたパン、薄いスープ、コーヒー・紅茶のみ。これでは朝のエネルギー補給に不足だし、気も滅入る。アジア系外国人が大声で(彼らにとってはフツウだと思うが)しゃべっているのを見て、白人男性が「シーっ!!」と文句をつける一コマもあった。 チェックアウト時間になると、フロント係も増員されており、対応はスムーズだった。タクシーを呼んでもらい六本木ヒルズまで。この日は四川大地震のチャリティーコンサートが行なわれる。開演は夕方だが、仕込みとリハーサルがあるので早い時間に現場入りした。 このコンサートには様々なジャンルのミュージシャンが出演するが、企画自体が1週間前に急に決まったものだったので、不明瞭な点が多数残る中、半ば強行突破的に準備が進んだ。しかし、スタッフたちの仕事ぶりは見事だった。そして、大物ミュージシャンたちが多数参加する中、キャリアの優劣も関係なく、初対面の者同士が一丸となってステージを盛り上げる様子は圧巻であった。 |
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ホテルヴィラフォンテーヌ六本木アネックス(公式サイト) | |
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