アズベール ホテル&スパ ATAMI Maisonette Twin Room |
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Azveil Hotel & Spa Atami |
2008.03.28(金)
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静岡県熱海市 |
哀-1
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到着と出発の温度差 | 今日は熱海で1泊。骨休めにはちょうどいいスケジュールだ。熱海駅前の広場から続いている平和通商店街には、観光客なら思わず足を止めて覗いてみたくなるような菓子屋やみやげもの店が軒を連ねている。宿に向かう途中、この商店街を通ってみたが、買い物は帰りにすればいいと考え、雰囲気だけ味わって素通りすることにした。
商店街の中ほどに小さな郵便局があり、その前に差し掛かった時、切手が残り少ないことを思い出したので、ちょうど売り出しになった記念切手を購入した。郵便局から出ると、目の前の蕎麦屋から見覚えのある家族連れが出てきた。誰だったっけなぁと記憶を辿っていると、今度は蕎麦屋で会計を済ませていたのか、女性が一人遅れて出てきた。 あ、村杉温泉の長生館の女将さんだ。こんなところで偶然お目にかかるとは。先方も驚いた様子。しばらく立ち話をして別れたが、切手を買わずに通り過ぎていたら、ここで出会うこともなかったのだから、縁とは不思議なものだとつくずく思った。 商店街を抜けると交通量の多い道に出る。そのまま道なりに海の方に下り、今度は角を曲がって坂を上がると目的の宿が見えてきた。分かりにくいわけではないが、駅からの道案内や看板は特にないので、初めて訪れる場合は地図をプリントアウトするなどの準備をしていった方がいい。 周辺の環境は、あまりリゾートらしくはない。温泉風情もない。それでも熱海らしいと言えなくもないという、微妙な立地だ。付近にあるのはマンションや保養所ばかり。ロマンチックな情景や、非日常的な別世界に身を置きたいのなら、この地は相応しくないが、わずかな時間でも温泉街での暮らしを味わうには、とても好都合である。 今日の宿はアズベールホテル&スパ。築13年のホテルを改装して誕生した、オリエンタルテイストのリゾートホテルである。この宿を選んだ理由は、スモールラグジュアリーホテルを謳い、13歳以下は利用不可という年齢制限まで設けているが、その実態はどんなものかと興味があったからというのがひとつ。でも、実際はとても安かったからである。そして、このホテルを運営している会社が3月21日に民事再生を申請し、今後どうなるのか不透明なので、泊まれるうちに泊まっておこうという気持ちもあった。 アズベールという名は「AからZまでをVEILで包み込む」という意味があるそうだが、そう説明されてもピンと来なかった。1泊の滞在で、果たして実感することが出来るだろうか。ホテルのファサードは石造りで、なかなか立派に見えるが、見上げるとまさにマンション風の外観である。 メインエントランスへと至る階段の脇にはシンメトリーに石像が並んでいる。遠くから見たら沖縄のシーサーのようだったが、近寄るとカエルだった。エントランスには係が立っており、館内に入ろうとすると声を掛けられ、宿泊だと告げるとまずはラウンジに案内される。そこでウェルカムドリンクの冷やしたハーブティーが振舞われ、ホッと一息。 大きなソファをゆったりと配したラウンジは、昼間でも薄暗い上に深いカラースキームのインテリアで、本格的なバーカウンターも設置されている。だが、外来客が気軽に利用できる施設はないので、常に静けさが保たれているのはいいが、少々陰気な印象もある。 ほどなくして別の係から声が掛かり、フロントデスクへと案内されて、またイスに座ってチェックインをする。フロント係からは館内の施設について細かく説明があった。今回はルームチャージのみの予約だったことから、レストランでの夕食やスパの利用を熱心に勧められたが、そのつもりはなかったので「考えてみますね」と答えた。 次いで係は時計を見てこう言った。「チェックインは通常15時からですが、お部屋の準備が整っておりますので・・・」「・・・」沈黙。その時、すでに15時15分だったが、「もう過ぎてますね」と言うまで気付いてもらえなかった。またまた係が代わって部屋まで案内してくれた。係はもう4人目だ。だが、まだ他に客の姿は見ていない。 このホテルは斜面に建っており、5階建てと10階建てのふたつの棟が連結した構造になっている。ロビーは表通りに面しているものの、地下1階という扱い。低層階にはスタンダードルームがあり、途中5階にはレストラン、そして高層階には和室やメゾネットなどデラックスタイプが配置されている。温泉浴室やSPAはもちろん、中庭には小さいながら屋外プールもある。 低層階用エレベータは2基。それらは4階までしか行かないので、4階でエレベータをおり、廊下を通って別棟に移ったのち、高層階用エレベータに乗り換えた。高層階用エレベータは1基しかないが、客が少ないからか、待たされることはほとんどなかった。 今回の客室は最上階に位置するメゾネットルーム。同じ広さのメゾネットルームは5室あるが、うち2室は屋外ジャクージを設けたタイプになっており、そちらの方が料金が高く設定されている。今回はジャクージのない安い方のタイプだ。面積は82平米とゆとりの広さがある。扉を開くとフローリングのリビングルームになっており、吹き抜けのホワイエには上階へと続く階段がある。 最初に気になったのはよどんだ空気だった。建材用の接着剤のにおいだろうか、鼻をつくにおいが立ち込める。まずは窓を全開にして空気を入れ替えることに。ルーフトップテラスはリビングと上階の2箇所にあり、いずれも植え込みや花壇に囲まれ、デッキチェアとテーブルを配している。入浴後にくつろいだり、日光浴をするには最適だ。テラスからは熱海の街並みだけでなく、海や初島も見えるし、夜には見事な夜景も楽しめる。 明るいテラスから室内に戻ると、ダークカラー基調のインテリアは暗く感じられた。フローリングはやや傾いており、ミシミシと音が鳴るのも気になった。靴のままだとコツコツ響くので、下の階に迷惑が掛かるかもしれないと思い、すぐにスリッパに履き替えた。もっとも、下の階に客はいないようだったが。 リビングには大きなソファセットを据え、ソファはいずれもテレビの方に向けて置いてある。しかし、テレビは23インチと小さい。DVDプレイヤーを備え、ソフトの貸し出しサービスもあるので、もう少し大きいテレビが欲しかった。テレビが掛かっているキャビネットはミニバーを兼ねている。冷蔵庫のソフトドリンクとビールはすべて無料だが、どれも王冠付きのビン入りなのは、持ち帰りを防ぐためだろうか。他に緑茶や紅茶、インスタントコーヒーを備え、茶碗やカップ&ソーサーを用意している。 それらが収納されている引き出しは、コンラッド東京のミニバーによく似たミラー張り。しかしミラー面がホコリだらけでは逆効果である。あとは小さなクローゼットとミニシンクがあるが、引き出しはひとつもなく、収納スペースが足りないと感じた。また、あちこちに汚れが見られ、清掃状況の悪さも気になるところ。夕方にはワインバーからスナックのルームサービスが可能だが、ルームサービスでの朝食がないのは残念だった。 上階の寝室はカーペット敷き。2台のシモンズベッドは、デュベカバーとスローケットでメイクし、クッションを添えている。テレビはリビングより大きな32インチを備えているが、こちらはDVDがない。ベッドサイドにはドレッサーを兼ねたデスクが置かれているだけで、収納スペースはまったくない。 空調は集中管理されており、この時期は送風のみ。客室での温度設定はできないので、朝方、特に上階が寒かった。また不思議なことに、フットライトと空調のスイッチが連動しており、フットライトを消すと空調も停まってしまうのには参った。 照明プランも偏っており、テレビの周辺など、まったく光が当たらずに真っ暗な部分もあった。客室のバスルームは、ベイシン、トイレ、バスがそれぞれ独立した構造になっている。ベイシンとトイレの床は石。バスは140×180の洗い場付きユニットで、湯を溢れさせて入れるバスタブを備える。アメニティはブルガリ。タオルは4枚ずつ用意されているが、置き場がなく、ホワイエにタオル用のテーブルを設置してある。また、作務衣とワッフル地のバスローブもあった。 だが、温泉大浴場があるので、結局、客室内のバスルームは使用しなかった。温泉浴場の脱衣所は2階にあり、浴室は階段を上がって3階。浴室は立派な石造りで、ガラス張りのドライサウナ、檜浴槽と竹炭の壁がユニークな「いやし風呂」もある。浴室に窓はなく、露天風呂もないので、景色は一切見えない。窯のような蒸し風呂は、午後が女性用、午前が男性用の入れ替え制。温泉の湯はシンプルだが、塩素臭が気になった。タオルやアメニティは用意されている。 結局、滞在中に館内で他の客と遭遇する機会はほとんどなかった。この静けさはゆっくり過ごすにはありがたいが、ホテルにとっては危機的ではないだろうか。また、チェックイン時にあれだけ濃密だったサービスも、ひとたび部屋に入ってしまえば、あとはまったく接する機会がないし、チェックアウトはあっさりとしたものだった。出発時にきちんと見送るなど、チェックイン時同様の手厚いサービスを提供すれば、ふたたび来ようと思う客も増えると思うのだが。 |
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アズベール ホテル&スパ ATAMI(公式サイト) | |
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