鎌倉プリンスホテル Twin Room B
Kamakura Prince Hotel
2008.02.01(金)
神奈川県鎌倉市
楽-4

客室から眺める夕焼けの相模湾と江ノ島
 
Seaside Sentimetal 江ノ島というと真夏のイメージが強いが、江ノ島からも遠くはない鎌倉界隈は、季節を問わず多くの観光客で賑わっている。この日も寒かったが、鎌倉駅前は修学旅行に訪れた学生たちで溢れかえっていた。風情ある店が立ち並ぶ小町通には、さらにおばちゃんたちが加わって、学生と中年女性による原宿的混雑を呈しており、すんなりと歩くこともままならなかった。

鎌倉で用事を済ませてから、江ノ電に乗車。実に久しぶりのことである。かれこれ20年ぶりか、それ以上かもしれない。もしかすると記憶が吹っ飛んでいるだけで、ごく最近にも乗ったかもしれないが、少なくとも本人の自覚の上では数十年ぶりなのである。

江ノ電の車体もすっかり新しくなり近代的な外観をしているが、塗装パターンは昔ながらだ。車内もまた小町通同様にラッシュアワーのような混雑だった。客層も小町通とほぼ同じ。修学旅行生たちは盛んにシャッターを切り、おばちゃんたちは周囲も気にせずおしゃべりに興じている。

江ノ電が海沿いに出た。穏やかに輝く冬の海は眩しいばかりだ。ゆっくりと進む車窓から見る海はまた格別である。鎌倉プリンスホテルの最寄り駅である七里ヶ浜駅で下車。タクシーに乗ろうかと思ったが、あいにく空車は待機していない。手配をしようと携帯電話を手にした時、ちょうど一台のミニバスがやって来た。聞けばプリンスホテル前にも停車するというので、それに乗り込むことにした。

やがて出発したバスは海岸沿いの国道を経由して、住宅街へと至る交差点を曲がった。緩やかな坂道を上がっていくと、程なくプリンスホテル前に到着。だが、バス停はアプローチの外側にあり、そこからフロントまでは少々歩かなくてはならなかった。

ロビーは三角屋根の高い天井が印象的。小ぢんまりとしたフロントカウンターの他、シッティングスペース、売店、ラウンジがあり、いかにもプリンスホテルらしい雰囲気だ。冴えない感じのおばちゃん服が売店を飛び出し、ロビーにまで堂々と陳列されているのもプリンス風である。チェックインはスムーズだった。口数は少ないが穏やかな笑顔を見せる係が担当し、そのまま部屋まで案内してくれた。

建物の構造はやや複雑である。海沿いにはバンケットホール「七里ヶ浜」があり、そことホテル棟とは斜行エレベータで連絡している。なかなか珍しい乗り物だが、片道90秒を要するエレベータなので、目の前で行ってしまったら少なくとも3分は待たなければならないのが難点。そして、ホテルにはふたつのウィングがあり、海に並行して建つ1階と2階の棟、プールに沿って曲線を描いている3階と4階の棟に分かれている。

今回用意されたのは、2階にある28平米のツインルームBタイプ。客室の横幅は3メートルしかないが、奥行きが長いウナギ部屋だ。居室は内扉で仕切られており、狭いながらプライベートな空間に感じられる。部屋の魅力はなんと言っても眺めだ。床から梁のない天井まで一面全体の大きな窓は、相模湾を一望するパノラマビューを最大限楽しめるように工夫されており、一部分は小さいながらバルコニーに当てられ、扉を開放すれば潮風や街の音を室内にいながらにして感じることができる。

驚いたのは、その窓の清掃が実によく行き届いていることだ。内側はもちろんのこと、外側にも気になるような汚れは見られない。海風で汚れやすい環境にありながら、この状態は見事である。窓際にセットされたアームチェアに腰掛け、刻々と変化する穏やかな海を眺めていると、時が経つのも忘れてしまう。

ベッドは113×195センチサイズで、高さは45センチ。マットレスは硬く、へたり気味だ。軽いデュベに薄地のベッドスプレッドを掛けてメイクされている。ベッドと窓の間には小さなライティングデスクがある。デスクスタンドと足には石を球状にしたものが使われておりユニークだ。高速インターネット用の接続口は設けられているが、まだ回線が開通していないとのこと。更に、FOMAの電波も入りにくかった。ベッドの前には、白いテレビデオ(今や死語だろうか)が載ったチェストとバゲージ台が並んでいる。

居室の照明はすべて白熱光で、窓際のダウンライトとナイトランプは調光が可能だ。バスルームもプリンスホテルらしい造りになっている。ベイシンは浴室から独立しており、その部分まではカーペット敷き。ベイシンの脇にクローゼットがあり、冷蔵庫はベイシンの下に設置されている。

浴室は約2.6平米で、壁がタイル、床は大理石だ。このタイプにはシャワーブースはなく、アメニティはアロマエッセのボトルディスペンサータイプを使っている。タオルは3サイズ3枚ずつで、バスローブは備えていない。

このツインBタイプは海をひたすら眺めるには絶好のロケーションだが、江ノ島は窓に近い場所からでないと見えない。一方、3,4階に位置する他のタイプだと、海の眺めは半減するが、江ノ島や富士山が正面に近い場所に見え、更に国道から離れるので、より静かな環境で過ごすことが可能だ。

ツインAタイプならば、シャワーブースも設置されている。だが、屋外プールがオープンしている時期だと、プールが目の前にある3,4階は、その賑わいを覚悟しなければならないだろう。この時期、屋外プールはすっかりと静まり返り、水も汚れており、なんとも荒れた雰囲気だ。

プールサイドへは客室棟の一角にあるプール専用の出入り口からアクセスでき、この季節でも12:00から日没までの間、自由に散策できるようになっている。プールサイドから見上げる空は、どこまでも広かった。出入り口付近にはプール用の更衣室が設けられており、営業期間中も部屋から水着で移動することは禁じられている。だが、宿泊客専用なのだから、部屋から水着で移動できるよう、ガウンかなにかを用意すれば喜ばれるのではないだろうか。

飲食施設は3店。うち、日本料理店は別棟になっており、やや離れた場所にある。フランス料理「ル・トリアノン」は、ツインBの並びにあるので、海を眺めながら食事ができるロケーションだ。高い天井と大きな窓は、スケールを感じさせる。それなのに、なんとなく寂れた印象があるのは、退屈なテーブル配置のせいだろうか。あるいは、店を覗かせてもらったのが開店まえの黄昏時だったからだろうか。「なさぬ仲の終着点」的な、独特の雰囲気を持った店である。

ロビーラウンジ「あじさい」には暖炉があるが、今は火が入っていない。店名の通り、シーズンになれば、これまたダイナミックな窓から美しい紫陽花が眺められるそうだが、この季節は哀れな枯れ山にしか見えない。シーズンオフだけあって、全体に客が少なく、スローな時間を楽しむには打って付け。午前中もゆっくりと過ごし、12時のチェックアウトタイムまで、ひたすら海を眺めていた。

 
28平米のツインルーム 眺めを堪能できるよう大きな窓が設置されている 部屋から日没が見える

窓から内扉方向を見る 昔懐かしい白いテレビデオ デスクスタンドの脚は大理石の球

窓際のシッティングスペース ベランダからの眺め アウトベイシン

ベイシン脇にはラックがある ブロックタイルのバスルーム 床は大理石

ロビーのシッティングスペース メインダイニング ロビー階に繋がっている客室廊下

夜のラウンジ ラウンジからロビーを見る いちごパフェ

プールサイドからホテル棟を見る コーナーにはスイートがある カーブを描いたホテル棟

空が広い屋外プール プールサイドから見る海 正面玄関前

ホテル前から海岸への地下道 海岸にて 夕日を浴びて輝く波

江ノ電とホテル棟低層階 坂の向こうに海が見える風景 道路を進む江ノ電

 鎌倉プリンスホテル(公式サイト)
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