舞台セットのような演出空間 |
2007.12.25(火)
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ホテルモントレ赤坂 Standard Twin Room | |
Hotel Monterey Akasaka |
楽-3
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2007年4月3日に開業したばかりのホテルモントレ赤坂は、モントレグループの中で最新のホテルである。赤坂御用地の斜向かいという緑豊かな一角に建ち、モントレらしい瀟洒な外観は、青山通りでも異彩を放っている。周辺環境は申し分ないが、最寄りの赤坂見附駅から徒歩の場合、緩やかな坂をひたすら上がること5分以上は掛かるので、それなりの覚悟が必要だ。
ファサードは小ぶり。モカクリームのライムストーンを使った枠組みデザインや通りに突き出た旗が、ブリティッシュテイストを感じさせる。だが、そこに手書きで不器用に「フレンチ」書かれたレストランの黒板が出ていたり、他の看板が点字ブロックを塞いでいたりと、オーナーの理念と従業員が持ち合わせている美意識やモラルの質に、大きな隔たり垣間見る気がした。 館内に入ると、パブリックスペースのデザインには驚かされた。質感はたいしたことないが、それでもビジネスホテルの域は十分に超えている。大理石を敷きつめた床、大きくてシンボリックなシャンデリア、床にまでなびくドレープなど、それらが重要な大道具となって、このステージを華やかに見せている。そう、まるで歌手のいないオペラのセットのようなのだ。この空間は、客がいない時が一番美しく見えるだろう。 フロントはロビーの奥、わかりやすい場所にある。カウンターには3人の係が立ち、サービスは特段可もなく不可もない感じ。エレベータは2基しかないが、196室という規模ならば、3基は贅沢なので仕方がない。 用意された客室は、青山通りに面した表向きのツインルームだった。アズキのようなブドウのような濃い色の壁紙と、薄いベージュのカーペット。270センチある天井には、ウィリアムモリスを思わせる小さい草花をモチーフにした柄があしらわれている。ベッドは120センチ幅で、マットレスの厚さは18センチ。白いデュベカバー仕上げで、カラースキームにマッチしたスローケットを添えている。 ベッドと窓の間には、わずかな空間があるだけで、そこにイスを置くような余裕はない。窓は1面の部屋が多いようだが、ここは2面あるので「当たり」の部屋だ。窓は開閉可能で、上部から手前に引き倒されるスタイル。閉じている状態でも、青山通りを往来する車の音はそれなりに聞こえてしまう。 クローゼットは窓際に設置されており、7本のハンガー、パイル地スリッパ、折りたたみ式バゲージ台が入っている。クローゼットに寄り添うようにしてデスクユニットがあり、片隅には20インチ液晶テレビが載る。下には冷蔵庫やカップ類が収まっており、ソフトドリンク類は200円だ。引き出しはデスク下のみで不足を感じる。デスク前にはミラーとブラケットライトを設置。脇には、姿見とスツール、脱衣カゴ、空気清浄機が備わる。イスの類はデスクチェアとこのスツールのみなので、くつろぎのスペースはない。照明はシーリングも含め、バスルーム以外、すべて調光が可能だ。 バスルームは140×180センチサイズでのユニットで、ブラウン系の光沢のあるパネル仕上げという大胆さ。床は超撥水性で、万が一バスタブ外に水が流れても、たちまち乾いてしまう。シャワーは勢いがあって快適だが、サーモスタットを最高温度に設定しても、ちょっと熱いくらいにしかならない。アメニティはモントレらしく充実している。 このように、設備としてはシティホテルに限りなく接近しているが、サービス面は全くもってビジネスホテルの域を出ない。シンプルにステイするだけなら、これで十分と考える人も多いことだろう。逆に、シティホテルはサービスをより一層充実しなければ、こうしたプレビジに打ち負かされてしまうかもしれない。ぜひともシティホテルには、卓越したサービスと品格を保ってもらいたいものだ。 |
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ホテルモントレ赤坂 |
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