だが、クリスマスだからと言っても、通常通り仕事のある人々は盆暮れ正月以上に多いはずだ。ビジネスでホテルを利用する客にとって、こうしたお祭り的シーズンは、部屋が高いし探しにくいしで、踏んだり蹴ったりだ。今回のパレスホテル立川も、いつものレートを考えると高い料金だった。だが、都心などはラックレートよりも高く売っている阿漕なホテルもあるくらいだから、それと比較すればお買い得だったかもしれない。

立川駅付近はものすごい人で溢れ、伊勢丹脇のぺデストリアンデッキなどは初詣の明治神宮のようで、歩くのも容易でなかった。駅からわずかな距離なのに、ヘトヘトになって到着。ロビーもいつになく賑わっているが、駅前の喧騒とは違い、華やかな活気に満ちている。ちょうど梓みちよさんのディナーショーが間もなく始まろうとしている時間だったので、相応しい装いをした人々が多く、なかなかいい雰囲気だった。

1階のレストランではディナーブッフェがファミリーに人気で、早くも満席の賑わいを見せている。BGMに耳を澄ますと、キッチュでダサいクリスマスミュージックが流れ、なんだか愉快な気分になった。

チェックインを済ませ部屋へ向かおうと、エレベータホールに行ったが、いつも以上になかなか来ない。エレベータが2基しかなく、宿泊客以外にも、宴会場や2階のレストランに行く人々も利用するので、フル稼働でも追いつかないのだろう。その対策のためか、開ボタンを押し続けていても、一定の時間が経つと勝手に扉が閉まる設定になっている。更には、閉じ始めた扉を片方だけ押さえても閉じるのを止めることができず、両方を押さえた時に初めて開くようになっている。なかなか強引で頑固なエレベータだ。

パブリックフロアはヨーロッパの邸宅風インテリアがエレガントな雰囲気を醸しており、コミュニティホテルとしてはとても立派なロビーを持っている。ロビー階のエレベータホールも石造りで古城のようだ。客室フロアもそのテイストを受け継いでいるが、ロビーに比べると薄味なので、ついついそっけなく感じてしまう。

今回用意された部屋も、前回と同様、スタンダードツイン。向きも同じくデパート向きだ。レモンクリームのベッドスプレッドや、ペパーミントグリーンのヘッドボードなど、パステル系のカラースキームでまとまっており、明るい印象。ただやはりベッドスプレッドを外した時に毛布がむき出しになるというのはダサ過ぎる。ベッド幅は110センチで、マットレスの厚さは18センチだ。

窓際にはふたつのアームチェアとガラスのテーブルを置いている。窓もせっかく大きめに取られているのに、眺めは悪い。天井高は270センチあり、24平米というコンパクトな面積にしては、圧迫感が少ない。デスク前の壁にはブラケットライト付きのミラーが取り付けられ、このミラーとデスクに添えられたイスのデザインが、一番ヨーロピアンスタイルを感じさせている。デスク脇のキャビネットには4段の引き出しと引き抜き式冷蔵庫が備わり、上にはブラウン管テレビが載っている。冷蔵庫には持ち込みスペースがほとんどないので、評判が悪いに違いない。LANは1日500円だ。

バスルームは面積が160×200センチで天井高は220センチある。大理石柄のパネルを使い、ベイシンのカランはパークハイアット東京と同じもの。それはいいものを使っているという意味でなく、パークハイアットがコミュニティホテルで使うようなものを使っているということだ。バスタブのカランも水量の勢いが強く、シャワーも強力で心地いい。バスタオルは3枚で、フェイスとウォッシュは2枚ずつ用意されているが、アメニティはロゴもなくてつまらない。

この日は空調の様子が変だった。いくら温度設定を高くしても冷風しか出てこない。12月に冷房だなんて、南半球じゃあるまいし。毛布一枚だけというのが骨身に沁みるほど、一晩中凍えそうだった。

チェックアウト後、館内で食事をしようかと思ったが、どの店も大混雑。まだロビーラウンジには空席があったので、1,800円のグルメセットを注文して、軽いランチ代わりにすることにした。ワンプレートにトルティーヤ、野菜スティック、シーフード＆ポテトグラタンが盛り合わさって、他に黒ゴマアイスのデザートと、飲み物がセットになっている。だが、グラタンはホワイトソースが液状のままで、少しもグラタンらしくなかった。生のホワイトソースなんて、腹をこわしそうで怖い。