沖縄的白亜之城
2007.12.07(金)
ホテル日航那覇 グランドキャッスル Deluxe Twin Room
Hotel Nikko Naha Grand Castle
楽-3

ホテルエントランス アッタテラスからグランドキャッスルに向かう途中、やっぱりナハテラスに立ち寄りたくなった。今回はいつもと違ったホテルに泊まると決めていたので、あえてナハテラスを予約しなかったのだが、それでも素通りすることは出来なかった。ナハテラスに着くと、泊まるわけでもないのに、ゲストリレーションズの人やマネジャーがいつものように出迎えてくれた。一番好きな場所に帰ってきたと思える瞬間である。

このままチェックインして、グランドキャッスルはドタキャンしちゃおうかという考えも頭をよぎったが、そういう身勝手でホテルに迷惑を掛けるわけにもいかない。しばらくナハテラスの空気を味わうだけでも、アッタテラスでの余韻を締めくくるデジェスティフになるだろう。ちょうどランチタイムだったので、「真南風」で料理長おすすめランチ2,600円を注文した。

全体的に以前より若干値上がりしているが、その分、料理はグレードアップしている。おすすめランチも膳が2度に分けて運ばれるようになり、ミニ懐石の気分も味わえる。気が利いた食材を手間隙掛けて調理した品々はどれもいい味を出している。

食後はロビーラウンジに移動して、いつものバナナスムージーを注文。以前このラウンジにいて、しばらくブセナテラスに行っていたスタッフから、「また戻ってきました」と挨拶があった。シャイな沖縄の人から進んで声を掛けてくれるのは嬉しいものだ。ブティックでおみやげを買い込んで、お名残り惜しく出発。タクシーに乗ろうとしたが、ホテルカーのメルセデスを出してくれ、それでグランドキャッスルまで送ってもらった。

途中の道は渋滞していたが、那覇市内の景色を見ているうちに到着。広々とした車寄せに着けようとしたその時、前方から一方通行を逆走してくるレンタカーと出くわした。ぶつかることはなかったが、そのレンタカーにはすでにへこみ傷が付いていた。どこかにぶっついたに違いない。彼らが無事に旅行を終えられるよう祈ろう。テラスのドライバーに別れを告げ、グランドキャッスルのベルに先導されて、フロントへ向かった。

チェックインを担当したのはマネジャー風の男性だった。普段はチェックイン業務などしないのか、ややあたふたと不慣れな仕事ぶりだった。「それではお部屋は1214号室です」と手渡されたルームキーは1412号室のもの。言い間違えたのか、取り違えたのか。この差は大きい。確認すると、鍵を取り違えたらしい。互いにここで気が付いてよかった。

部屋まではベルが案内した。エレベータは3基あり、それとは別に20階のラウンジへと通じるシースルーエレベータがあるが、それは工事中で使えないようになっていた。また、16階と17階の客室も改装中。廊下は一直線に延びており、天井がとても高い。利用した客室は30平米のツインルーム。広さは同じでも、スタンダード、デラックス、エグゼクティブと内装のグレードが異なる3つのカテゴリーに分かれており、今回はデラックスを選んだ。

室内は、30平米という割りには広く感じられる。インテリアは様々な年代のテイストが同居したり、開業当時の趣きを残す部分があったりと、なかなか興味深い。家具類は90年代初頭のデザインで、ファブリックのカラースキームは今世紀に入ってからのテイストだ。比較的オーソドックスな家具だが、アームチェアのグリーンとカーテンのイエローが、ポップでフレッシュな印象を与えている。

窓は一部が開閉できる出窓で、窓台の高さは80センチとやや高く、窓台の下に蛍光灯の間接照明を設けているのがユニーク。そして、その部分だけ床がタイル敷きだ。カーテンはその照明部分までしか丈がなく、つんつるてん。窓の両脇には白い衝立を設け、カーテンはそこに収まるようになっている。窓際の梁にはハロゲンのダウンライトが3箇所取り付けられており、シッティングスペースを明るく照らす。

デスクユニットとバゲージ台だけを見ると、いかにも日航ホテルという感じ。引き出しが多くて便利だが、テレビは20インチと小さい。ベッドは123センチ幅が2台並び、カバーと一体化した寝具を使っている。マットレスは12センチの厚さで、硬く、寝心地が悪かった。バスルームは158×218センチのユニット。タオルは3サイズが2枚ずつ用意され、アメニティはディスペンサーボトルがメイン。見た目には清潔感があるが、全体にカビ臭く、それが部屋全体に漂っていた。

ホテルの開業は1973年8月31日で、JALホテルシステムの日本国内第1号店である。当時の名称は沖縄グランドキャッスル。首里城にも程近い丘の上にそびえる白亜の豪華ホテルとして、那覇の人々の憧れの的であった。交通の便はあまりよくないが、その威容は市内様々な場所から見上げることができ、夜のイルミネーションもまた美しかった。

クリスマスに最上階のレストランで食事をしたり、正月には家族揃って館内のボウリングを楽しんだり、プールのシーズンには25メートル5コースの本格的プールで泳いだりと、泊まらなくても誰もが楽しめるホテルとして親しまれてきた。展望レストランやボウリング場はなくなり、他の面でも時代とともに役割が変わりつつあるが、今でも沖縄を代表するホテルであることに変わりはない。

ロビー階は4階に当たり、館内には所々往時を偲ばせるレトロなムードが残っている。ひときわ印象的だったのは、JAL沖縄キャンペーンの歴代ポスターを掲示したプロムナードだ。時代の移ろいと、JALという航空会社の変遷をも感じさせる。

夕食はロビー階にあるレストラン「セリーナ」を利用した。ブッフェが終了間際だったので、アラカルトを注文したが、安かろう悪かろうの内容だった。パパイヤボードは、まるでレモンのような小さなしなびたパパイヤが出てきてビックリ。サービスも呼び止めるまではなにもしてくれないほど気が利かなかった。朝食も同じ店で。1,575円のブッフェだが、これと言って印象に残る料理はなかった。

出発はスムーズに行なわれた。フロントキャッシャーには、昔の両替所みたいにアクリルのパーテーションが設けられていて、切り取られた穴からやり取りをする。テキパキとして、銀行窓口を思い出させるサービスぶりだった。

 

明るいビタミンカラーがフレッシュなツインルーム 出窓の脇にはカーテンボックス風衝立がある 窓際から室内を見渡す

デスク周辺はシンプル 窓の下はタイル張りで間接照明付き バスルーム扉

ベイシン バスタブ 沖縄名物洗濯物ハンガー

レトロなロビー フロントカウンター前 手作り風のクリスマスディスプレイ

ロビーラウンジ チキンソテー パパイヤボード

沖縄キャンペーンの歴代ポスター 正面玄関を見守るシーサー メインエントランス前にある門

門を少し離れた場所から見る ホテルのガーデン 日航ホテルでよく見かける蛇注意看板

珍しい飛び込み台付きプール 子供プールはイルカの柄 白亜の城と呼ばれる外観

 
ホテル日航那覇 グランドキャッスル


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