装いと振る舞いを楽しむリゾート |
2007.11.01(木)
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ジ・アッタテラス クラブタワーズ Deluxe Room | |
The Atta Terrace Club Towers |
楽-4
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58号線の安富祖の信号を曲がり、亜熱帯の森に囲まれた坂を上がると、アッタテラスへのアプローチがあり、端を渡ってしばらく進むと、クラブタワーズのエクスクルーシブなエントランスに到着する。ゴルフ場のクラブハウスはもう少し先に位置しているが、用もない人がここまで上がってくることは考えにくいので、プライベートな雰囲気が保たれている。車が到着すると、数人の係が出迎えてくれた。
あいにくの強い雨だが、強いだけに熱帯のスコールのようで、これはこれで悪くない。レセプションエリアには、他に客の姿もなく、雨の音だけが聞こえるオープンエアの空間で、ふっくらしたソファに座りながらチェックイン手続きをする。「今日から新しくなりました。神田様が最初のお客様です」と言って振舞われたのは、ウェルカムドリンクのアマレットティ。その場でオレンジの皮を削り、香りを楽しむという趣向だ。 お茶をすすりながら遠くに目をやると、果てなく広がる森が見える。耳を済ませば雨音にまじって、セミの声が聞こえてきた。沖縄のセミは、まるでカエルのような声で鳴く。屋内にいながら、森の風に包まれる感覚。心まで軽やかになるこの開放感は、実際にこの地に来なければわからない。正直、こんなに心地よいとは思っていなかった。悪天候ではあるけれど、遠くの海の波音に耳を傾けたくなるほどの静けさは客の少ない時期でなければ得られないので、好天の繁盛期よりもアッタテラスらしさが感じられるのかもしれない。 時計を見たらまだ午前10時半。チェックインタイムまではまだまだあると思っていたが、すでに部屋の準備が整っているとのこと。早速案内してもらった。宿泊棟へは、エントランスから電気カートを利用する。歩いてもわずかな距離だが、急勾配の坂なので、遠慮なく利用して欲しいとのこと。ただ、部屋からレセプションへ戻る際は、電話で迎えを呼ばなければならないので、実際は歩いてしまった方が早い。 宿泊棟は2棟並んで建っており、今回用意されたのはノースタワー9階のデラックスルーム。最上階にはスイートがあるが、それ以外の標準フロアは、デラックスルームとラグジュアリールームが2室ずつ、つまり1フロアにわずか4室しかない。それぞれの棟に40室弱だが、これが満室になった時のことを想像すると、ぞっとする。やはり静けさとゆとりこそが最大の魅力である。 デラックスルームは52平米。リゾートとしては珍しくない広さではあるが、室内は十分に個性的に出来ており、雰囲気的にはブセナテラスのコテージにも迫る。タイルとフローリングの床に塗り壁というナチュラルなテイスト。家具もそれにマッチするもので揃え、トータルでのコーディネートは見事だ。123センチ幅のベッド2台と、ソファセットのみのシンプルな設えで、リゾートに不要なものは可能な限り取り去っている。テレビさえも、本当は置きたくなかったのかもしれないと思わせるほど小さい。 窓はワイドで、中央の2枚が開放できるようになっているが、ブセナのコテージのように完全なオープンエアにすることは出来ない。広いバルコニーにはテーブルと椅子がセットされているが、この天気では使いようがなかった。また、バルコニーの脇に目隠し用の衝立が設置されているが、これは向きによっては取り付けられていないので、その方が景観は開放的だと思われる。 そして、この部屋の魅力は何と言ってもバスルームにある。バスルームだけで15平米もの面積があり、木目と大理石をあしらい、色使いでも居室との連続性を持たせている。その連続性はインテリアにとどまらず、居室とバスタブの間にある大きな引き戸を開放すれば、まるでバスタブが居室の真ん中に置かれているような感じになる。間にガラスもブラインドもないという開放感が素晴らしい。 バスタブは長さが170センチとロングサイズ。ベイシンはシングルだが、広々としたベイシントップは使いやすく、スツールも添えられているので、ドレッサーとしても使える。トイレは完全に独立。また、シャワーブースも独立しており、ユニークなレインシャワーを備える。シャワーの勢いはいいのだが、湯が出るまでに時間を要するのが気になった。アメニティはナハテラスのクラブフロアとほぼ同じで、フラゴナールのシャンプー類やMATIS PARISのコスメティックを揃えている。 クローゼットはバスルーム内にあり、ルームウェア、バスローブ、ビーチウェア、ビーチ用バッグが用意されている。照明はすべてが白熱色で、やわらかく美しい。全体的に演出力には優れている客室だが、実際の質感はそれほど高くないという点で、パークハイアット東京に通じるものがある。 プールサイドにはライブラリーラウンジがあり、軽いランチも提供しているので、利用した。サンドイッチやパスタなどが1,500円程度と手頃だが、エスニックプレートというのが興味深かったので、注文してみた。メインはナシゴレンだが、サテや紅芋生春巻きが添えられていた。14時半からはティータイム。滞在中は毎日無料で利用でき、クッキーの他、サーターアンダギー、黒糖、スッパイマンなど、沖縄の菓子が並ぶ。 敷地内を一通り見て回ったら、もう見るところがなくなってしまった。ブセナと違い、これといった施設がないので、アクティブ派はたちまち退屈してしまうかもしれない。午後になって雨が上がったので、誰もいないプールでひたすら泳ごうがと思ったが、10月でクローズになったと言われてしまった。確かサイトには11月まで泳げると書いてあったはずなのにと思いつつ、係にそう言われては仕方がない。 せめてプールサイドに座ってのんびりしようかと思ったが、デッキチェアはどれも雨に濡れたまま。でも誰もタオルを貸してくれるわけでもなく、椅子を拭いてくれるでもない。この辺がまだ未成熟さを感じさせる。 夕食は「ファインダイニング」のプールサイドテラスでコースを。夜ともなればさすがに肌寒いが、ガスストーブが設置されているし、ひざ掛けを用意してくれる。リゾートならではのロケーションだが、店内に比べて照明が暗く、メニューはペンライトで照らさなければ見えない。それはともかく、料理をペンライトで照らしながら食べるわけにもいかず、せっかくの彩り豊かな料理を目で楽しめないのは残念だった。そのためか、味の方もいまひとつの印象。また、サービス陣は全員女性で、感じのよいサービスをするものの、客を楽しませるほどのスキルは持っていない。 それよりも、隣のテーブルに陣取った中年夫婦の振る舞いの方が迷惑だった。おそらくゴルフをしに来た客だと思われるが、食事中、何度も携帯電話で通話をし、その度に大きな呼び出し音と大声での会話が雰囲気を壊す。あまりに声が大きいので、その人が医者で、翌日はどんな予定なのかなどが丸聞こえだった。更に、日中は穏やかな雰囲気だったラウンジも、アフターディナーになると、中年男女がたむろして、下品なスナックのようになっていた。プールサイドには座れないし、ラウンジもこんな雰囲気では、部屋に戻るしかない。 バスタブに湯を張って、照明を落とし、窓を開け放って、ゆっくりと体を温める。すると、昼間は気にならなかった国道58号線の車の音が、かなり聞こえることがわかった。また、夜遅くになり、風向きが変わると、隙間風の音が眠りを妨げるほど不気味で強烈だった。翌朝、レセプションの人に聞くと、高層階ほど風の音が深刻だとのこと。強風時は高層階を避けたほうがいいかもしれない。 朝食は同じく「ファインダイニング」にてブッフェ形式で提供される。一般的な朝食アイテムの他に、沖縄らしさが感じられるものや、ブランチ的なアイテムも並ぶ楽しい朝食だ。チェックアウトはレセプションで。丁寧なサービスだが、気が利いているかというと、そうではなかった。 出発の段になって「屋外プールの営業期間を昨日は10月までと申し上げましたが、実際は11月末まではお使いいただけるようにいるそうで・・・」などと今更言われたが、それじゃ泳げなかった悔しさが増すばかりではないか。しかも、今は台風が来てもおかしくない時期なので、悪天候でもそれに当たらなかっただけマシみたいなことを言われ、ちょっとカチンときた。自分で自分を慰める時の発想であって、従業員から言われることではない。その上、さあ帰らなきゃという時間になったら、晴れ間が出てきた。太陽よ、お前もか! |
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ジ・アッタテラス クラブタワーズ |
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