くい掛け
2007.09.30(日)
ホテルニューグランヴィア Single Room
Hotel New granvia
楽-2

周囲でも目立つ存在のチャペル 初めて降り立った「くりこま高原駅」は、東北新幹線のみが停車する小さな駅だ。駅前には公共施設と大型ショッピングセンターがあるが、田んぼの中に突如出現した近代設備は、新幹線開通以前の穏やかな風景を遠く過去のものに追いやってしまった。名から想像するような爽やかな風は、どこにも吹いていない。

この駅から目的地までは距離にして15キロ程度だと聞いている。タクシーを使うしかなく、駅前で待機しているタクシーに乗り込んだ。駅から少し離れただけで風景はガラリと変わった。稲刈りを終えた田んぼには、天日干しで自然乾燥させている稲が、独特の形状に積み上げられている。くい掛けと言い、以前は盛んに行なわれていたが、今では農家が自分たちで食べる分だけに行なうケースが多いのだと、ドライバーが教えてくれた。

田んぼの傍らには、牛たちがたむろしている姿も見える。この自然乾燥させた稲わらを牛が好んで食べるそうだ。移動しながら、社会科見学もさせてもらっている気分。うわ、今度は白ウサギがいる!と思ったら、ゴミの入ったコンビニ袋が道端に捨ててあっただけ。人間の愚行は都会も田舎も変わらないらしい。

田園を抜けると、水際の風景に変わった。渡り鳥の飛来地として名高い伊豆沼である。季節的に鳥たちの姿は少なかったが、湖面を埋め尽くすような蓮の葉に圧倒された。最深部でも1.4メートルと大変浅い沼だという。沼を過ぎてしばらく走ると、次第に宅地が増え、気が付けば市街地になっていた。ドライバーが「もうすぐですよ」と告げる頃には、日も暮れようとしていた。

この夜の宿は、市街地の一角にあるホテルニューグランヴィア。かつてはグランドホテル鹿野という名前だったが、いつの間にか変更になった。グランヴィアと言っても、JR西日本のホテルチェーンとはもちろん無関係。隣は村田製作所の工場で、登米市役所には徒歩でいける距離だというが、ホテルの立地としては恵まれているとは言えない環境にある。

プローチの脇には、比較的新しいチャペルが建っており、宿泊よりも婚礼をメインとしていることをうかがわせる。ロビーは明るく、多数のソファが置かれ、大型テレビもある。2階は宴会場で、客室はすべて3階。総客室数はわずか20室の小さなホテルだ。今回はまず1泊して、翌日は一度チェックアウトし、その翌日にまたチェックインして2泊、つまり、都合3泊するが、中1日抜けるというスケジュールになっている。

用意された客室はコンパクトなシングルルームだ。3階の廊下は広く、赤い絨毯が古めかしい。四角い建物だが、客室の配置は変則的で、客室ごとにそれぞれ違ったレイアウトになっているように思われる。アサインされた部屋は、非常階段に面している。しかも、非常階段への出口が、廊下ではなく客室内にあるのは珍しい。

天井高は240センチ。120×195センチサイズのベッドが1台置かれ、窓に向いてデスクが据えてある。LANは無線、有線ともに完備されているが、室内に冷蔵庫がないのは不便だった。テレビは14インチと小さい。バスルームは2平米に満たない小さなユニットで、洗浄機能付き便座もないが、浴室金具は比較的新しい。クローゼットは置き家具で、空調は個別エアコンだ。

朝食は1階フロント脇のレストラン「花釉」で提供される。和洋のセットそれぞれ930円で、値段の割には美味しい部類。このレストランは朝食専用のため、ランチやディナーをホテル内でとることは出来ない。にもかかわらず、周辺にはあまり飲食店がないので、滞在中は食事に不便した。

2度目のチェックインの際も、同じ部屋を用意してくれた。喜怒哀楽的には違う部屋に泊まって、違いを味わってみたかったけれど、宿の気遣いを無駄にはしたくなかったし、連日満室の盛況ぶりの様子だったので、そのまま同じ部屋を使った。

 

シングルルーム いたってシンプルだ デスクは窓際

室内にこのような非常口があるのは珍しい バスルーム 朝食

 
ホテルニューグランヴィア


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