シンプルではなく、退屈 |
2007.09.22(土)
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ホテルハーヴェスト鬼怒川 Deluxe Twin | |
Hotel Harvest Kinugawa |
哀-3
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浅草から東武特急スペーシアに乗って鬼怒川へ向かった。去年は新宿から鬼怒川への直通特急が開通したばかりだったので、ものめずらしさもあってそちらを利用してみたものの、旧式の車両を改装したJR特急は乗り心地が悪く、一度で懲りた。その点、東武の車両はなかなか立派。今回は個室に乗ってみたのだが、内装の細かいところに真鍮や大理石を使っているなど、バブルっぽさが感じられる。それよりも静かな環境を確保するという点がなにより魅力的だったのだが、それには時期が悪かった。
連休初日とあって全車満席。両方の隣室には小さな子供連れファミリーが乗車していた。個室だから人の視線がない分、一般席よりもハメを外しやすいのかもしれない。子供たちもパパも大はしゃぎ。ちょっと昼寝でもしながら過ごそうと思っていたのに、どったんばったん、それどころではない2時間だった。 鬼怒川温泉駅に到着し、やっと騒音から開放されたと思いきや、それはタクシーに乗車中のわずか5分だけだった。ホテルハーヴェストのロビーもまた、連休を家族で過ごそうという人たちでごった返していた。チェックインタイムの15時には少し早い14時半。外はあいにくの雨なので、みな行き場がないようで、ロビーは手続きを待つ客が溢れていた。子供たちは退屈し、じっとしていられない様子。まるで運動会のような騒ぎになってしまっている。ゆっくり雨を眺めて考え事でもしようかと思っていたが、それどころか場違いなところに来てしまったようで、肩身が狭かった。 この日は14時45分に部屋への入室が始められた。少し早い分にはありがたかったが、一斉に開放されるので、エレベータが混雑して何基も待たなければならないし、まるで団体行動を取らされているような感覚で落ち着かない。明らかに宿の選択を間違ったと後悔したが、今更仕方がない。 今回の客室はデラックスルーム。ちょうど建物が折れ曲がったところに位置しており、廊下から窓に向かって「ハ」の字に広がっている部屋だ。広々としているが、内装は工夫がなく、マンションの一室のような感じ。しかし、見た目のことよりも、臭いの方が気になった。何となく大勢の人が長時間いた密室のような複雑な臭いがこもっている。しばらく締め切られていて、蒸れたのかもしれない。幸いすべての客室にはバルコニーがあって、窓を大きく開放することができるので、すぐさま換気をした。そのついでにバルコニーに出てみると、ちょうど正面玄関が真下に見える。今回は川側の部屋に泊まってみたかったが、予約した時点で空いていたのはこのタイプだけだった。 天井高は255センチ。広い割には圧迫感がある。ベッドは居室の手前側に2台あるが、それぞれ100センチ幅とやや狭い。カバーと一体型の寝具を使い、ベッドリネン類には粗さが感じられる。窓際にはL字状に置かれたソファがあり、これは3名以上で利用する場合にソファベッドとして利用するようだが、その際のベッドメイクは客が自身で行なうことになっている。和室のふとん敷きも同様にセルフサービスだという。 ソファの前には丸いローテーブル。そして、テレビ台、ライティングデスク、バゲージ台、フロアスタンド、タオル掛けという必要最低限の設備に留めている。デスクはワイドだが、コンセントは一切なし。電話機はナイトテーブルのみで、今どき珍しいパルス式。もちろんLANもない。フリーザー付きの冷蔵庫とクローゼットは内扉の外側に据えた。引き出しはデスクにある3段のみで、収納スペースは少ない。バゲージ台の下は葛篭風になっている。 バスルームはアウトベイシン。ウェットのスペースは140×180センチで、バスタブと洗い場がある。バスタブは小さいが深い。トイレは完全に独立させた。 だが、見れば見るほどつまらない部屋である。シンプルではなく、退屈の域だ。これでは印象に残らない。ちょっと気の利いたデザインのアームチェアひとつでも置くとか、照明器具に個性を持たせるとか、あるいは壁にアートワークをディスプレイするとか、何かしら演出があっていいと思う。 改めて人のいなくなったロビーに行ってみると、そこが一番落ち着ける空間であることがわかった。壁一面の窓からは、渓谷へと通じる林が広がる。濡れた葉の間を覗き込めば、コバルト色の川面もわずかに見える。ロビーの一角には売店がある他、臨時のアンティークショップもオープンしていたので、退屈凌ぎにちょうどよかった。 ロビーの下の階には、大浴場クアゾーン、マッサージコーナー、屋内プールがある。フロア全体が健康ランドやスーパー銭湯の雰囲気だ。小さくて面白くもないゲームコーナーがあるのだが、皆よほど退屈なのだろうか、そこが一番賑わっているようだった。 クアゾーンには、寝湯、座湯、ドライサウナ、スチームサウナ、バブルバス、露天風呂などがある。温泉だが、かなり塩素臭い。洗い場には、売店で取り扱っている馬油シャンプー、オレンジシャンプー、炭シャンプーの他、ピーリングジェルや化粧水、軽石など、様々なものがサンプルとして置かれている。タオル類は部屋から持参する。 朝食は7時半からロビー階のレストランで提供される。ちょうど7時半に行ったが、すでに数人がオープンを待っており、数分遅れでドアが開いた。和洋のブッフェだが、ファミレスで出てくるようなレベルの食材ばかりでグレードが低い。サービスは素朴だが、あまり好感は持てなかった。同じ店のディナーは1万円以上だが、この朝食から推し量ると、とても利用する気にはなれない。 |
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ホテルハーヴェスト鬼怒川 | 060829 |
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