七夕当日は残念ながら雲が多く、星たちを見ることはできなかったが、多くの人々のささやかな願いが天上に届きますように。そしてこの日は、成田で七夕コンサートに出演。それは成田地区で演奏活動をしている音楽家グループ「Tuttiの会」の主宰者からのお招きによるコンサートだった。元々は主宰者邸のリビングルームにてサロン形式の予定だったが、ゲストが増えたためにホテルに場所を移して行なわれることになった。

会場はマロウドインターナショナルホテル。まだ泊まったことのないホテルだが、地元の人によれば、大手のチェーンやブランドホテルに属していないので、この地区では一番融通がきいて使いやすいのだという。コンサートは元々サロンコンサートの予定だっただけあり、とてもアットホームだった。

終演後は「Tuttiの会」の皆さんと、最上階のラウンジ「ギャラクシー」へ。いわゆるスカイラウンジなので、スケールの大きな店かと思っていたが、意外にもこぢんまりとしており、むしろ隣接するフレンチレストランと中国料理店の方が2倍以上広い。ラウンジ内は照明を抑え、様々な色に輝く空港のライトが美しかった。

このままマロウドに泊まれば楽だったが、予約は日航成田に入れてあった。日航成田には、もうかれこれ20年近く泊まっていないので、初めて訪れるに等しいほど記憶にない。車で到着すると、もう零時近いのにベルがすぐに玄関へと駆けつけ、荷物を運んでくれた。ベルの顔ぶれは国際色豊かだ。

ロビーは2層吹き抜けで、床や柱は大理石造りだが、天井の意匠やシャンデリアなどが古めかしく、70年代のフランス映画を見るよう。開業は1978年なので、もうじき30周年。パブリックスペースに配されたファニチャーは、70年代、80年代、90年代のデザインが入り混じり、統一感こそないが、それぞれのテイストを一同に見比べられて興味深い。

今回用意された客室は、新館のエグゼクティブルーム。エグゼクティブと付いているが、ラウンジなどのある特別フロアを意味するのではなく、新館の標準客室をそのように呼んでいる。新館用のエレベータは2基あるが、新館エレベータホールに向かうより、4基ある本館エレベータを利用し、各フロアの連絡通路を経由した方が便利。

客室は33平米、天井高は255センチで、ティピカルなホテルルームレイアウトだ。ベージュ系でコーディネートされ、よくまとまっている。家具は90年代風だが、20インチ液晶テレビとデスクスタンドは新調されたようだ。テレビは地上デジタルをアナログに変換して配信しているらしく、画像がきたない上にサイズダウンして表示される。

ベッドは120センチ幅で、カバーと一体になった寝具。枕はひとつだけで、予備はクローゼット内に用意されている。また、クローゼットには洋服ブラシの代わりに、昔流行ったエチケットブラシが下がる。室内には照明器具が多く、それぞれに独立したスイッチがある。窓は少し開くが、遮音性は高い。だが、ドアからは音が筒抜けなので、騒々しい廊下が気になった。

バスルームは約5平米。タイル張りで、ベイシン部分まではカーペット敷きだ。バスタブは170センチの長さがあり、背の高い人でもゆったり浸かれる。アメニティはフェラガモで、タオルは3サイズが2枚ずつ用意されるが、バスローブはない。そして、やはり気になったのは清掃状況だった。ベッドボードに残されたヘアリキッド、前の人が使ったままのグラスなど、見落としが多い。

朝は、「サンセットラウンジ」でコーヒーサービスがあった。朝日を浴びながらサンセットラウンジというのも妙な感じだったが、店内に流れるキッチュなラブバラードと、テレビの音声が混じりあい、田舎のドライブインのような雰囲気なのも妙。コーヒー以外にも、ジュースと3種のパンが用意された。このラウンジは11階にあり、滞在中の7階の部屋とは4階分しか違わないのに、眺めはかなり違って開放的。このホテルに泊まるなら、高層階の方がいいのかもしれない。

ガーデンにある屋外プールも営業中だったので利用したが、気温が低いせいか、他に利用客はなかった。それ以外にこれといった施設がなく、滞在そのものを楽しむのは難しいホテルだ。せめてフィットネスジムが欲しいところ。