知床へのベースキャンプ |
2007.03.30(金)
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斜里セントラルホテル Twin Room | |
Shari Central Hotel |
喜-2
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女満別空港から車に揺られること1時間、世界遺産知床の玄関口となる斜里の町に到着した。すでに日が暮れて真っ暗だったので、風景はよくわからない。車に乗っている間もただぼんやりと車窓を眺めていたのだが、明かりらしいものはほとんどなく、遠くへ来たなという思いだけが膨らんだ。
宿は斜里セントラルホテル。JR知床斜里駅前に位置する観光ビジネスホテルだが、客室は全17室と小さく、ペンションのような雰囲気だ。ホテル棟の横には、オーナーの自宅が寄り添うように建っており、とんがり屋根で6角形の外観がひときわ目立っている。一方、ホテル棟は至ってシンプル。オーナー宅が鉛筆なら、ホテル棟は大きな消しゴムのように見える。 用意された部屋は最上階のツインルーム。と言っても、3階建ての最上階だ。エレベータもあるが、これなら階段で気軽に往来できる。室内もまたシンプルで、特段珍しいものはないが、清掃がよく行き届いておりとても清潔だった。クローゼット、デスク、テーブル、ふたつのイスは、比較的しっかりとした置き家具を使っており、客室全体の質感を引き上げている。ベッドの寝心地はビジネスホテルの標準レベルだが、ベッドメイクはとても丁寧。シーツのシワをよく延ばし、寝具をまっすぐにきちんとセットしてあり、その点だけはラグジュアリーホテルにも負けていない。 バスルームは小さなユニットだが、こちらも清潔だった。室内のバスルーム以外にも、共用の家族風呂が設けられており、出来ることならそちらを利用させてもらいたかったが、残念なことにクローズされていた。窓から見えるのは、宿の裏手。3階なのでそれ程遠くは見えず、周辺の民家の風景など、この町の日常が感じられる。また、比較的近い場所にコンビニエンスストアもあるが、飲食店はあまりない様子だ。 夕食は、ホテルから徒歩5分程度の「カッフェ・エ・トラットリア・パラッツオ・アドリアーノ」へ。店のファサードには年代物のミニクーパーがディスプレイされ、レトロモダンな雰囲気のあるイタリアンの店だ。小さな港町で、飲食店そのものが少ない中、都心にあっても繁盛しそうなほどのクオリティを維持するのは見事。値段も手頃なのが嬉しい。特に、魚介類を使ったパスタがオススメだ。食後のエスプレッソも本格派だった。 店を後にして、ホテルに戻るまでの間、結局誰にも出会うことがなかった。とりわけ夜は人が少ないらしい。そうしたら、この町をちょっと走ってみたくなり、ランニングウエアに着替えて飛び出した。すでに気温は氷点下だったが、その冷気がまた心地よい。港まで走って、翌日の公演会場を見て戻る途中、雪が舞い始めた。音もなく降る雪はとてもロマンチック。そう思って見上げていたら、にわかに強く降りだしてきたので慌てて退散。部屋に着いた時には吹雪きになっていた。 朝食は1階にある食堂で提供される。シンプルな和朝食だが、ごはんと味噌汁が美味しいので、それだけでも食が進む。セルフサービスのコーヒーも用意されている。連泊したのだが、翌朝は献立が異なっており、飽きることもなさそうだ。サービスは全体的にアットホームながら几帳面な印象。館内の清潔さを見れば理解できるが、旅の宿らしいぬくもりも併せ持っている。客層は知床観光客がほとんどだ。 もう少しすると駅前に大手チェーンのビジネスホテルが開業する。そうなると、このホテルは苦戦を強いられるだろう。でも、地元の宿ならではの素朴な味わいは、大手チェーンでは表現できない。このような小さな宿をチョイスするというのも、旅の1ページを豊かに彩る知恵なのだ。 |
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斜里セントラルホテル | 北海道斜里郡斜里町港町1番地6 TEL:01522-3-2355 |
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