氷点下の避暑地
2007.02.24(土)
ホテルサイプレス軽井沢 Premium Suite
Hotel Cypress Karuizawa
楽-2

客室のバルコニー 高崎での公演を終えた後、澄んだ空気を求めて軽井沢へ向かった。高崎からならば新幹線で20分足らずで軽井沢に到着する。ホームに降り立つと、高崎よりも一層冷え込んでいるのがわかる。改札前の温度計を見ると、すでに氷点下だった。早足でタクシーに乗り込みホテルの名を告げると、運転手は礼儀正しく復唱し、車を静かに走らせた。車内でくつろぐ間もなく、ホテルの玄関に到着。小さな車寄せで、タクシーですら回り込みにくい構造だ。高崎を出発してから30分と経っていないが、ここはもうリゾート。公演に臨んだ気分を、リラックスモードに切り替え、ホテルのエントランスを入った。

フロントは入口のすぐ脇にあった。とても小ぢんまりとしており、ホテル全体の規模もさほど大きくないことを物語っている。だが、その奥に広がるラウンジは広々としていた。傾斜した高い天井と一面の大きなガラス窓にはスケール感が漂い、インテリアにも気合いが入っている。色使いや壁のコーナーの処理、照明の具合などには、ヨコハマグランドインターコンチネンタルに通ずるデザインが見られるなど、趣味の良し悪しは別として、バブル期っぽいゴージャスな内装だ。一角のマントルピースには炎が点り、いい雰囲気。このまま目の前のイスに陣取り、ゆっくりと読書でもしたい衝動に駆られた。

マントルピースの反対側にはバーカウンターがあるので、バーとして営業しているのかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。週末だというのに、あまり人の気配がないというのも寂しいものだ。やはり軽井沢は避暑地であり、冬場は不人気なのかもしれない。ラウンジの他にも、ロビー内にはイスやテーブルが所々に配され、インターネットに接続されているパソコンも自由に利用できるようになっている。ロビーからエレベータホールまでは、半階ほど階段を上がらなければならず、バリアフリーには対応していない。また、エレベータが1基しかないので、しばしば待たされる。

客室は中庭を囲み、ロの字に配置されている。スタンダードからスイートまで、いくつかのカテゴリーがあり、1階には改装したばかりの専用露天風呂付き客室もある。今回予約したのは57平米のデラックスルームだったが、70平米程あるスイートにアップグレードされた。客室の扉には装飾が施され、外側に向かって開くというのがホテルとしては珍しい。入ると玄関ホールがあり、靴を脱ぐようになっているので、ホテルというよりもリゾートマンションに近い造りであることが伺える。居室へと通じる廊下の両脇には、独立したトイレ、アウトベイシン、洗い場付きバスルームがあるが、特に立派ではなくマンション風。

内扉の奥は居室になっており、広いワンルームの空間に、ミニキッチン、ベッドスペース、ソファコーナーなどが、それぞれのセクションに仕切られて配されている。ミニキッチンには、大きな冷蔵庫やシンク、電子レンジなどが備わっており、簡単な調理も可能。カウンターにはイスが3脚添えられており、様々な使い方が想定できる。その背後には、広々としたライティングデスクを置いている。ベッドスペースは簡単なパーテーションで囲まれており、120センチ幅のベッドが2台並んでいる。ベッドサイドにはクローゼットがあるが、ハンガーはたったの4本しか用意されていないのは不便だった。

窓側にはベッドにもなるロングソファーをL字に配置したスペースと、テーブルを囲んだリビングスペースがあり、20インチの液晶テレビやフットマッサージ機がある。テレビは小さいが、440チャンネル有線放送を備え、窓の上にステレオスピーカーを設置している。天井高は240センチと低いが、多数のダウンライトが埋め込まれている。節電のためか、半数以上のダウンライトは塞がれてしまっているが、残されている分だけでも十分に明るい。更にスタンド類も豊富にあるので、照明に関しては充実している。窓の外はバルコニーになっている。ウッドデッキにし、イスとテーブルを置いて雰囲気を高めているが、そこでくつろぐにはいささか狭い上に景色が悪い。せっかくの設備だが見た目だけという感じだ。

館内には大浴場も備わっている。それなりに広々としており、檜の露天風呂やサウナもある。人工ラジウム泉らしいが、カルキの臭いがきつかった。朝食は地下1階のパーティルームで和洋ブッフェが用意された。品質、内容ともにビジネスホテルの朝食にも劣るようなもので、朝から気が沈む。

その後、周囲を散歩してみると、夜は気付かなかったが、外観も見るからにマンション風だった。また、かつてはプールがあった中庭も、プールを埋めて単なる庭にしてしまったのは残念。サービスは低姿勢で、出発時にはきちんと見送りもしてくれるので、そういった面を見る限りでは心地よいのだが、客室の設えや食事のレベルを考えると、リゾートホテルとしては中堅程度の位置づけになるだろうか。

 

広々とした室内 窓際から入口方向を見る ツインベッド

ソファベッド ライティングデスク ウェルカムアメニティ

ベッドから窓の方を見る ソファセットから窓を見る ミニキッチンとカウンター

洗い場付きバスルーム 廊下の窓から中庭を見る 元はプールだった中庭

ラウンジ ラウンジ ラウンジの暖炉

軽井沢旧駅舎 軽井沢駅旧ホーム アプト式鉄道の展示

 
ホテルサイプレス軽井沢


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |