親切の偏差値 |
2006.12.01(金)
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ホテルベラヴィータ Aroma Suite | |
Hotel Bella-Vita |
楽-3
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知人の結婚披露宴に出席するため、沼田を訪れた。出席するだけならば日帰りでもよかったのだが、今回も演奏をする約束になっており、他にもBGMとしてバンドの手配などを請け負っていたので、前日に沼田入りし、当人たちや司会者との打合せに臨むというスケジュールにした。
沼田へは車で行こうかとも考えたが、鉄道を利用することにした。高崎で新幹線から在来線に乗り継いで、約1時間。かつては新潟方面へ向かう大動脈だった路線だが、今では学生の通学など生活に密着したコミュニティ電車といった雰囲気だ。そんな日常的な車内では、なんとなく異質な存在と判断されたのか、終始視線が気になる1時間だった。 沼田駅で出迎えを受け、ホテルに到着したのは18時過ぎだった。沼田にはビジネスホテルや旅館はあるが、ランドマークとなるような大きなホテルは存在しない。今回利用するホテルベラヴィータは、最初からブライダル需要に的を絞っているため、通常のホテルとはコンセプトも役割も違っている。客室数はシングル18室、その他19室と限られているが、シングルが多いのは、披露宴列席者を意識してのことと思われる。 外観はまさに「場違い」の域だ。周囲は昔ながらの商店がぽつりぽつりとあり、向かいには小さく寂れた百貨店、隣は天狗プラザという立地。そこにヨーロピアンスタイルのデコラティブな建物が出現した。地方に於いて、こういう趣味の建物はパチンコ屋と相場は決まっていたが、最近はこうしたブライダル主力方施設が増えているらしい。 この日の部屋はアロマスイートと名付けられたタイプ。客室は和室のうち1室を除いて、すべて5階に集約されており、スイートは3室用意されている。それぞれにインテリアデザインやコンセプトが異なり、品のよさは別として極めてユニークな内装に仕上がっている。このアロマスイートは、3室あるスイートの中ではおとなしい部類の内装だが、それでも一度泊まったら決して忘れられない。 扉を開けると廊下になっており、わずかにカーブを描いたサーモンピンクの壁がリビングルームの隅までのびている。壁の上部には間接照明が埋め込まれ、内装への気合いの入れ具合が感じられる。このサーモンピンクは、どうやらこの部屋のコンセプトカラーであり、インテリアのイメージは南欧風であるように見受けられる。アロマスイートと言うからには、香りによる演出を期待していたが、室内にいる限りそれらしい要素は感じられなかった。 リビングルームは割と広々としているのだが、あるのはソファセットとミニバーキャビネット、移動式の20インチ液晶テレビのみというシンプルなものだ。床には小さなCDラジカセが、置いてあるというより、転がっている。部屋の隅は三角形にとがっており、その部分を利用してコンサバトリー風の生垣を設けたまではいいが、置いてある観葉植物は一部ニセモノだった。窓は2面あり、十分な採光が得られる。照明はハロゲンダウンライトやスタンドなど、充実した設備になっている。 リビングの隣はベッドルームかと思いきや、バスルームだった。ベッドルームに行くには、必ずバスルームを通り抜けなければならないという設計になっている。バスルームは広く、10平米程度の面積がある。リビングやベッドルーム同様、窓に面しているので、十分な自然光が入ってくる。パークハイアットを参考にしたのか、ブロアバスのバスタブの両脇に、ガラス扉で仕切られたトイレとシャワーブースを設置しており、更に全体をピンクの大理石で仕上げるという力の入れようだ。 バスタブはなかなか気に入ったが、シャワーブースは使いにくかった。シャワーブースのカランは、公衆浴場などでよく見かける、バーを押すと一定時間湯が出て自動的に止まるというタイプ。水圧が低い上に、すぐに止まってしまうので、思い切りシャワーを浴びてさっぱりご機嫌というわけにはいかなかった。アメニティはビジネスホテルのレベルだが、一部のタオルには刺繍が施されており、バスローブも備わっている。 湯沸しポットやティーセットは、ベイシンの上に用意されている。ベイシンは横幅一杯のカウンタースタイル。リビングにもベッドルームにもデスクがないので、結局このベイシントップを利用して事務作業をするしかなかった。また、バスルームだけは照明が平板でつまらなかった。 一番奥にあるベッドルームには、クイーンサイズベッドが1台、その脇にソファという設え。クローゼットもあるが、スイートにしては小さい。本来ベッドのオットマンであるはずのものは、部屋の隅に置かれ、バゲージ台に転用されている。ベッドの寝心地はかなりやわらかい部類で、空調の風が直接ベッドに当たるのがしんどかった。また、ベッドの両脇にあるナイトランプは、どう頑張っても点灯させることができなかった。スイッチが隠されているのか、配線ミスなのかは謎。電球は切れていないようだったのだが。 このスイートには、何箇所かに置時計が用意されている。だが、どの時計もマイペースで自由気ままな時間を指していた。スイートの利用頻度が低いのか、それともここの利用客は、時間など気にしない自由人なのか、これも謎。 宿泊客には、1階の小さなレストランで朝食が無料サービスされる。サラダ、ソーセージ、ゆで卵、沼田で採れた林檎のジュース、沼田では有名な「フリアン」のロールパン、高崎産のハチミツ、コーヒーなど、無料にしては充実した内容だった。 披露宴は2階の宴会場で開催された。宴会のスタッフたちも、素朴でいい人たち。音響のことなどで、細かい注文があったのだが、熱心に協力してくれたのがありがたかった。料理も美味しく、いい披露宴になった。帰りは上毛高原駅より新幹線に乗った。新幹線の駅だというのに、人の姿がほとんど見られない。だが、駅員は親切だった。 |
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ホテルベラヴィータ |
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