ある意味ビューバス |
2006.11.04(土)
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成田ビューホテル Standard Twin Room | |
Narita View Hotel |
楽-2
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成田ビューホテルは、1974年6月、成田地区初のエアポートホテルとして誕生した。成田空港が開港したのが1978年5月なので、実にその4年前に開業を果たしているわけだが、開業当時は当然空港利用客がいるわけでなし、現在のように新しいホテルが出来たからといってただ泊まりに出かける人もないに等しかっただろうから、相当苦労したに違いない。多少は空港関係者の滞在があったかもしれないが、それでは500室もの客室は埋まらず、営業スタッフがホテルでの研修を売り込み歩き、なんとか凌いでいたという話を、地元の人に聞いたことがある。昔の日本人は本当に何にでも熱心だった。
ホテルに到着したのは21時過ぎ。ホテルへのアプローチは長く、両脇の植え込みには無数のブルーライトが埋め込まれている。正面玄関前には噴水があって、水しぶきをライトアップしており、それは幻想的でもあり、昔懐かしい雰囲気でもある。エントランスを入るとロビーになっており、そこはまるでコンビニエンスストアのように煌々と明るい空間。フロントは最近改装を終えたらしく、モダンなテイストで、天井の薔薇の花びらを思わせる照明パターンが印象的だ。 ロビーを見ていると、客層は団体が中心で、外国人はアジア系がほとんどであることがわかる。そして、宴会場の催事案内には、七五三宴席のパネルがずらりと並んでいる。地元の人に聞くと、七五三宴席はこの地域の特色でもあり、親戚縁者を招いて結婚披露宴のように盛大な宴会をするのだという。途中には何度もお色直しがあるそうだ。 ロビーを抜けると、そこはもう70年代のテイスト。キッチュな空間は、まるで外国の安ホテルのようで面白い。客室階へ向かうエレベータは4基だが、ボタンは2基ずつで独立しているので、呼ぶときは両方のボタンを押して、早く来た方に乗る。客室階廊下も古めかしいデザインだが、照明が非常に明るいので、病院のような感じもする。 利用した客室は25平米のスタンダードツインルーム。見た感じだと10年以内に一度ファブリックを新しくしているようだが、全体としては古いデザインのままだ。天井高は280センチもあってとても高い部類だが、腰の高い窓のすぐ上まで梁が迫って圧迫感がある。この梁には空調ダクトが入っているらしく、空調吹き出し口が窓際にあるという、今では珍しい設計だ。照明は天井の蛍光灯シーリングに頼る部分が大きい。これを消してしまうと部屋が一気に暗くなるので、デスクスタンドかフロアスタンドが欲しいところ。 ベッドは115センチ幅で、寝具はカバーと一体化している。マットレスはくたびれているので、寝心地はよくない。ベッドの向かいにはデスク、テレビ、冷蔵庫のユニットがあり、その横にはポットの載ったコーヒーテーブルとアームチェアがひとつ並んでいる。ドアの遮音性が低く、廊下の音がよく聞こえるが、周囲に騒々しい客はいなかったので、滞在中は静かだった。 バスルームはちょっとユニークだ。ベイシンはバスルームの外にあるアウトベイシンスタイルで、旅館のベイシンを思わせるような明るい蛍光灯が付いている。居室との仕切りは曇りガラスをはめ込んだパーテーションで、ベイシンにいても自然光が感じられるのがいい。そして、バスルームは160×140センチサイズで、トイレとバスタブが並んだユニットバスだ。扉が居室の方を向いており、この扉を開け放ってバスタブに浸かると、ちょうどパーテーションの切れ目から居室や窓からの景色を見ることが出来る。これもある意味ビューバスだ。 館内にはサウナがあり、17:00から24:00まで営業している。20:00からは一人500円で利用できるというので行ってみた。元プールだった場所が新チャペル「オーロラ」に改装されており、その脇を抜けて古びた階段を降りていくとサウナがある。受付でタオルを一組借りて脱衣所へ。ロッカーも休憩室も風呂もサウナも、みんな古めかしい。他に客はひとりもいなかったが、まるで韓国にいるみたいな気分だった。成田のホテルは、海外旅行に出かけなくとも、なんちゃってインターナショナルな体験が出来るホテルばかりで面白い。 |
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成田ビューホテル |
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