バスは結構混雑していた。浜田ワシントンホテルでは、隣室の音が気になってほとんど眠れなかったので、バスでは寝ていこうと思っていた。だが、初めて通る道の景色から目が離せなかった。高速道路経由なので、絶景など見えやしないのだが、それでも興味が尽きなかった。

この日のコンサートは、広島大学キャンパス内のホールが会場だった。キャンパス内は緑が多く、申し分のない環境が整っている。だが、この日は講義がないらしく、キャンパス内はひっそりとしていた。しかも、飲食施設はすべて休業していた。今日もランチの受難か・・・

仕方がないので、散歩がてらキャンパスの外にレストランを探しに出た。だが、どの店もランチタイムが終わったばかりで、入れる店が見つからない。やっと見つけたのが珈琲館。とりあえず、珈琲とサンドイッチにありつくことができたのはいいが、帰りには出るときには止んでいた雨がまた降り出していた。まるで厄日みたい。

終演後、福山のホテルに移動して、チェックインできたのは23時頃だった。キャッスルイン福山は駅前にあり、アクセスには便利だった。まだ雨が降っていたが、傘をさすよりも走ってしまった方がいいくらいだ。外観も内装もクオリティホテルにそっくりで、リーズナブルなバジェットホテルという感じがする。

部屋は広いシングルルームが用意された。面積は22.75平米とあり、ツインルームも同様の広さらしい。廊下を挟んで反対側には、17.5平米の狭いシングルルームが5室並んでいる。こちら側は、広いシングルとツインが8室ある。そして、こちら側からは福山城を目の前に眺めることができるのが魅力的だ。今回の部屋は5階だったので、城全体を見ることはできなかったが、それでも木々や石垣などから、城の雰囲気が感じられる。

室内はベージュ系のファブリックと木目でコーディネートされ、落ち着いたインテリアだ。ベッドは170センチのワイドタイプで、ユニークな折りたたみ型の枕が添えてある。マットレスの感触はいまひとつだが、シーツはやわらかかった。ルームキーをホルダーに挿して電源を作動させるシステムだが、キーを抜くと冷蔵庫以外の電源はすべて切れてしまうので、留守中は携帯などの充電すらできない。また、個別式の空調と冷蔵庫は作動音が大きく、在室中は常時気になった。天井高は235センチと低い。

デスクはワイドで、使いやすかった。クローゼットはデスクよりも窓に近い側に設けられており、扉のないタイプだ。デスクと連続性のあるデザインで、なんとなく子供部屋や学生寮を思わせる。窓際にはテーブルとアームチェアが用意されているのもいい。室内から外線電話を掛ける場合には、専用のプリペイドカードを購入しなければならない。最近は携帯電話があるので、室内の電話から外線を掛けるという機会は少ないが、なんとも面倒なシステムだと思った。

バスルームは180×140センチサイズのユニットバスで、バスタブの深さが50センチあって、ゆったりと深く浸かることができる。アメニティは壁掛けディスペンサーの他、最低限に品揃え。タオルが臭いことも気になった。

朝食は無料で提供されるが、想像していたよりも充実していた。新鮮なレタス、キャベツの細切り、マカロニサラダ、ハム、スクランブルエッグ、ゆで卵、パン5種、フルーツポンチ、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、コーヒー、紅茶がブッフェ台に並ぶ。牛乳やヨーグルトは自動販売機で取り扱っている。翌日には、ハムがソーセージに、マカロニサラダがポテトサラダに変わっていたので、若干のバリエーションがあるようだ。とにかく、新鮮なレタスだけでもありがたい。

キャッスルイン福山を経営している株式会社ベッセルは、界隈随一のシティホテルである福山ニューキャッスルホテルの他、スリープインチェーンをいくつか出店している。かつては、福山キャッスルホテルというホテルも運営していたが、キャッスルイン福山が開業した翌年に閉店した。