サンルート川崎は、駅から市役所通りを5分ほど歩いた、まさに市役所の前にある。隣には東横インがあって、お互いに鎬を削っている。1階には「エクセルシオールカフェ」があり、低層階にはティップネスも入居している。駅から歩くと、それらのエントランスが手前にあって、ホテルのエントランスはその先の角のところにあるため、一瞬わかりにくかった。

エントランスを入ると、すっきりとした明るいロビーになっている。ビジネスホテルのロビーとしては、広々とした印象があるが、サンルート品川シーサイドに見られるような気合いの入ったデザイン性は感じられない。正面がフロントカウンターになっており、若いスタッフたちが構えている。フロントの脇には、「エクセルシオールカフェ」へと通じる連絡口と、無料で使えるネットパソコンのコーナーがある。

チェックインはスムーズだった。若々しいサービスには、一生懸命さが感じられ、宅配のお兄さんのように爽やかな印象。開業記念のくじ引きがあり、ペットボトルのアップルティーが2本当たった。これは4等賞らしい。その時、何かの大会に出場する体育会系のグループと見受けられる中学生か高校生の団体が到着したが、先生か監督と思しき人に先導されて、規律正しくきちんと行動していたのが印象的だった。滞在中、彼らが騒いだり、他の客の迷惑になるような様子を一度も見ることはなかった。

今回利用した客室は、このホテルでは最も広い約26平米のツインルーム。ダークブラウンと家具と、ミントを思わせる明るい壁紙やベッドスカートを配し、落ち着いた中にも軽快でカジュアルな雰囲気が漂う。廊下の最も奥に位置するコーナールームではあるが、窓は1面しかなく、その窓から見えるものも、隣の東横インのどでかい看板と壁なので、景観はないようなものだ。また、入口から居室までの間の廊下が長く、実際に居室に当てられている面積は15平米程度と、想像していたよりも狭い感じだ。

ベッドは120センチ幅で、シモンズ製のマットレスを使っている。枕やマットレスの感じは申し分ないが、ベッドリネンについてはビジネスホテルのクオリティを越えることはなく、粗い肌ざわりが気になった。デスクは壁に向かって据え付けてあり、オフィスチェアが添えられているが、デスク自体に奥行きがなく、ビジネスでの作業には物足りない。テレビは23インチ液晶で、デスクの上に載っている。その下は収納棚になっている。

窓際には、オリジナルデザインのロッキングチェアを置いている。ゆらゆらと揺れるイスは、風呂上りや仕事の合間にちょっとのんびりするのにピッタリだが、そうなると窓からの眺めが悪いのが残念に思える。これで見事な夜景でも見えれば、このイスの存在価値も増したことだろう。そばには小さいながらもコーヒーテーブルを添えているのがいい。また、室内にいる分には、周囲の音が響くこともなく、意外に静かだった。

バスルームは3.2平米のユニットバス。バスタブの長さは160センチと、ゆとりが感じられる。タオルは3サイズ揃い、アメニティも標準的な内容だ。シャワー圧は強力。シャワーカーテンは薄っぺらいが、まとわりつくことはなかった。

全体的に、ビジネスホテルの標準よりも、ワンランク上を行っている感じ。宿泊料金もリーズナブルで、シンプルステイには利用価値が高い。朝食は隣接の「エクセルシオールカフェ」で提供されるが、簡単な内容なので、朝しっかり派には物足りないだろう。せっかく同じビルにティップネスがあるので、宿泊客がビジター利用できるようになれば嬉しい。また、サイトに掲載されている「ホテルマン日記」は、若いオープニングスタッフによる等身大の飾らないコメントが面白い。思わず「頑張れよ」と応援したくなる。