ザ・ヨコが消える日 |
2006.02.24(金)
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ザ・ヨコハマ ノボテル Empire Suite | |
The Yokohama Novotel |
哀-4
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1979年の開業以来親しまれてきた「ザ・ヨコ」の愛称が消えることになった。かつてのザ・ホテルヨコハマは、2003年10月にザ・ヨコハマノボテルとなったばかりだが、それから2年少々で今度はホテルモントレ横浜に変わることとなった。愛称の命は3月14日限り。あと1ヶ月足らずとなってしまった。
このホテルがとりわけ優れているとか、素晴らしいということはない。立派なホテルが増えた今となっては、やや見劣りする部分も多くなった。だが、ザ・ヨコには独特のノスタルジーが漂う。ニューグランドの格式ある伝統とは異なり、もっと身近で、やわらかな存在だった。 むしろ、最新式で洗練を極めたホテルになってしまっていたら、違和感を覚えたかもしれない。ちょっと古いくらいがちょうどよくて、家具の傷やカーテンの染みにすら愛着を見出してしまうような不思議なホテルは、ヨコハマの雰囲気によく溶け合い、ヨコハマの人たちにも親しみを持たれていたように思う。モントレになっても、建物がなくなるわけではないが、「ザ・ヨコの空気」は失われてしまうことだろう。 おそらく最後になるであろう「ザ・ヨコ」での滞在には最高級の部屋を選んだ。12階のコーナーに位置し、3室分の面積があるエンパイヤスイートは、大きくリビングルームとベッドルームに分かれている。リビングは2室分で、約50平米ある。広いスペースには、四角いローテーブルを囲んだ5名分のソファの他、ライティングデスクとコンソールデスク、アームチェア、そしてパントリーに面したバーカウンターとゲスト用トイレがある。 家具は年代を感じさせるデザインで、ノスタルジックなヨコハマのイメージに合っている。だが、壁紙やカーペットは新調された様子。ソファのコーナーにはシャンデリアが下がるが、手入れが行き届いており、曇りひとつなく輝いていた。また、ハイチェアと真鍮の足置きバーのあるカウンターは、天板にぶ厚いオニキスを使って、室内の質感を底上げしている。全体に、余計なものがない、シンプルなレイアウトだ。 続く寝室はちょうどコーナールーム1部屋分の広さがあり、140センチ幅のベッドが2台と、テレビ台、チェストが置かれている。こちらもスッキリとまとめてあるが、古い家具と新しいベッドボードとの調和が取れていない印象。マットレスはシモンズ製で快適だが、ベッドリネンはいまひとつ粗い感じだった。照明スイッチはそれぞれに独立しているが、調光できるのはナイトランプだけだ。 バスルームも広く取られているが、こちらはまったく以前のまま使われている。ユニークな形状のベイシンと、まるでカウンターのように広々したベイシントップ、それぞれに重たいステンレスの扉で仕切られたバスタブとトイレがある。バスタブは浅く、一見洗い場風だが、シャワーカーテンと仕切りが付いており、バスタブの外でシャワーを使うことはできないようになっている。蛍光灯の照明、グレー系のタイル、ステンレスの扉の相乗効果で、バスルームの雰囲気はまるで解剖室か死体置き場のようだった。 この日は、荒川静香が金メダルを取った話題で持ちきりだった。演技で使用したネッスンドルマも、しばらくの間、爆発的な人気となるだろう。急激にブームは、それが去った後に「古くてダサい」なんて副作用も生みかねない。何事もなければ、歴史の中で歌い継がれ、愛され続けるはずの名曲が、時代の波の中でもみくしゃにされなければいいのだけれど。窓から外を見ると、大桟橋に停泊する「飛鳥II」の姿があった。その雄姿に影響され、ゆっくり時間を取って、船の旅に出てみたくなった。 |
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ザ・ヨコハマ ノボテル(ホテルモントレ横浜) | 000216 001031 020621 040103 |
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