終着駅 |
2006.01.07(土)
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東京ステーションホテル Twin Room A | |
Tokyo Station Hotel |
哀-3
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東京ステーションホテルに初めて泊まったのがいつだったのか、はっきりと思い出せないが、20年以上前だったことだけは確かだ。その頃はまだ、窓を開ければ中央線のプラットホームが間近に見えていた。帰宅ラッシュで賑わう駅を眺めながらも、客室の中は時間が止まったかのように穏やかで、そのコントラストをただぼんやりと感じて過ごす時間がたまらなく好きだった。最終の電車が出ると、プラットホームの照明が落とされ、巨大なステーションは束の間の眠りにつく。その、室内と駅の空気が同調する瞬間を見届けるという密かな楽しみが失われてから、もう久しい。
中央線のプラットホームが一段高いところに移されてから、ホーム側にある客室からの眺めは、すっかり殺風景になってしまった。だが、東京駅前の広場を見渡す丸の内側客室や、駅コンコースを見下ろす客室は健在で、いずれもここ東京ステーションホテルならではの趣きがある。今回は、東京駅舎の改築にあたり、東京ステーションホテルもしばらくの間休業することになったので、その前にもう一度滞在しておくことにした。 どのタイプの客室に泊まるか悩んだが、クラシックホテルらしさが一番感じられる部屋を選んだ。2階に位置する丸の内側のツインルームは29平米。レイアウトこそシンプルな長方形の客室だが、3メートル60センチもの天井高とクラシカルなインテリアが個性を放っている。ゴールドにも見える花柄の立派な壁紙や、肌触りのいいサテン風ファブリックを張ったソファ、下から見上げると糸を垂れた蜘蛛のようにも見えるシャンデリアなど、レトロでロマンティックなコーディネートだ。ドレープはベルベットで、高い窓の向こうには、東京駅前から皇居までを望める。窓の下にあるスチーム式の暖房器具も懐かしい。 だが、一方でピンク一色のカーペットや、デスクユニットは退屈な印象。入口脇に置かれたワードローブは、まるでシングルルーム用かと思うほど小さい。2台並んだ123センチ幅のベッドも、これといって特徴がなく、寝心地もいまひとつだった。バスルームにクラシックな要素は見られないが、ベイシンの石とかわいい模様のタイルが雰囲気を作っている。アメニティは昔と変わらずビジネスホテルレベルだ。このバスルーム、カランをひねってから熱い湯がでるまで、かなりの時間を要する。そのことが最も年季を感じさせた。 パブリックスペースにも、記憶に残したいところがたくさんあった。小さなエントランスに、小さなフロントカウンター。そして、素朴で親切なサービス。赤絨毯、木の手すりがある階段、滴のようなガラスボールが下がるシャンデリア、広い客室廊下などなど。もうこんな雰囲気を持つホテルは、二度と誕生しないだろうと思うと、なんだか切なくなった。 |
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東京ステーションホテル | 920418 |
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