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2005.12.31.(土)

三井ガーデンホテル銀座 Moderate Twin Room
Mitsui Garden Hotel Ginza
哀-3 狭い以上に狭苦しい
外観
三井ガーデンホテル銀座が建っている場所には、かつて銀座第一ホテルがあった。銀座第一ホテルは、アジア系の旅行客がよく利用し、リーズナブルでカジュアルな印象だったが、同時に新橋のオヤジさんたちにも愛用されるような、昭和のムードが色濃いホテルだった。

建物を完全に建て替え、真新しいビルの高層部に開業した三井ガーデンホテル銀座は、銀座第一ホテルとは対照的な、新しいタイプのホテルになった。まず、エントランスは、第一ホテル時代とは反対側に位置し、車寄せもなければ、タクシー乗り場もないという、一見すると通用口かと見紛うほどにこぢんまりとしている。よく言えばレジデンス風で、用のない人が立ち入りにくい雰囲気ではあるが、個人的には「ロビーは賑やか、部屋は静か」というのが好みなので、こうした排他的エントランスは素っ気無いと感じてしまう。だが、銀座のホテルと言えば、どこもかしこもエントランスは控え目だ。

16階のロビーへは、2基のエレベータが往復している。まるでオフィスのエレベータのようで安っぽい感じがした。だが、ロビーは力作だ。エレベータホール前には、ちょっとした美術館のホワイエを思わせる印象的な空間。高い天井の広々としたスペースは、訪れる人すべてが通るようにレイアウトされており、デザイン、照明、ファニチャーなど、トータル的によく吟味されている。

一面の大きな窓のそばには、様々なイスやソファを置き、リビング風のくつろぎスペースを設けた。フロントには4名の係が手続きに当たっているが、それでも長い列が出来ている。そして、フロントの外側には、スタッフがひとりもいない。そこからも判断できるように、立派なロビーはあっても、やはりここはビジネスホテルの類だ。

客室への案内はない。客室階へと向かうエレベータは、セキュリティ対策として、ルームキーを所定の場所に挿入してからでないと、呼び出しボタンが反応しない。この仕組みと操作方法について、フロントですべての客に説明しているのだから、容易ではなさそうだった。

客室階に行くと、まず廊下の狭いことに驚いたが、部屋はもっと狭かった。今回利用したのは24平米のモデレートツイン。24平米というのが、これほど窮屈に感じたのは、今回が初めての経験だった。これは、レイアウトと、使い勝手の影響だと思われる。

入口から居室までの廊下は片面は鏡張りなので、気分的には広く感じられる工夫が施されていると言えるが、実際にはとても狭く、荷物を持つと通りにくくて鏡の効果どころではなかった。クローゼットは、超薄っぺら。小さなバッグすら収納できないし、高さがないのでコートの裾が引っかかる。ハンガーは6本用意されているものの、厚手の上着なら2着で満杯だ。引き出しもひとつとしてない。バゲージ台もなく、折りたたみ式のラックがあるが、通路の幅が狭いので、それを広げてしまうと部屋の出入りが不自由になるほど。なんとも過ごしにくい部屋だ。

ベッドは110センチ幅で、マットレスは良いものを使っていて快適だが、シーツの肌触りはそれほどでもなかった。ナイトテーブルには、空調や照明の操作パネル、かっこいいデザインの電話機がある。37インチの液晶AQUOSは壁に掛かっており、天井にはBOSEのスピーカー。地上デジタルとBSは揃っているが、CS放送はCNNだけ。VODは1日1,000円だ。地デジの画像はさすがにキレイだが、紅白で北島三郎がおびただしい紙ふぶきの舞う中熱唱するシーンでは、画像処理が追いつかないのか、チラチラとブロックノイズが発生していた。

窓は幅150センチ、ほぼ床から225センチの高さがあって、部屋の広さの割には大きな開口部を持っている。どの部屋になっても、高層階らしい開けた景観が望めるようだ。窓には網状のレースカーテンと遮光ロールスクリーンを備えるが、手動式。そして、窓の下には空気取り込み口がある。また、室内に額はひとつも飾られていない。壁は薄いようで、隣や上の音がよく聞こえた。

窓際には冷蔵庫などを収納した背の高い回転式キャビネットがあって、棚には間接照明が仕込まれている。苔玉が飾られているが、すっかり干からびていた。冷蔵庫は空。また、無料のミネラルウォーター2本、日本茶、フレーバーティーバッグが用意されるが、ミネラルウォーターは前の客の飲み残しだった。ルームサービスはない。照明は調光できるハロゲンのダウンライトとナイトランプ、ON/OFFだけの蛍光灯間接照明のみだが、狭い室内を照らすにはそれで十分だった。

バスルームはタイル張りで約4.3平米。ベイシンとトイレ、そしてバスタブと洗い場の、ふたつのセクションがガラス扉で仕切られているが、照明は一括操作でON/OFFのみ。ベイシンの脇にアクリル棚を設け、資生堂と共同開発したというオリジナルのアメニティが並ぶ。アイテムは絞り込まれているが、センスよくまとめている。タオルは3種類2枚ずつで、バスローブはないが、ナイトウェアを用意している。

バスタブは深いが、長さがない。洗い場にはレインシャワーとハンドシャワーがあり、レインシャワーは水流が細くて弱いが、ハンドシャワーのマッサージモードは強力だった。また、タオルを掛けるフックが見あたらず、不便を感じた。バスルームでBGMを聞く設備もない。

この部屋にはデスクがない。座る場所と言ったら、窓際のベンチシートか、小さなスツールだけだ。小さなティーテーブルは天板が玉子型で、これまた回転するようになっている。せっかくLANが無料で使えても、パソコンを広げて作業をするスペースがないし、くつろごうにも窮屈で居心地が悪かった。天井高が245センチしかなく、カーペットなど布の質感がひどく低級なことも、部屋のグレードを下げている。せっかくデザインに凝っても、布選びを侮ると、結局安普請な部屋にしかならない。

大きな窓のある客室 客室奥から入口方向を見る

ベッド ナイトテーブル

ベイシン ベイシンの下にタオルを置いた

バスタブと洗い場 アメニティ

1階エントランス フロントカウンター

ロビー ロビー

[三井ガーデンホテル銀座]

Y.K.