成田の宿と言えば、まず空港周辺のホテルが思い起こされるが、最近では成田駅周辺にもホテルが増えてきた。宴会場や料飲施設を充実させたシティタイプのホテルが多い空港周辺に対し、成田駅周辺はシンプルなサービス内容のビジネスタイプが健闘している。手ごろな宿泊料金と、新しく清潔な客室を強調し、国際的なエコノミーブランドと提携して、外国人旅行客にも積極的なアプローチを図る。
京成成田駅から徒歩1分と、便利な場所にあるメルキュールホテル成田も、そんなスタイルのホテルだ。かつてはホテルレッツとして営業しており、宴会場やフィットネスクラブも持つ、地方の中堅ホテルだったが、現在はチサンホテルを中心に新たなホテルブランドを築いたソラーレグループの傘下に入っている。
ロビーは思っていたよりも広く、ソファが置かれ、生花も飾られている。明るくスッキリとしたインテリアに改装されているが、ホテルレッツの名残りと思われる民芸調の人形もそのままあって、外国人客ならずともエキゾチックなインパクトを感じるだろう。フロントは少し奥まったところにあり、チェックインはスムーズ。ベルサービスはなく、自ら客室へ向かう。アサインされた別館の客室へは、3階で一度エレベータを乗り継がなくてはならないのが面倒。
25平米のツインルームは、オーソドックスな造りで、改装によりモダンで清潔感のあるインテリアに生まれ変わったようだ。メルキュールらしく、椅子に用いられたワインレッドカラーが、ポップなアクセントになっている。ベッドは120センチ幅で、ダクロン風の寝具をデュベカバーで仕上げたもの。枕はふにゃらけていて、いまひとつ。家具は、テーブルとアームチェア1脚、デスクユニットとそれに添えられた椅子1脚という、シンプルな構成。デスクに鏡の用意がなく、やや不便に感じた。LANは1泊1,050円で、フロントにリクエストして機材を持ってきてもらうスタイル。
バスルームは昔ながらで、トイレやカランのデザインがユニークだった。洗浄機能付き便座は備わっていない。タオルは2サイズ2枚ずつで、かなり薄っぺらく、アメニティも簡素だった。窓は常に激しく結露していたが、高層階からは遠くまで見渡せて眺めは悪くない。眼下には京成成田駅のホームも見える。廊下の音が室内までよく聞こえ、清掃係が一番うるさかった。
朝食はロビー脇の「セイシェル」にてブッフェ形式が1,500円。一見さわやかそうなインテリアだが、清掃やメンテナンスがよくなかった。料理も魅力のない品揃えで、味は見た目どおりだった。チェックアウト時、フロントには行列ができていた。だが、だれも整列を促さないので、割り込んだもの勝ちの状態。空港までは、便数が限られているものの、無料送迎バスがあるので、早朝便への前泊にはぴったりのホテルだ。
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