今年の正月休みは短く、もうすでに通常モードに戻っている人も少なくない。だが、いつもビジネスに観光に、スイッチがオンになっている人々が慌しく往来するこのホテルにも、ささやかながらゆっくりしたリズムが流れていた。正月らしさは、ロビーの装花のみで、さっぱりとしたものだ。
滞在はほぼ4年ぶりだった。ついこの間まで、シックでスタイリッシュな新しいタイプのホテルという印象があったが、それに続くホテルが次々にオープンして、すでになんとなく中途半端な感じがするようになった。だが、好立地を盾に、強気のプライスだけは譲らない。その点は、サザンタワーといい勝負だ。NHKニュースのエンディングで真っ暗なホテル棟が映し出される度に、空けておくくらいなら、安く売ればいいのにと思うが、そんな気はないようだ。
この日は正月価格で、通常期よりは手ごろな料金だったが、それでもインターコンチネンタルやヒルトンよりも高い。予約はシングルルームで入れてあったが、チェックイン時に空きがあったので、追加料金を払ってコンフォートルームにしてもらった。
面積は20平米。一人で利用するにはそこそこの面積だが、ベッドは120センチ幅で、壁にぴっちりと寄せられており、やや窮屈な印象だ。もともとはツインルーム仕様だったのか、マッサージチェアが置いてある窓際にも、ヘッドボードが取り付けられている。ナイトテーブルの引き出しには、ドライヤーとナイトウエアが入っている。10階と低層フロアだったので、周囲を雑居ビルに囲まれていて、眺めは悪いが、渋谷らしいと言うこともできる。家具やファブリックは総じてカジュアルだが、コンパクトで使いやすい。色彩感のなさを、卓上のミニ観葉植物が補っている。
バスルームは格子のタイル張りで、バスタブの長さは140センチ。アメニティは一通り揃うが、薄いシャワーカーテンが気になる。冷蔵庫には開業当時よりも豊富なアイテムが用意されるようになった。新しいホテルにもかかわらず、LANが使えるのは一部の客室のみで、この客室では使えない。このホテルが計画された時点では、いずれ高速インターネットが普及することは予測できたはずなのに、整備をしなかったのは、いかにも東急らしい。
チェックアウト時、料金に間違いがあった。サービス料込みであるはずの料金に、更にサービス料が加算されていた。それを訂正するのに随分と待たされた。はじめはカウンターで立って待っていたが、あまりに時間を要するので、ロビーの椅子に移動して座って待っていた。すると、カウンターから名前を呼ぶ声がした。ホテルの手違いで客を長いこと待たせているのだから、自らカウンターの外に出て、こちらに来たらどうだろうか。
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