都市センターホテルは、赤坂プリンスホテルのすぐ近くという便利な立地にあり、お堅い施設が集まった平河町にもよく調和したホテルだ。1953年のオープンと、東京でも老舗ホテルのひとつに数えられる。ホテル名にも使われている財団法人日本都市センターは、主に地方自治に関する調査研究を行っている公共施設だが、ホテルは株式会社東京ロイヤルホテルが運営し、大阪のロイヤルホテル系列会社が株主となっている。
実際にも市政人の利用が多いが、一般客も利用することができ、楽天トラベルなどでも手軽に予約が可能だ。かつての建物にはコンサートが可能なホールがあったが、1999年の改築で姿を消し、現在ホールと呼ばれているのは、平土間の大会議室である。
チェックインタイムには到着が少し早かったので、まずは食べそびれていた昼食をとることにした。コーヒーショップはあいにく貸切でクローズ。代わりに通常日曜日は休業のロビーラウンジがオープンしていたが、食事系はサンドイッチのみとつまらないので、地階の和食店に入った。ランチには重ものや膳が充実しており、カツ重1,260円を注文。手ごろな値段はうれしいが、油が悪いのか、食べた後に胸焼けしてしまった。内装も思いのほか雰囲気があり、落ち着いている。
フロントでのチェックインはスムーズだった。ロビーを見渡すと、市の情報を集めた展示コーナーなど、まるで公共施設的な雰囲気が漂っている中、快活な笑顔でのサービスは、それと対照的に心地よかった。キーを受け取り、自ら客室へと向かうが、エレベータホールのデザインひとつを取っても、コンサートホールのホワイエのような感じで、あまりホテルに来ているという実感がない。
客室はすべて14階から22階の高層階に位置し、どの部屋からも眺めがいい。もともと高台にあり、階下がオフィスなので、たとえ14階にアサインされても、実際にはもっと高い位置から眺めているような景観を望める。客室そのものは、大して魅力のないものだった。思っていたよりも広く感じたことくらいしか、よい印象は残っていない。狭いデスク、寝心地の悪いスタッキングベッド、肌触りの悪いベッドリネン、薄いタオル、つまらないTVプログラムなど、ビジネスホテルの域は出ていない。10時のチェックアウトもいささか慌しかった。
朝食の印象も悪かった。品揃えは、まぁこんなものかと思えるのだが、客がブッフェ台から取り分けているところに、従業員が割り込んできて料理を補充するなど、サービスは従業員の都合優先であった。ロビーラウンジの従業員もアルバイトなのか、余計なおしゃべりは熱心だが、客が帰った後のテーブルがいつまで経っても片付かないなど、スキルにも相当な問題があるように思えた。
全体的に支払った料金に見合った満足を得ることはなかった。同程度の料金を支払えば、もっと立派な客室を持ったホテルに滞在できる。なのに、いつもそれなりには埋まっているというのが不思議に思えた。
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