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2004.10.23.(土)

大森西洋館 Suite
Omori Seiyo-kan
楽-2 小さな小さな素泊まりの宿
2階のフロントデスク
クラシックホテル大森西洋館は、女性が好む瀟洒な雰囲気にしようと建てられた全15室のプチホテルだ。大森駅から歩いて2分程度と、比較的交通の便はいいのだが、周辺にはスーパーやスナックなどが多く散在し、お世辞にも上品とはいえない立地にある。ホテルそのものもあまり目立たないので、初めて訪れる場合は、注意をしていないと通り過ぎてしまうかもしれない。

エントランスはおよそホテルらしくはなく、マンションかテナントの飲食店が入った雑居ビルのようでもある。地階に蕎麦居酒屋、1階にはベーカリーショップがあって、太い柱の脇をすり抜けて奥に進むと、1基だけのエレベータがあり、それを利用して2階のフロントに上がる。エレベータは2階まではフリーにアクセスできるが、それより上の客室階へは、ルームキーを挿し込まなくては作動しない。しかも、目的の階に到着するまでは、不思議なことにキーを挿したままにしなくてはならない。

フロントは極めて小ぢんまりとしており、1名の係がデスクに掛けているだけだ。座ったままチェックインでき、あらゆる要望はこのデスクが窓口となる。フロント奥にはバーがあり、宿泊客以外の利用も多いようだった。エレベータは必ず2階に停止するので、デスクの係とはよく顔が合う。

今回利用したのはスイートだが、デラックスツインと言った方がしっくり来る設えと広さだった。6階には3室のスイートのみがあり、そのうち2室がツインで、1室がダブルになっている。それぞれに内装は異なるようだが、いずれもヨーロピアンクラシックが基本コンセプトだ。

室内は横に長く、並んだ2面の窓を持ち、一方の窓はバルコニーに通じている。クラシックスタイルの家具が並び、華やかなインテリアだが、ファブリックなどはかなり傷んでおり、特にカーペットは汚れ放題だった。ベッドは120センチ幅のものが、窓に足を向けて2台並んでいる。寝具の肌触りは今ひとつで、ベッドメイクがとても雑な印象だった。テレビは小さくプログラムも充実していないが、440ch有線を導入している。

窓が広いので採光には優れているが、カーテンの汚れも著しく、上部に取り付けられたカスケードにしたタッセルの装飾には意味や効果を感じることができなかった。また、室内の照明がスタンドとブラケットのみでやや暗い。せっかくクラシック調のインテリアを狙ったのなら、シャンデリアでも付けたら随分と印象が違っただろう。

バスルームにはジャクージのバスタブを備え、心地よい泡で疲れを癒すことができる。目線あたりまではタイル仕上げだが、それより上部は鏡張りになっているので、実際よりも広く感じられる。壁の一部には、リビングコーナーに向かって開く小窓があり、一層の開放感が得られる。アメニティは簡素で、タオルもこの上なく薄っぺら。洗浄機能付き便座は備わっていた。

小さくて目立たないホテルの割りには、しっかりした内装の客室を持っているのに、メンテナンスが行き届かないのは残念だ。更に廃った印象を決定付けたのは、エレベータホールを中心に全館に漂う生ゴミのようなひどい臭気だった。階下で出会ったレストランから出てきたゲストも、「なんか臭ってたわね」と連れ同士話していた。その臭いは出入りするたびに客室内にも流れ込み、かなり参った。しかし、臭いというのは慣れるのも早い。しばらく室内にいると忘れてしまうが、やもすれば自分の体に移ってしまっているかもしれないから怖い。

客室にあった朝食の案内には、1階ベーカリーで午前8時から500円と650円のセットを用意しているとあったが、出かけてみたら閉まっていた。がっかりしたが、せっかく朝食を食べようと外に出たので、駅の上にある東急インまで歩いてブッフェを食べて戻った。チェックアウトはスムーズに行われ、「またよろしくお願いいたします」と心のこもった言葉が添えられた。親切の中に、厳しい現状が入り混じっているのが感じられ、胸が詰まる思いだった。

いい家具が並ぶリビング ベッドは2台

2面の窓があり一方からはバルコニーに出られる 大理石を使ったミニバーキャビネット

上半分に鏡を張り巡らせたバスルーム 扉の脇の小窓はリビングコーナーに向かって開放できる

広いバルコニー 正面エントランスとベーカリーショップ

[大森西洋館]

Y.K.