午後になってから急に海風が恋しくなり、伊豆に出かけてみることにした。昼を過ぎて発車するスーパービュー踊り子号は、土曜日でも多くの空席があり、のんびりとした雰囲気だ。グレーの雲に覆われた空と、岩に当たって激しく砕ける真っ白い波頭のコントラストに見とれているうちに河津駅に到着。同駅ですれ違う普通列車に飛び乗って、今井浜海岸駅まで引き返そうと思っていたが、島式だろうと思っていたホームが相対式だったので、諦めざるを得なかった。
さて、周辺を一歩きしてからタクシーにでも乗ろうかと思っていたら、改札を出たところに今井浜東急リゾートのプラカードを掲げた係が立っていたので、声を掛けてみた。彼は送迎バスの運転手だった。たまたま送迎のスケジュール便だったようだが、他にゲストもいないようだったし、いいタイミングだったので乗せてもらうことにした。
バスに乗ると、あっという間にホテルに到着した。夕方5時。まだ日没には時間があるが、伊豆の山々を背に、徐々に影が伸びてきている。チェックインはサインだけのスムーズなもの。客室への案内もあり、行き届いたサービスだった。室内はファブリックの改装を行ったらしく、明るくさっぱりとした雰囲気になった。ただ、潮風と空調のせいか、室内に生っぽい臭いがこもっていたので、しばらく窓を開け放ち、換気をする必要があった。
32平米のスタンダードルームは、窓際にゆったりとしたシッティングスペースを設け、室内に居ながらにして海を眺めることができる。テーブルの上には旅館のようにお菓子が用意されている。窓の外には広いバルコニーがあり、植え込みの緑がリゾートらしさを高めている。家具にもリゾートの雰囲気があり、デスクの上には観葉植物と竹墨の消臭グッズが置かれていた。ベッドは120センチ幅2台だが、シーツの肌触りは粗い印象だ。
客室のバスルームはアウトベイシンで使いやすく、タオルなども豊富に揃うが、温泉露天風呂に出向くことが多いので、あまり利用することもない。ルームサービスはないが、21時から23時までは寿司の出前が頼める。
館内は花々が美しく咲きそろい、常に手入れが行き届いている。ガーデンに出ても、芝や花壇は美しく整えられ気持ちがいい。ガーデンのプールでは、子供たちが元気にはしゃいでいた。ホテルのマークにもなっているストレリチアの花もちらほら咲いている。花言葉は「華麗なる伊達男」だとどこかに書き添えられていた。レット・バトラーのような男のことを言うのだろうか。花にお前はまだまだだと言われたような気がして思わず目をそらした。
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