山手線目白駅から徒歩2分。学生たちが多く行き交う目白通り沿いの商店に挟まれてリッチモンドホテルが建っている。小さなエントランスは、注意していなければ見逃してしまうほどで、周辺環境にも溶け込んでいる。エントランスの脇にはインテリア雑貨やアクセサリーを扱うテナントショップのショーウィンドウがあり、もう一方は2階のロイヤルホストの入り口になっている。 バブル期にオープンしたホテルだが、あまり目立たない存在だった。一時期はベストウェスタンのチェーンに加盟していたが、現在は独自に運営している。建物を見上げると一見マンションのようだが、結構立派にできていて、地階には本格的なフィットネスクラブがあり、宿泊客も利用可能だ。
エントランスを入ると、ステンドグラスの天井や大理石仕上げの壁に囲まれたロビーがある。広くはないが、高価そうな調度品が飾られ、ビジネスホテルとは明らかに一線を画いたクオリティだ。ショップから漂うアロマエッセンスの香りも気分を静めてくれる。
フロントカウンターには女性の係が3人立っていた。とりわけ感じがよいということもなかったが、スムーズに手続きが済んだ。エレベータで向かった客室は15平米のシングルルーム。部屋に入ってまず驚いたのは、昼なお暗く、この上ない陰気な雰囲気だ。部屋の割りに大きな出窓があるが、このホテルよりも後から隣にビルが建ったらしく、窓の外、数センチのところまで隣のビルが迫っている。
景観を映したり外光を取り入れるという役割を失った窓には、飾り模様の入った鏡を張った。かろうじて出窓の両脇は透明ガラスのままで、開閉も可能だ。出窓にはダウンライトも仕込まれており、ちょっとした物置台としても便利な構造。それでも、外光が得られないだけで、こうも不健康な雰囲気になるのだから、いかに日光が大切かということだ。開放感もないが、空気そのものがよどんでいるような気がしてくる。もちろん、窓が外側に面し、十分な採光を得られるシングルもあるそうだ。
しかし、室内はこぎれいにまとまっている。最近ファブリックを新しくしたらしく、寝具などは清潔だった。140センチ幅ベッドの脇には、440ch有線放送が埋め込まれたナイトパネルがある。デスク周辺はコンパクトに集約し、狭い空間を広く使えるよう工夫が見られる。家具は80年代デザインで、それなりに質は悪くない。壁のコーナーには丸みをつけるなど、手の込んだ箇所も見られた。
バスルームは2.4平米と狭く、バスタブ長さが120センチしかない。シャワーカーテンは黒カビだらけで、湯に対して水の出が悪く、いつでも熱いシャワーしか出てこない。バスタブに湯を張ってしばらくすると、ヌルヌルしたものが溶け出してくるのも気になった。アメニティも最低限だが、洗浄機能つき便座は備わっていた。
ルームサービスはないが、ピザのデリバリーが頼める。朝食は2階のロイヤルホストで提供されるが、1,260円とは高すぎ。以前は、小さなバー、西洋料理店、鉄板焼店があったが、それらを全てクローズしてロイホにした。その他にも周辺には飲食店やコンビニが数多く点在し、周辺環境に不便はない。ロビーには無料で利用可能なコンピュータを備える。アクセスに優れているので、ビジネスユースには便利なプチホテルだ。
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