開業以来気に入っていた店が閉店すると知って、急いで予約を入れ駆けつけた。開店時間と同時に行ったのは、他のゲストが来る前に店内をじっくりと見せてもらいたかったからだ。マネージャーもその気持ちを知ってか、一緒に店内を見渡し、惜しむように目を細めていた。
15年前、ホテルレストランとしては極めて斬新なインテリアの店として登場し、各国料理が花盛りの時代にも、雰囲気だけでなく本場の味を追求した料理を提供し、ひときわ輝く存在だった。この店のファンも多かったに違いない。その証しに、この日オープンしてしばらくすると、次々に予約したゲストが訪れ、あっという間に満席となってしまった。マネージャーは最終日にゆっくりとサービスできないことを、しきりに申し訳なさそうにしていたが、満席のざわめきの中、立ち去ることができてよかったと思っている。
改装工事が終われば、この店のあった場所は、中国料理店の一部となる。ロイヤルパークホテルは、レストランのみならず、客室の全面改装にも着手し、新しい時代を迎えることとなった。ユニークな中にも堅実さを持ったよいホテルだったが、目指すものがこれまでとは違ってきているように感じられ、一抹の寂しさを禁じえなかった。
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