フェヤーモントホテルが閉館してから、千鳥が淵の見事な桜を客室から独占することはできなくなったが、今回はせっかく咲きそろった桜を見逃すまいと、グランドパレスを拠点に花見散策を楽しんだ。曇り空だったが、それがかえってしとやかな空気をつくり、時間がゆっくりと流れるさまを感じさせた。
ホテルは多くの主婦で賑わっていた。耳に入る会話の断片を聞くと、近所から来ているようだった。ロビーが改装されてから初めて足を踏み入れたが、雰囲気はそれほど大きく変わったわけではない。照明やカーペットが新しくなり、明るくなったような気がするが、老舗的な落ち着いた雰囲気は以前のままだ。
客室は7階のシングルルームだった。窓からは杉の木立だけが見える。まなじ余計なものが目に入るよりもずっと和める眺めだった。室内はオーソドックスな設備ながら、ベッドが窓際近くにあり、アームチェアとスタンドが壁際にあるという、通常とは逆の配置になっている。ベッドは120センチ幅で、テレビは14型、デスク前の三面鏡もコンパクトサイズだ。その割に冷蔵庫は大きく、たくさんの飲み物が入っている。クローゼットは奥行きがあるが、扉はなくカーテンが掛かっている。
最も快適だったのはバスルームだった。このクラスのシングルルームにしては3.2平米とゆったりとしており、バスタブも大きくて快適。シャワーの水圧も十分を通り越して抜群だった。しかし、アメニティは最低限でタオルも大小2枚のみ。急な宿泊には不便するかもしれない。
また、室内全体に加齢臭がこもっているのがキツかった。周囲の客室にはグッドネイバーホテルならでは客層が賑やかにしており、我慢が必要だった。駐車場が無料であること、チェックイン、チェックアウトタイムともに12時であることはとてもありがたい。
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