ホテルパシフィック、ウィシュトンホテル、東横イン、ホテルグリーンタワーと、ほぼ10年の間に何度も名前を変えてきた。その度にスタッフが変わったが、館内の様子はさほど変化していない。店の名前も概ねそのままだが、いくつかの店はクローズされ、宴会場に転用されたりしている。
今回はかなり久しぶりの利用だった。パシフィック千葉以来なので8年以上利用していなかった。ホテルにもどことなく寂れた空気が漂うが、それよりも隣接するポートスクエアの商業施設の方が、よほど深刻な衰退を感じさせる。にもかかわらず、この近くにはオークラ千葉をはじめ、新しいホテルもオープンしており、なんとも不思議な地区だ。
ロビーはかろうじてかつての華やかさを伝えている。大理石を多用し、贅沢な空間にソファをゆったりと配した吹き抜けのロビーには、立派なシャンデリアが輝いている。ロビーラウンジも営業を続けており、流れる滝を眺めつつホテルならではのくつろぎを満喫できる。ロビーにはマネージャーがいつでも立っており、安心感がある。ベルデスクもあり、ベルガールが荷物を運んでくれる。フロントには女性の係が2名。愛想がいいというほどではないが、仕事はしっかりとしていた。
今回利用した客室は20階の00番。つまり客室番号が2000番だ。19階と20階がエグゼクティブフロアになっており、スイートなどが集中し、廊下の内装も立派。同じ20階にはエグゼクティブラウンジの名残りがあるが、そこは婚礼の控え室になっていた。
現在もエグゼクティブルームというカテゴリーは残っているが、これはチェックイン・チェックアウトの時間がレギュラーカテゴリーとは違って15時イン、12時アウトになっているだけ。それにしても、レギュラーカテゴリーの16時イン、10時アウトというのは、あまりにもビジネスホテルっぽすぎる。それだけで、このホテルを選択肢から外す人もいるだろう。
客室は思ったよりも傷んでいなかった。メンテナンスがいいとは思えないので、おそらく稼働が低いのだろう。46平米のラグジュアリールームは広いバスルームとワイドな出窓が特長だ。窓を向いた2台のベッド、同じく窓を向いたデスク、カウチソファとアームチェアをゆったりと配した。テレビは小さめで壁際にひっそり置かれている。
冷蔵庫は空、ズボンプレッサーやサイレントバトラーも用意されるがLANはないばかりか、デスクに電話線すらなくネット環境は悪かった。時計は壁掛けのものだけで、目覚ましの役を果たさず、夜中に時間を知りたいときなどに不便だ。バスルームは一見変化がなさそうだが、かつて勢いのあった水圧が低下し、照明も暗くなった。トイレはいまだに洗浄機能を取り付けていない。アメニティも最低限で石鹸は15グラム。この辺に衰退を感じる。
確かに部屋は広く、眺めも悪くないのだが、わざわざ癒しを求めて泊まりにいくほどのことはない。これからは婚礼に力を入れてゆくのだろうが、それだけではこの立派な設備がもったいない気がする。
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