個性的なデザインの超高層ビルが建ちならぶ汐留。エメラルドグリーンに輝く流線型のシェイプは、そのものが巨大な美のモニュメントのようだ。低層階にも手頃で魅力的な店舗が数多くあるが、高層階には眺望を生かしたアップスケールな店が個性を競っている。高速エレベータを降りると、まるでホテルロビーのような大人びた空間。ダークブランのモダンなインテリアに包まれたフロア全体が、エキサイティングなウェイティングバーのように、上質な食への期待を高めてくれる。
広いフロアを持っているが、41階には7店舗、42階は2店舗に絞込み、各店のスペースを十分に確保した。41階の「Fish Bank」はダイナミックな空間で、フレンチをベースとしたクリエイティブな感性の光る料理を楽しめる店だ。入口ではダークスーツの係が出迎える。こうした新しい店は、気取りの多い小生意気なサービスをすることが多いが、ここは違っていた。
ホテルに負けない柔軟なサービスが、席に着く前からくつろぎを感じさせてくれる。キャットウォーク風のアプローチを通り、バーカウンターを横目にダイニングホールに進む。高い天井と大きな窓から東京の景観が開けている。座席も変化に富んだ配置に工夫され、コンパートメント風の席や、人から注目されるべく造られた桟敷席風のコーナーもある。
この日は午後1時の入店だった。ランチの活気が少し落ち着いたところで、これから食後のコーヒーというゲストが多かった。ランチにもいくつかのセットメニューがあるが、今回は最も手頃なパスタランチ2,656円を注文した。オードブルプレートに始まり、2種類からチョイスする自家製のパスタ料理、小さなデザートにコーヒーとパンが付く。料理は実力のある若手シェフの下で、きっちりと練られた秀逸なもの。値段の価値は十分にある。
サービスに当たるのは主にアルバイトだろうが、雰囲気はよかった。巷の店がここまでのレベルに達したとなると、ホテルもいよいよもってうかうかとはしていられまい。
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