津の駅に到着したのは午後7時前。新幹線に乗っている頃から空腹だったが、現地に落ち着いてから食事をしようと思い我慢していた。ところが、駅前にはファストフード店以外、飲食店がほとんど見当たらなかったので、ホテルにチェックインして、ホテル内で軽く済ませることにした。
ホテルの入ったビルは、駅前で最も高層で立派な建物だった。駅に直結しており、アクセスも便利だ。よくみると公共のビルらしく、公民館や三重県の旅券課なども入居しており、その関係でトラベル系のテナントが多い。レストランやショッピングアーケードなどがあってもよさそうな感じだが、気分が華やぐような店はまったくない。午後7時だというのに、賑わいもなく閑散としているは、もったいない気がした。
ホテルロビーは随分とひろびろとしているが、ほとんど何もない空間で味気ない印象だった。ごちゃごちゃさせるのはよくないが、もう少しスペースを生かす工夫があってもいいように思う。立派な車寄せも、さほど役には立っていないようだった。フロントには若い女性がふたり。手続きはスムーズに行われたが、特別な印象は残らない。レストランについて尋ねると、気が早いことに洋食店はすでに閉店しており、やっているのは日本料理屋だけとのこと。この街では、外食が習慣にはないのかもしれない。
ロビーの一角に、大理石造りの立派なエレベータホールがあり、エレベータを4基備えている。しかし、うち2基はバンケット専用となっており、客室階へ行くのは残り2基のみ。エレベータ内部も、石と木で装飾されており、このクラスのホテルとしては、十分豪華にできている。廊下を歩いていると、ところどころにズボンプレッサーが放置されていた。「なんだ、あちこちに出しっぱなしで、だらしないな」と思ったが、客室で案内を見ると、このホテルでは廊下に常備して、自由に利用できるようにしてあるとのこと。
客室は15平米と狭いながらも、内装が立派で快適だった。LANは無料。照明はとても明るく、シーリングを消灯すれば、リラックスした雰囲気もつくれる。ベッドは140センチ幅とゆとりがあるが、まくらはひとつだけ。ベッドが大きいからか、デスク以外にテーブルや椅子はないので、一服するにもデスクに向かうというのがいまひとつ。キャスター付きの椅子でぐるりと向きを変え、ベッドサイドのナイトテーブルにグラスを置いてくつろぐのが精一杯だ。バスルームはユニットながら、広めで清潔感があり、アメニティも揃っている。窓からの眺めは、夜間には見えなかったが、翌朝見ると津の市街と海が一望でき、見ごたえがあることがわかった。
朝食は1階のレストランで、ブッフェが1,000円だ。2種類の焼き魚や、大根とイカの煮物など、和食の方が充実した印象。だが、パンもさくさくといい味だった。夜はあまり宿泊客はいないのではないかと感じていたが、朝食レストランの賑わいからすると、それなりの稼働率だったことが伺える。ビジネスマンが多く、タバコをすうゲストも多い。スリッパのまま利用しているゲストも結構いた。
|