渋谷と表参道の間、青山通り沿いのビル2階にある、小さなスペイン料理店に誘われた。第一園芸の斜向かい辺りだが、やもすると見逃してしまいそうな目立たない店だが、店の中のインパクトは強烈だった。狭い空間にテーブルがひしめき合い、20名も入れば満席の店内は、スペインの酒場のように情熱的な活気にあふれている。連れはまだ誰も来ておらず、予め確保されたテーブルに座って、店の中を眺めながら待った。天井からぶら下がる、大きな生ハムの塊。塗り壁一面の書き込み。スペイン人スタッフが交わす陽気なスパニッシュ。ここは本当に東京か。そんな錯覚を感じずには居られなかった。
料理はスペイン料理の中でも、郷土料理、田舎料理に属する珍しい品々が揃い、真っ黒のソーセージやマメの料理など、個性的な料理が味わえる。ワインは種類こそ少ないが、手頃な値段で良質なものが揃う。オーナーが気の向くままに、しかし、全力で取り組む店には、熱烈なファンが多いようだ。時折始まるギターの弾き語りも雰囲気を盛り上げている。久しぶりに熱い店に出会った。いつも混むので予約は必須。時間変更や人数の変更は早めに連絡しないと取り消されることもあるとのこと。営業は夜のみ。日曜日は休業だ。
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