まだランチタイムにはちょっと早い午前11時半。予約なしで日本料理店に出向くと、予約なしで案内できるのは天ぷらカウンターと寿司カウンターのみだとのこと。平日の早い時間だというのに、190席を持つこの大きな店が満席になるほど混雑していることに驚いた。べつに特段の希望はなかったので、連れの希望を聞いて天ぷらカウンターに案内してもらった。店全体の名前は「華雲」だが、天ぷら、寿司、割烹の各専門セクションには別に店名が与えられている。天ぷらは「花ごろも」と名付けられていた。
広大な店の中にしては、とても小ぢんまりとした天ぷらのセクションは、およそ十数名も入れば一杯になってしまう。カウンターは石でできており、ホテルらしい高級感のある雰囲気だ。メニューには1,800円の手軽なランチから、昼にしては豪勢だと思われる高額なセットまで、豊富なラインナップだが、今回は控えめに3,000円の定食を注文した。
目の前で天ぷら職人が提供してくれるのは、軽やかに揚がった熱々の品々。海老は生きているものではなかったが、揚げ饅頭があったり、変わり天ぷらがあったりと、中国料理にヒントを得て、女性好みにアレンジしたという印象。最後のデザートは、色とりどりに美しく盛りあわされており、まさに女性向きだ。サービスはよく気が付いていたが、皿を下げる度に「お預かりします」と言うのが気になった。
食後にはロビーラウンジ「シーナリー」に席を移してコーヒーを飲んだ。入口で案内に当たっている係に禁煙席を希望したが、喫煙席しか空いていないという。仕方がないので、なるべく煙くない席をとリクエストしたが、案内されたのはタバコを吸っている人の隣。他にもたくさん空席があるので、なるべく空間が空いている席を指して「あちらは?」と尋ねると、無言で歩き出し、指した席を通り越してまたしても喫煙者の隣に案内する。
煙たいから少し離れたあの席がいいのだがと言うと、うんざりしたような態度を取りながらその席へ案内した。空いたイスにジャケットを置こうとしているのに、それを遮ってメニューを差し出すものだから、メニューと腕が衝突し痛い思いをさせられた。それでも悪びれることもなく、大層感じの悪い係だった。みんなこんな調子かと思いきや、他の係はみなにこやかで感じがよかった。ケーキセットは1,000円。店内には水の流れる噴水があり、インテリアはゴージャズ。しかし、BGMはダサかった。
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