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ホテル別インデックス
レストラン別インデックス

2003年7月8日

ホテルプリシード名古屋 Deluxe Single Room
楽-3 ターニングポイント
2階フロントと同じエリアにあるレストランのエントランス
翌日から始まる中部地区での公演に備え、他のメンバーよりも一日早く、一人名古屋へ前乗りした。選んだホテルはプリシード名古屋。今回は小さなホテルにしたかったので、その目的にピッタリだった。いわゆるビジネスホテルでは、ベッドが悪かったり、隣の客室の音が筒抜けだったり、その他にもゆっくりくつろげない要素が満載であることも少なくない。新しければ清潔かもしれないが、それはそれでなんだか乾いたような感じがして味気ないものだ。

たまには小さくて新しすぎないホテル、そして、くつろぐのに最低限必要な要素は満たしてくれるホテルを選んでみる。そして、少しの時間、今の自分や昔の自分と向き合ったてみる。すると、一時しんみりするのだが、その後は自分自身の蘇生力や自浄作用が活発になって、モリモリ元気が湧いてきたりするのだ。いつも最新、最高級のホテルでは人間疲れてしまう。

のぞみに乗った時から、なんとなく体が熱い感じがしていたが、名古屋に着く頃には、これはヤバいなという状態になっていた。しかし、翌日からは本番だから、気力だろうがなんだろうが、とにかく乗り切らなくてはならない。体調が優れないからといって、舞台で覇気のない様子など見せてはならないのだ。体力を計算しつつ、明日までにどうやって普段の体調に戻すかのプランを練りながら、タクシーでホテルへと向かった。名古屋の道はとても広いが、信号が多い。太い道でも、よくひっかかる。距離的にはたいしたことのないプリシードまでの道のりだが、時間的には20分以上を要した。

プリシード名古屋には正面車寄せはない。広い通りに面したエントランスがあり、その目の前でタクシーを止めてもらった。エントランスにはスターバックスがあって、そのスタバの脇をすり抜けると正面にエレベータがあった。2階のフロントまで通ずる階段もあるが、初めて訪れると、フロントの位置やそこまでの経路がわかりにくかった。2階でエレベータを降りると、婚礼の相談コーナー、レストラン&バーがあり、その隅に小ぢんまりとしたフロントカウンターが構えている。カウンターの前には、パブリックスペースとしてのソファが置かれており、ゆとりのある空間とはいえないが、用のない方は立ち止まらないでくださいと言わんばかりのビジネスホテルのロビーよりは、ずっとくつろげる雰囲気。

午後9時過ぎの到着した時は、フロントには2名の若い男性が立っていた。チェックインはスムーズで、担当した係は非常に丁寧な字を書く。ルームキーホルダーに書き入れられた客室番号や名前もきれいだった。今回はインターネット使い放題プランで予約してあった。フロントでモデムのキットを借りることになるのだが、貸し出しの際に「モデムを破損したら弁償金7万円を申し受ける」という内容の文書に署名を求められる。まぁ、確かに自分で壊したのなら、その責めを逃れようとは思わないが、コレに署名をしたが最後、初めから壊れていたとしても、自分が壊してのではないことを証明するのは容易でないから、面倒なことになりそうだなと不安がよぎった。機械はいつかは壊れる運命。7万円云々という記載は外して、単なる貸し出しに対するサインを求めるにとどめる方が、ホテルに対する信頼感は増すだろう。

リフレッシュを終えたばかりの客室は思いのほか広かった。140センチ幅のベッド、窓を向いて独立したライティングデスク、どっしりとしたアームチェアなど、室内にいる限りはシティホテルの客室と遜色ない。テレビの下のキャビネットには冷蔵庫があり、空ではなく飲み物が用意されている。こうしたファニチャーが並べられても、なおたっぷりとしたゆとりが残る。

バスルームも例外ではない。広いバスタブと刺繍を施したタオルが印象的だった。洗浄機能付き便座も備える。アメニティはシャンプーなどが壁掛けディスペンサー式で、そのほかのアイテムはカゴに並べられている。また、自由に使える男性用化粧品が置かれているが、その強い香りがバスルームにこもってしまうようだ。苦手な人にはつらいかもしれない。

驚いたのは、カランから流れ出る湯の熱いこと。だから何がいいのかと問われると困ってしまうが、カランから熱い湯がこんこんと出てくると、なんとなくうれしい。シャワーの水圧も、申し分なかった。ベッドの寝心地は悪くないのだが、枕がひとつしか備わっていないのが残念だった。枕もまたホテルのクラスを無言のうちに語ってしまう。高さを調節したり、ベッドで読み物ををするときの腰当てにしたりと、枕は最低ふたつある方が便利だ。インターネットは快適に利用できた。しかし、結構トラブルの多い会社のシステムを使っているようなので、今回問題がなかったのはラッキーだっただけかもしれない。

コンセントにあらかじめ三ツ口コネクターを設置してあり、携帯の充電やパソコンの利用で、室内のコンセントが不足することに備えているなど、ニーズにも敏感な姿勢がうかがえる。サービスもまた人間的だった。ちょっとした用事があってフロントに出向くと、「お越しいただきありがとうございます」など、心地よい一言を添えて対応してくれた。必ずしも必要でないものでも、あるとないとでは印象が随分と違うものだ。

結局、この夜は発熱がひどくなり、楽しみにしていたレストランでの食事は断念。近所のコンビニエンスストアでバナナとユンケルを入手し、熱い湯にさっと浸かってすぐに休んだ。風邪薬を飲んでしまうと、翌日にもだるさが残り、演奏に差し支えるので、本番前はつらくても薬は飲まない。翌朝も無理をせず、チェックアウトまで部屋で過ごした。

このホテルは大きなターニングポイントに差し掛かっているように見受けられた。バブル期にオープンして以来、惰性で営業し続けていたようだが、今回の滞在では、新しい価値を造り出そうと、ホテル全体が意欲に燃えている様子が伝わってきた。

ゆとりのあるシングルルーム ベッドは140センチ幅

シンプルでコンテンポラリーな額 広く使えて便利なデスク テレビの下には収納と冷蔵庫

しっかりとしたアームチェアはシティホテルクオリティ 冷蔵庫にはあらかじめ飲み物が入っている

このクラスでは広々としたバスルーム アメニティ

立派な刺繍を施したタオル 白を基調としたバスルーム

[ホテルプリシード名古屋]

Y.K.