コンサートで会いましょう
喜怒哀楽トップページへ

2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
ホテル別インデックス
レストラン別インデックス

2003年6月24日

ホテルヴィラフォンテーヌ六本木 Twin Room
哀-4 ラックレート
ロビー
ヴィラフォンテーヌは住友不動産が手がけるビジネスホテルチェーンだが、六本木の泉ガーデン内に、2002年の8月にオープンしたヴィラフォンテーヌ六本木は、チェーンの中ではひときわスタイリッシュで都会的に仕上がっており、以前から気になっていた。

ビジネスホテルなので、料金も比較的低めにおさえられているが、平日はあまり割引をしていないし、六本木だけは他よりも値段が高いので、結果的にはシティホテルの実勢価格とさほど変わらないか、やもすればより高いレートで販売されている。この日はなんとラックレートで予約をいれてしまった。今時、ラックレートなんてまずありえない。記憶をたどってみても、最後にラックレートで宿泊したのがいつだったか、結局思い出すことができなかった。

ホテルがある泉ガーデンは、地下鉄南北線の六本木一丁目駅の真上に位置し、交通の便にも恵まれている。全体がガラス張りの超高層タワーが中心になっているが、ホテル棟はそのビルの裾のあたりに寄り添うように建つ5階建てのちいさな棟だ。このホテルのクラスには似つかわしくないほど立派なエントランスを持ち、脇にはマコレストランがある。自動の回転扉を抜けると、すぐにロビーになっている。床には大理石が使われ、洒落たイスやバーカウンターのような大テーブルとハイチェアが並ぶ。天井はアールをえがき、金箔を貼ってあるなど、相当に力を入れたと見える。一見すると小型高級ホテルのロビーのようだ。

フロントには2〜3名の係がいて、皆とても感じがよかった。チェックイン時に宿泊料金を支払ったら、カードキーを受け取り、自分で荷物を持って客室へ向かう。ロビーから先は、完全に宿泊客専用のセクションとなっており、宿泊客以外が利用できる設備はまったくない。レストランはおろか、喫茶ができるラウンジさえないのだ。だが、客室へと向かう通路にもところどころソファがあったり、エレベータホールが意外に立派だったりと、パブリックスペースに関しては、ビジネスホテルの割りに気が利いた造りをしている。飲み物や軽食を扱う自動販売機や、有料だが自由に使えるコインランドリーやアイロン台が用意されたコーナーもある。

室内もモダンな家具やファブリックでコーディネートされており、真っ赤なイスがアクセントとなって、一見した雰囲気はなかなかよい。ところが、ひとつひとつをしみじみと見れば、クオリティはビジネスホテルクラスであることがわかる。寝具は羽毛風だが羽毛ではないし、トイレットペーパーの質も悪い。タオルもすべて色が黒ずみくたびれていた。チェックインして最初に部屋に入った時点ではエアコンが作動しておらず、室温が高くて不快だったことに加え、妙な薬剤のような臭いが充満していたため、視覚以外の感覚器官に与えた印象はかなり悪かった。ファブリックもまだ1年を経ていないとは思えないほど使い込まれた感があり、特にエキストラベッドにもなるソファやベッドカバーは、触れるのをあばかるほど薄汚れて見えた。

一方、優れている点としては、無料のLAN接続、オーバーナイトランドリー、ズボンプレッサーの設置などがあげられる。バスルームも広く、ツインルームの場合は220センチの天井高があり、ベイシンまわりも広々としているし、カランのデザインも洒落ている。その他、室内のミラーやライトなどのデザインもなかなか。そしてこの客室の一番の特徴は非常に細長く、うなぎの寝床風なことだ。奥行きがあるのは大変結構だが、いかにせん幅が狭く、ベッドは通路部分に大幅にはみ出しているし、デスクの後ろあたりも、一人で利用していても通りにくいほどに窮屈だ。

そして、決定的にビジネスホテルなのは、サービス面だった。すべての用向きはフロントで処理され、何を頼んでもよほどのことがない限り係が部屋に来てくれることはなく、こちらからフロントに出向かなければならない。今回の滞在中に、その「よほどのこと」が起こり、係を部屋に呼んだ。トイレが逆流して溢れそうになってしまったのだった。チェックインした時点から流れ方が普通でないような気がしていたが、通常がどうであるか把握しておらず、そのままにしていたら翌朝になって大変なことになっていた。

若い係は詫びることもなく、新しい部屋を用意しただけだった。しかも、ランクが下の狭い客室をあてがい、「こちらでお過ごしください」と平然と言う。しかも、その彼は責任者なのだそうだ。とにかく他に部屋がないようだから、仕方なくその部屋に移った。しかし、その客室は非常にタバコ臭く、バスルームの中までタバコの臭いでいっぱいだった。

窓の外には至近距離にビルがそびえ建っていて、見る価値のあるものは何も見えない。前の客室とてろくな眺めではなかったが、比べれば前の方がよほどマシだった。これで黙っていたら、差額の返金すらすることなく事を済ますつもりだったようだが、いくらビジネスホテルであろうとも、そんなことでは許されない。しかも、ヒルトンにでもインターコンチネンタルにでも泊まれる料金を取っているのだから、もう少しまともな対応ができる体制を整えてもらいたい。

朝食はロビーで無料サービスをしている。内容はごく簡単なものだが、一応卵料理や温かいスープなどもある。コーヒーは紙コップで、料理はプラスチックのトレーに載せて、みんなカウンターで黙々と食べている。そこに混じって黙々と食べてみたが、雰囲気といい、食事の内容といい、なんとなく刑務所にでも入所したような気分になった。この手のホテルは出張には便利だと思う。しかし、ホテルそのものを楽しみたいという向きには応えられない。この立派な価格も、駅から近いという立地代だと解釈した。

室内の様子 デスク回り

ベイシン バスタブ

客室フロアの一角にあるソファ ロビー前の朝食会場

[ホテルヴィラフォンテーヌ六本木]

Y.K.