2001.01.02
二重窓
東京マリオットホテル錦糸町東武 Standard Single Room
哀-2

すみだトリフォニーホールという素晴らしいコンサートホールとそごうデパートに挟まれる格好で錦糸町駅前にそびえたつ東京マリオットホテルだが、そごうが閉店してしまって人の流れがこちらに向かなくなり、なんとなく影が薄くなってしまったような気がする。正月早々だからかもしれないが、館内は恐ろしいほどに閑散としており、蛍光灯を多用した妙に明るいパブリックスペースは、最終便が飛び立ったあとの地方空港のような雰囲気だった。

このやたらな明るさと田舎臭いデザインがこのホテルを安っぽく見せる原因の一部になっており、せっかくベルマンを置いたり、しっかりとしたルームサービスを用意しても、エクセルホテル東急やセンチュリーサザンタワーよりもなお低いランクのホテルにしか見えないのは気の毒な話だ。ただの東武ホテルならいざしらず、とりあえずマリオットホテルなのだ。カテゴリー的には名古屋駅にできたマリオットと同格なのだが、とてもそうは思えない。

ハードがダメならソフトで勝負してもよさそうなものだが、従業員たちからは国際ホテルとしてのプライドを感じ取ることはできなかった。提供するサービス内容も、マリオットを冠している以上用意しなければならないということなのか、ルームサービスやランドリーサービスをはじめ、国際ホテルらしいラインナップをそろえているが、ホテルの本音はきっとそのような面倒はさっぱりと切り捨てて、もっと集約したサービスで効率化を図りたいところだろう。客層はたしかに国際的で、主に東洋系の外国人が多いようだったが、彼らもまた余計なサービスよりも低価格の方に魅力を感じるような気がする。

今回利用した客室は17階のシングルルームだ。昨晩の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ同様に、セミダブルとしても販売しているようだが、こちらはアメニティがすべてひとり分のセッティングになっていた。ベッドサイズは140×190で、天井高は250センチ。窓の幅はワイドに取られており、周辺にはあまり高い建物がないので見晴らしがいいのだが、南向きの客室は眼下に総武線の線路があるため、鉄道の音を遮断する目的で、窓の内側にもう一枚の窓を取り付けてしまった。騒音には効果が大きかったのかもしれないが、夜景派にはいとも残念な結果を生んでしまったようだ。窓に光が反射し、室内の様子が映りこんで夜景がよく見えない。

また、禁煙を指定しなかったところ、室内そのものはそれほど臭わなかったが、カーテンやベッドカバーにはかなり染み付いていて、布に近づく度にタバコのにおいを感じた。絨毯の染みも前回利用したときにもかなりのものがあって気になったが、一層塗り重ねられてプログレッシブアートのよう。電話機はベッドサイドのみで、ライティングデスクに設置されたモジュラージャックは死んでいた。また、17階とそれほどの高層階でないにもかかわらず、携帯電話の電波状態はよくなかった。

バスルームは3平米、天井高205センチのユニットバスで、壁、床ともにタイルを使用し、扉はプラスチックの軽いものを使っている。アメニティは必要最低限に絞られ、リンスインシャンプーとボディソープはポンプ式、タオルは3サイズが各1枚ずつ用意されている。トイレはウォシュレットで、バスタブのカランにはサーモスタットがついていたり、BGMが聴けるなど便利な一面もあった。閑散としていた館内だが、チェックアウトタイムの11時には行列ができていた。ロビーラウンジは3日までクローズ。商売気があまりないようだ。

明るい色調の家具とパステル調のファブリック デスクの椅子がちょっと立派

シンプルなバスルーム 夕暮れの景色

2001.10.27
格安ディナー
コーヒーショップ「フィオーレ」銀座東武ホテル
楽-2

ヤマハ銀座店でのサロンコンサートがはね、駆けつけてくれた皆さんとご一緒に近くて便利な銀座東武ホテルで食事をすることになった。店先のメニューを見て、ディナーを1,900円で提供していることに驚いた。席に着いて配られたメニューには、そのディナーの記載がなかったので、係に尋ねたところ別のプロモーションメニューを持ってきてくれた。サラダ・デザートバー、スープ、メインディッシュ、コーヒーが付いて、本当に1,900円だった。メインディッシュは、数種類から選択でき、量的には少ないが盛り付けは丁寧。サラダバーにオードブル代わりになるものも並んでいるので、そちらでおなか一杯にすれば、物足りないということもないようだ。

アイスコーヒーを注文したところ、おかわりは別料金になるとの説明があった。街場のレストラン顔負けの価格設定をする勇気は素晴らしいが、インテリアや雰囲気がいまひとつ垢抜けないところが東武のセンスの悪さ。かつては街場のレストランがホテルを模したものだが、最近は形勢が逆転しているケースも少なくない。洒落た店が集まる銀座で人々に支持されるには、研ぎ澄まされた感性か、もしくは頑なにでも貫き通す伝統のようなものが欲しいところ。残念なことに、地階のフレンチレストランは閉店し、宴会場として利用されているようだった。

Y.K.