2001.01.25
カゴ
ロイヤルパークホテル Executive Standard Room
楽-3

以前はエグゼクティブラウンジでのみで提供していたエグゼクティブフロアステイゲストの朝食が、20階「オルフェウス」で提供されるようになった。このホテルのエグゼクティブフロアはかなりの高稼働で、特に朝食時はすぐに席がいっぱいになってしまっていた。開業当時にくらべれば、レイアウトを工夫して座席数を増やしたりしてより多くのゲストを収容できるようにしたが、それでもエグゼクティブフロアそのものが拡大したので、ラウンジだけで対応するには無理があった。

ラックレートでの料金差は僅かなので、それで「オルフェウス」の充実した朝食ブッフェと、終日のラウンジ利用、フットネスの無料特典が加われば利用価値は大きい。客室は一般階とエグゼクティブフロアでの差がそれほどなく、バスローブが用意され、レターセットのロゴが金箔押しになる程度。アメニティにも大差ないがこれは一般階でもアメニティがそれなりに充実しているからだと言えるだろう。ターンダウンは全館全客室で実施しているので、エグゼクティブフロアだけのサービスではない。

また、同じエグゼクティブフロアでも15階の禁煙フロアは、もともと一般階だったものをあとからエグゼクティブフロアに変更したもので、16階以上の客室には備わっている有線放送の設備がない。室内でいろいろなBGMを聴きながらリラックスしたい場合は、16階以上をリクエストした方がいいだろう。スタンダードルームはかなりコンパクトにできており、最近の広いのが当たり前になってきたホテルライフに慣れてくると窮屈だ。しかし、10年以上を経た客室でも、大切に使い込まれてるためか、傷んだ印象はほとんどなく、むしろ温かさを感じる雰囲気がある。

ありきたりなユニット構造のバスルームは、照明を明るくしたり時計を取り付けたりと、少しでも快適に過ごせるように徐々に工夫している。最近は使用済みタオルを収納できるカゴがベイシンの下に備え付けられた。なかなかしっかりとしたカゴで、それがひとつあるだけで、随分とイメージがかわるから不思議だ。

2001.03.08
いちごロールケーキ
ロビーラウンジ「フォンテーヌ」ロイヤルパークホテル
楽-3

春とは名ばかりの寒い一日、小雪の舞う中ロイヤルパークホテル近くのホールで友人のコンサートがあった。予定より早く到着し、開演まで時間をもてあましていたので、ひとりでラウンジに一息つきにやってきた。平日夕方のラウンジはビジネスマンの姿が多く、くつろぎの中にもピリッとした空気が感じられたが、従業員はふたりきりで広いラウンジを担当しており、とても大変そうに見えた。入り口で席に案内してもらおうと待っていても即座に対応してもらえないのは、客にとってもストレスだが、働くものにとっても大きなストレスになるだろう。

慌しくともサービスは常に落ち着きがあり、ラウンジの雰囲気を損ねることがないのは見事。グランドピアノのそばのロビー全体を見渡す禁煙コーナーに案内され、スペシャルデザートの中からいちごロールケーキセット1,300円を注文した。オーソドックスなスタイルのロールケーキだが、なかなかのおいしさ。以前酸味が気になっていたアイスコーヒーは味がよくなっていたような気がする。

2001.05.20
復活
フランス料理「パラッツォ」ロイヤルパークホテル
喜-4

すみだトリフォニーホールでオペラ鑑賞をしたあと、箱崎のロイヤルパークホテルに立ち寄った。軽い夕食程度のつもりだったので、「ラバンチュール」や「シンフォニー」のメニューを見て回ったが、どれもいまひとつ気をそそられるものではなく、結局フロント横の館内電話から「パラッツオ」に電話で予約をいれ、20階に向うことになった。きちんとしたダイニングで食事をするような格好をしていなかったので少々気が引けたが、数年前から徐々に風格を失いつつあったこの店には、それほどの気遣いはもはや無用と割り切って店先に立った。

ところが、この店は見事に息を吹き返していた。この日マネージャーは不在で、アシスタントマネージャーが店を仕切っていたが、ホテルのフレンチレストランはかくあるべきというレベルの、気品とホスピタリティ溢れるサービスぶりを楽しむことができた。店内は日曜日とあって、窓際が軽く埋まる程度の落ち着きよう。席につくと、静かにキャンドルが点され、熱いオシボリがさりげなくテーブルの片隅に置かれる。それで手を拭うと、給仕が近づいて、さっとトレーを差し出し、下げていった。アペリティフが用意され、一息ついて喉を潤したところで、メニューが静かに手渡される。先程観たオペラにも増して絶妙のタイミングだった。

シェフが変わり、フランスでも少し南の地方を感じさせるメニュー構成で、コースよりもアラカルトが魅力的だった。そして、料理の名前だけからシェフの自慢料理を見抜くこともアラカルトで選ぶ楽しみのひとつ。ホタテ貝とマーシュのサラダ仕立て へーゼルナッツとトリュフのビネグレット、ランド産鴨のロースト ねずの実風味のポテト添えを注文したが、いずれも期待にたがわない見事な料理だった。

デザートにはメインディッシュが済んでからリンゴのタルトを注文したのだが、その時点であらかじめ20分近い時間を要することを告げられていた。しかし、タイミングの良さを信条とする給仕には、こちらが承知しているとは言え、その20分は耐え難く長い時間だったようで、提供されるまでの間、何度か断りを入れにやってきた。予定よりも少々早く運ばれて来たタルトは、リンゴの爽やかな酸味と歯ごたえを損ねることなく、香ばしく焼き上がった、実に印象的なデザートだった。しなやかで美しい動作のサービスは、料理を十分に引き立てている。この状態を長く保ってほしい。次回からは身だしなみを整えて訪れなくてはと思った。

2001.06.17
異変
レストラン「ラバンチュール」ロイヤルパークホテル
哀-3

以前なら、コーヒーショップ「シンフォニー」や鉄板焼「すみだ」に行列ができていても、この店は比較的空いていた。しかし、最近はいつも混雑している。手頃な料金の割に内装がしっかりとしており、カジュアルさと本格的で国際色豊かな料理が同居するスタイルが、最近のニーズに合ってきたのかもしれない。この日も混雑しており、店先に立つと見ない顔のマネージャーから15分待つよう告げられ、名前を聞かれた。ウェイティングスペース代わりのカウンターに腰掛けて待つこと15分、案内された席はど真ん中の小さな喫煙席だった。

とにかく驚いた。これがこの店のスタンダードであったのか。開業以来、一度も名前を尋ねられることなく、いつ店に行ってもぼくを知った誰かがいて、いつでも丁重に接していてくれていた。もちろん黙っていても禁煙の落ち着くコーナーを用意してくれていたし、混雑していてどうしても狭いテーブルになる場合には、断りの言葉を添えててくれていた。それらは開業以来の顔見知りならではの特別な待遇であったのかもしれない。

しかし、そのサービスの根幹にある良い仕事をしようという精神は、ぼくだけに向けられたものではなかった。サービスの人員もスタッフ個々の持つスキルも以前より確実に減少し、混雑時にはやや粗雑でいきり立った雰囲気を感じさせるようになってしまった。ご時世といえばそれまでだが、この店だけでなく同じような異変を感じさせるホテルが多くなった。

この日はベトナムの料理を楽しんだ。イカやエビがのった甘酸っぱいサラダとチキンカレー、そして謎の色鮮やかなデザートとコーヒーが付いて2,300円という手頃なランチを注文した。店先にはベトナムの雑貨などを販売するコーナーがあって面白い。欲を言えば食後はコーヒー・紅茶に加え、ベトナム産のお茶を選べるようにしてくれれば、より異国情緒を味わえるような気がする。アオザイを着てくるといろいろとサービス特典があるとのことで、アオザイガール4人組が食事に来ていた。それを遠くで眺めているだけでも、一層雰囲気が盛り上がる。

2001.07.13
空気
ロイヤルパークホテル Executive Deluxe Room
楽-3

ステーショナリー

この日からセルリアンタワー東急ホテルに宿泊するつもりで、会員になっているサミットを通じて予約を入れようと、サミットの予約センターに電話を入れた。電話口で対応する係は大変感じが良かった。ラックレートで連泊すると1泊分が無料になるバウチャーをもっていたので、それを利用したい旨を申し出ると、セルリアンタワーに予約確認をとって折り返し電話をもらうことになったが、セルリアンタワーは混雑していることを理由に利用を拒否してきたとのこと。サミットのサイトでは、そのバウチャーを利用するのと大差ない価格でまだ空室ありの表示になっていたから、それを予約するという手もあったが、拒絶されたことで宿泊意欲がそがれたので、同じサミット加盟ホテルからロイヤルパークホテルを紹介してもらった。予約はスムースに取れ、結果的にはこちらにして正解だった。

夏のエグゼクティブフロアはとても静かだった。いつも外国人ゲストで賑わっているエグゼクティブラウンジも、いつになく落ち着いでいた。予定よりかなり早く到着してしまったので、チェックインの手続きだけ済ませて食事に出かけ、清掃が終了して準備ができるのを待つことにした。

利用した客室は、17階のデラックスルーム。L字に折れたホテル棟の内側を向いており、2面並んだ窓からは、浅草方面の景観がひらけており、眼下には日本庭園と屋内プールを見下ろす。反対の隅田川方向と違って、周辺に高い建物が少ないので、意外に遠くまで見渡せる。今回の客室は、レースカーテンのいたるところが裂いたように破けていて、とても気になった。

天井高は250センチだが、室内が横広で家具も少ないので、スペースにはゆとりがあり圧迫感はない。ベッドは123×195センチで少しワイドだが、トップシーツを掛けた毛布を使用している点はスタンダードルームと同じだ。ライティングデスクがシッティングスペースに向いてしつらえられており、快適な作業が可能な環境だが、卓上には大きなファックスマシンが置かれており、作業スペースが限られて窮屈だった。必要に応じて取り付けるか、別の棚を用意した方がいいかもしれない。引出しにはちょっとしたステーショナリーを用意してあるなど、堅実路線のサービスがあちこちに見受けられ、ビジネスマンへの配慮の深さがうかがえる。

照明はベッドサイドのスイッチひとつで、ナイトランプとバスルーム以外のすべての照明を消灯することができる。これが便利なようだが、困ることもある。スタンドならそれぞれにオン・オフが可能だが、ダウンライトはこのスイッチでしかオン・オフできない。すると、ダウンライトを消してスタンドだけという照明にできず、不便に感じた。スイッチひとつで真っ暗というのは好きになれない。

バスルームは天井高230センチで、3.81平米の面積がある。決して広くはないが、とても明るく機能的で使いやすい。角がデッドになっていることや、ベイシンの天板にだけ石を用いるなど、構造的にはヒルトン東京のバスルームに似ているが、備品の点から見ても、こちらの方が一歩リードしている。アメニティは昔のゴージャズなブランドの化粧品から一転して、国内産のリンスインシャンプーや薄っぺらな石鹸など、必要最低限に集約されている。どうやらこのホテルを利用するビジネスマンたちには、しゃれたアメニティはうけなかったようだ。

最近各部屋に追加されたカゴは、このタイプの客室ではベイシンの下にオープンスペースがないため、バスルーム内には置くことができず、エントランス脇のコンソールのところに置いてあった。あれば便利なカゴかもしれないが、こんなところに置いてあるとなんだか診察室のよう。

朝食は20階のスカイラウンジ「オルフェウス」にて。オープンしたての早い時間は外国人がほとんどだ。ちょうどコーナーの出っ張りの席が空いていればラッキー。ちょっと狭いが、東京タワーや丸の内など、都心の朝の風景を独占できる。眼下の首都高を眺めながら、静けさにつつまれての朝食は格別だ。朝食内容はコンチネンタルスタイルだが、フルーツやサラダ、温野菜も充実しており、満足できる。

カクテルアワーは、数種の温・冷オードブルと、カクテル、ワインなどが自由に楽しめる。カクテルも自分で作れるというスタイルは、今も変わっていない。エグゼクティブフロアに滞在すれば、この他にフィットネスクラブや3時までのレイトチェックアウトが利用できる。過ごし方次第で、特別階に滞在したという実感が強く味わえるフロアだ。このホテルの客室には、いつも気持ちのいい空気が流れている。香りもいい。安らぎを得るための特別な設備はないが、その空気に触れるだけで、とてもリラックスできるから不思議。

シッティングスペース 入り口脇のコンソールとカゴ

シッティングスペースからベッドを見る ライティングデスクからシッティングスペースを見る

ベッドからドレッサーを見る 時計やバニティミラーが便利

洗浄機能付きトイレとバスタブ アメニティ

「シンフォニー」

今回の滞在中に4回利用した。メニューは豊富でいつも飽きさせないが、最近はこれという決定打がないように感じる。期間の短いカレーフェアでも、種類は多く具はさまざまだが肝心のカレーそのものが変化に乏しいようだ。マイルドで深い味わいのカレーだが、夏らしいパンチも欲しいところ。ピラフなどのライトミールアラカルトは、どれもものすごい分量で女性ひとりでたいらげたら拍手もの。下町のおっさんたちにはこのくらいの量がないと納得してもらえないのだとか。ブッフェは一見賑やかだが、目玉のローストビーフ以外にはこれといったものがない。以前はもっと華やかな印象だったような気がするが。

料理もさることながらサービスはもっと著しく変化した。よくなったなら結構だが、低下したと感じるケースが多かった。4度のうち3度までもが入り口で延々と待たされた。待つ間、店内からはこちらに誰ひとりとして注意を払うものはおらず、キャッシャーの係がひやひやしてこちらをうかがっていた。忙しいならなおのこと、店先には注意を払わなくてはならない。すぐに案内ができないにしても、せめてアイコンタクトくらいは送って欲しいものだ。

しかし、4度のうち1度はとても感じがよかった。古くからいる黒服が店先を守っており、同様に忙しいシチュエーションだったが、見事に滞りなくサービスを仕切っていた。高いスキルには運も味方するのかもしれない。

2001.09.16
飲茶セット
中国料理「桂花苑」ロイヤルパークホテル
喜-3

ランチタイムが終わって、ディナータイムに入る前の中途半端な時間に食事をとることになったが、土日は「ラバンチュール」や「桂花苑」が途中休憩なしで営業しているので、選択肢が多く目移りがした。その中でも魅力的だったのが、「桂花苑」の店先に出ていた飲茶セットのメニューだった。

席に案内されて、あたりを見回すと、この時間帯にしては予想外に賑わっていた。空いている席は予約席の札が立っており、ディナーに備えてセッティングされていた。一通りメニューに目を通したが、やはり飲茶セットに決め、注文を済ませた。サービスはよく気がつき、ホテルらしい折り目正しさで大変に快適だった。料理はテンポよく提供され、申し分ない。飲茶というと、点心や小皿料理を想像するが、このセットはコースメニューのような一品料理が中心になっていた。また、最後の料理はメニューによると煮込みそばとなっていたが、なぜか運ばれてきた料理は焼きそばだった。ちょっとフシギ。

Y.K.