2001.07.23
快適なビジネスホテル
ハートンホテル西梅田 Single
楽-2

窓の下には電車が走っている

最近、居心地のよいビジネスホテルが増えてきた。宴会設備をもたず、飲食施設も最低限にして、客室販売に的を絞った、いわゆる宿泊特化型ホテルが、各地で成功を収めているようだ。

ここハートンホテル西梅田もそのひとつで、大阪駅から徒歩4分の好立地という強みがありながらも、妥協のない客室づくりを実現し、出張の折にも利用しやすい手頃な価格設定をしている。シングルルームは決して広くはないが、清潔で明るい印象。しかし、客室に付帯する設備の充実振りには驚いた。440チャンネル有線放送と壁に埋め込まれたステレオスピーカー、無料で接続できるLANによるインターネット回線、午前0時までに出せば午前6時に仕上がるオーバーナイトランドリーサービス、衛星放送など、あるとうれしいものが揃っている。

ライティングデスクも思ったよりは広く使いやすかった。バスルームも客室総面積の割には広く取られており、このランクのホテルとしては申し分ない。そして、なにより客室全体に清潔感があるのが安心だ。窓は大きくないが、眺めはよかった。今回利用した客室からは、眼下にはJRの線路が見え、その向こうには新梅田シティや茶屋町方面が望め、とりわけ夜景が賑やかだった。また、ルームキーに、ICチップ入りのカードキーを採用していることも珍しい。

こうも設備が充実しているとシティホテルと差が縮まってくるような印象だが、いくら快適とはいえビジネスホテルの域というものがある。フロントなど、従業員の数は限られており、人的サービスがすべて切り捨てられているのがこの手のホテルでは常識であって、それゆえリーズナブルな価格が実現する。今回の利用目的もそうであったが、清潔なベッドとバスルームさえあれば、とりあえず満足という出張の宿として考えればこれで十分だ。しかし、シティホテルで感じる人とのふれあい感のようなものは、ほとんど感じることはできないし、日常以上の雰囲気や包まれるような安心感は生まれてこない。

人がそこにたくさん働き、深夜でも見えないところでホテルを動かしつづけていることの価値を、このリーズナブルな客室のベッドで改めて考えてみた。今までホテルに何を求めて大枚使ってきたんだろう?それをきちんと提供してくれたホテルがどれだけあったろう?それでもなお、何を期待してホテルに泊まりに行くのだろう?答えは見つからなかったが、シティホテルもビジネスホテルも、今大きく変化していることだけは確かだ。

セミダブルサイズのベッド 機能的にまとまったデスク

コンパクトながら清潔なバスルーム キュートなアメニティ

Y.K.