2001.01.06
穴場
ホテル海洋 Deluxe Twin
喜-3

窓が小さいがゆとりのある客室

JR大久保駅付近は歌舞伎町にも近く、雑然とした雰囲気が漂っている。駅と交わる道もさほど広くないが交通量は多く、両脇にはコンビニエンスストアや定食屋などがひしめきあっていて、とてもホテルがあるような街並みには見えない。そんな街のど真ん中にホテル海洋は建っている。駅前通りに面したエントランスを入ると、シャンデリアや重厚な絵画に飾り立てられたゴージャスな雰囲気のロビーが目に飛び込んでくる。右手にはちょっとした日本庭園を望む落ち着いたレストランがあり、左手には小ぢんまりとしたロビーラウンジとお土産品を扱うショップがある。このショップにはいかにも東京土産という感じの品々が並び、このホテルを主にどのような人々が利用するのかを物語っていた。

ロビーはとにかく絢爛豪華にデコレーションされ、かなり濃厚なお味に仕上がっている。もう少し控えめにすれば大正ロマンが感じられる上品なコーディネートになりそうだが、主張の強い調度品同士がケンカをしているようにも見受けられもったいなく思った。ロビー中ほどにはフロントデスクがあり、ベルアテンダントが常駐し、アシスタントマネージャーも積極的にロビーを見守っている。フロントでの手続きはさほど親しみを感じるものではなかったが、手馴れた感じで安心だった。ベルについては優秀な部類に入ると言ってよいかもしれない。

ロビーをフロントの先まで進むともうひとつのエントランスがあるが、こちらには車寄せがあり、駅から来るときに利用する入口とは反対のこちらのエントランスが正面玄関のようだ。宴会場へと続くエスカレータや客室へのエレベータのほか、ベルキャプテンデスクもこちら側に置かれている。ロビーの床は天井のシャンデリアがまぶしく反射するほど湖面のように磨き上げられ、花や観葉植物などの手入れも行き届いていた。客室へと向かうエレベータは3基で、ロビーの豪華さに目が慣れた後ではいささか質素な印象を受けた。客室階はウェスティンホテル東京やホテル阪急インターナショナルのように角柱の周囲に沿って4方向に客室が配されている。客室のエントランス床には大理石が敷かれゴージャスだが、客室扉のところで終わっているので、室内に入ってしまうとそのありがたみは感じられない。

しかし室内もまた、想像以上に贅沢だった。面積は30平米程度だが天井高は275センチもあり、天井の縁にはレリーフが施されている。絨毯やファブリックには染みなどもなく、良好な状態を保っていた。窓際の天板やテーブルも大理石でできており、バスルームも総石張りという気の入れよう。家具にはそれぞれ彫りが入っており、しっかりとしたものばかり。ベッドは123×203センチのものが2台置かれ、ゆったり眠れる。スタンドの電球は環状の蛍光灯を用いていた。

窓が小さいのは残念だが、周辺に高い建物がないので視界は開けている。新宿方面なら高層ビル群が間近に望め、ダイナミックな夜景を楽しめるだろう。二重窓なので、騒音には効果的だ夜景を楽しむにはマイナスだ。ルームサービスは朝食のみの営業。洗濯物の取り扱いは水洗いとプレスのみで、不思議なことにドライは扱っていないようだ。石張りのバスルームだが、バスタブ上に照明がないので全体的にやや暗い印象があった。BGMを聞く設備はなかったが、アメニティはやや充実しており、タオルも3サイズ用意されていた。

翌日チェックアウト時にはベルからドアマンへ荷物の引継ぎもスムースに行なわれ、都市型ホテルとして十分に機能していることが理解できた。全館に漂うセンスにドキドキしてしまうが、結構快適に過ごせるので、穴場としてオススメできるホテルだ。

家具は大変立派なもの。しかも重い! アメニティもそれなりに充実

石張りのバスルーム トイレはウォシュレット

Y.K.