2001.01.05
謎の施設、偵察
フレンチレストラン「ラ・ポワール」青葉台フォーラム
喜-1東急田園都市線青葉台駅から徒歩2分のところに青葉台フォーラムがある。レンガ造りの外壁が印象的な建物で、銀座の並木通りあたりにあっても溶け込めそうな瀟洒な雰囲気があるにもかかわらず、お隣はパチンコ屋というかわいそうな施設だ。一応42室の客室をもつ立派なホテルなのだが、青葉台フォーラムという名前だけではここがホテルだとピンと来る人は少ないのではないだろうか。東急グループの東急コミュニティーというグループ会社が運営している独自の施設なので、東急ホテルとの関連は薄いようだ。
エントランスもロンドンやニューヨークのアパートメントのように小ぢんまりとしており、ちょっと様子を覗いてみようと気軽に入れる雰囲気ではない。1階はフロントとレストランがあり、フロント前にはソファが並んでいる。このヨーロピアンスタイルの落ち着いたコーナーでは、コーヒーなどの注文も受けているので、ロビーラウンジとして機能しているようにも見える。なにしろ、勝手がわかるまではうかつな行動に出られない独特の雰囲気をもったホテルだ。
ラウンジの奥に位置するレストラン「ラ・ポワール」は60席ほどの収容数を持つフレンチレストランで、宿泊客のための朝食から営業を行なっている。通りに面しているので、外からも様子をうかがうことができるが、のぞいただけではこの店が高級なのか手頃なのか判断しにくかった。店の雰囲気はなかなか上品そうだが、お客の服装はラフだし・・・どのくらいの構えで出かけてよいものか迷い、いままで利用する機会を逃していた。
昼下がりに予約なしでフラッと立ち寄ったところ、入り口では予約の有無を尋ねられ、やはりロビーからでも予約を入れるべきだったと反省。しばらく待たされてから、入り口付近の狭いテーブルに案内された。店内は3世代のファミリーでお正月気分の延長を楽しむ光景が随所に見られ、まさに地域に根ざした施設であることが窺い知れる。メニューには豊富なランチメニューが用意され、どれも手頃な値段設定であることにおどろいた。しかもサービス料は不要。
アンダークロスが掛けられたテーブルの上には、紙のマットが敷かれ紙のナプキンがセットされているほか、デンファレの卓上花まで飾られている。ランチとしては中間クラスのラ・ポワールランチ1,800円を注文した。「今日は魚にします」というと、「両方付きます」との返事。料金から考えててっきり魚か肉をチョイスするのかと思っていた。レンズ豆と小豆を使ったクリームスープと、サーモンと帆立のポワレ、ロースポワレ胡椒風味、サラダ、デザート、パン、コーヒーとかなりの品数で1,800円だから結構お値打ちだ。
料理は肉がそもそも固い部分だったようだが、この値段では素材的に限界だろう。その他の料理は概ね素晴らしく、丁寧に調理されているようだった。サービスはさほど垢抜けた印象がないものの、郊外のコミュニティホテルとしては水準といえるもの。ただ、食後のコーヒーはおかわりをすすめてくれるでもなく、水のグラスは注ぎ足してもくれなかった。用事が済んだらさっさとお帰りくださいといわんばかりととらえられても仕方がないかもしれない。駐車場は立体式だが、フロント係が丁寧に対応してくれるので安心だ。
2001.04.08
聞き茶
老舗ひじかた園「Un The」町田
喜-4最近静かなブームを呼んでいる中国茶だが、良質な茶葉を入手するのが容易ではないし、器や入れ方などにも思い入れを持ち始めると、お茶を飲もうというたびにあれやこれやと取り出して、せっかくお茶で一息ついた後に洗い物や片付けに追われるハメになる。それでも、茶道よりは気軽に楽しめるし、紅茶よりシンプルだが深い感じがする。そんな中国茶を本格的に味わうことができ、しかも懇切丁寧に説明をしてくれる店が町田にあった。まさに灯台下暗し。
東急ハンズの斜め向かいに、歴史のある茶・茶器・茶道具の店があり、その2階が洒落たティールームになっている。2000年末に改装を終えたばかりで、老舗の茶屋でありながらモダンな店構えだ。ティールームへは、一度1階の店舗に入ってから、細い階段を上がってゆく。店内は決して広くはないが、テーブルがゆったりと配置してあって、卓上には常に湯が沸いているヤカンが置かれている。
メニューにはバラエティゆたかな日本茶、中国茶、紅茶の他、ハーブティやマテ茶もあり、特長の解説を読むだけでも楽しいものだ。注文を済ませると、おいしい飲み方を店主自ら親切に教えてくれ、毎回が実費だけで参加できる聞き茶講座のよう。添えられた蒸カステラは中華街で焼いてもらっているものだそうだが、そちらも逸品。タイミングが悪いと満席であることが多いのだが、そんな時は1階の店舗で、茶葉や茶器を見ながらひとときを待つのも悪くない。
2001.04.13
ギャグはなくても
イタリアン「ルーチェ」町田
楽-4数々の創作料理におやじギャグ的なネーミングをしながらも、味で勝負をしていた「創菜家」の店主が急に店を閉じたかと思えば、今度は急にイタリア料理店を始めた。しかも、ギャグ抜きでだ。駅からやや離れた人通りがそれほど多くない道沿いにあるのだが、店が乱立している地区でない分、探し当てるのは簡単だった。2面が大きなガラス窓になっており、外からでも店内の様子がよくわかる。日中は明るい雰囲気で、夜は気軽に賑やかに楽しむのが似合う店だ。オープン以来ここしばらく通い詰めだったのだが、いつもオリジナルのおすすめ料理があって飽きさせない。
ランチタイムはパスタかピッツァとサラダのセットが850円で、コーヒーを付けると1,000円になる。パスタはフレッシュ、ピッツァは生地から伸ばすという手間の掛け方は、ランチタイムでさえ妥協しない。パスタは季節感たっぷりで目にも鮮やかな色合いが印象的。ピッツァはボリュームに驚く人が多いようだ。一方夜のメニューはアラカルトが中心で、仲間で取り分けて食べるのがいい。一品ごとが良心的価格だし、ワインも手頃な料金で用意されているので、予算が少なくても安心だ。
連日の賑わいがオープンキッチンの活気とよくマッチしている。サービスは家庭的。表現は控えめながらも強い主張がある店だから、頑固オヤジのラーメン店のように、それを読み取った客が熱烈なファンになってゆくはず。そうすれば、地の利の悪さも克服できるだろう。専用駐車場はないが、近隣にコインパーキングが多数ある。
2001.04.28
サイさんのオススメ
中国料理「珠江飯店」横浜中華街
喜-4ぼくは、あまり中華街に出かける機会がない。数年前に弟にせがまれて訪れ、なんの知識もなく食べ放題の妙な店に入り、ふたりしてオナカを痛くしたのが中華街デビューだった。この日は初夏らしい暖かな日差しに誘われて、ニューグランドから歩いて中華街にやってきた。さすがにものすごい人でごったがえし、大通りは祭りのような活気に満ちていた。通り沿いには一口に中国料理店と言っても、それぞれに特長を打ち出した個性豊かな店が並び、その間に土産物屋や中華食材を扱う店などもある。あまりの店の数に、いったいどの店に入れば満足できるのか見当がつかずにいた。
そこで中国出身のサイさんに電話をして、オススメの店を聞いてみることにした。サイさんが薦めてくれたのは「珠江飯店」だった。オススメの店の名前はわかったが、どこにあるのかと思いきや、タイミングよくその店の目の前に立っていた。5階建ての店は、金色でひときわ目をひくファサードを持ち、午後3時近いにもかかわらず、店内からは通りに負けない活気がもれてくる。予約なしで訪れたが、幸いにもすぐに席につくことができた。レストランホールは1階と2階に分かれており、2階の席に案内された。
シャンデリアと屏風絵が印象的な1階ホールに比べて、2階はセクションが細かく分かれ、プライバシーが保たれる落ち着いた雰囲気。いずれのホールも高級ホテル並の設えだ。いくつかあるコースのうち、手軽な飲茶コースを注文した。サービスはホテルクラスで、味はホテル以上、価格はホテル以下といいことずくし。そして、ホテルではぼやけてしまってなかなか伝わってこない、厨房の熱気のようなものが、料理を介して感じられるのは、本場中国料理店ならではだ。中華街初心者のぼくにも、ちょっとだけこの街の醍醐味がわかったよな気がした。
2001.05.06
レセプション
欧風台所「ラ・パレット」中央林間
楽-4コンサート終演後のレセプションのために、レストランを借り切った。コンサートがはねてから、出演者たちは何台かの車に分乗して、20分ほどの道のりを移動した。通常は会場に近いレストランを用意するのだが、今回のイベントにはこの店の雰囲気がピッタリだと思い、敢えて選んだ。「ラパレット」に着くと、店内は立食ブッフェにふさわしいセッティングに模様替えしてあり、中央に寄せられたテーブルにはオードブルが賑やかに盛り付けられてあった。
主要メンバーの到着を待って、シャンパンで乾杯をした後、食事と歓談を楽しんだ。予想以上に参加者が多かったので、店先のテラスも開放すると、より一層雰囲気が盛り上がった。テーブルにはオードブルに引き続き、ローストビーフなどのメインディッシュが並び、その後にはデザートが出ていたようだが、ぼくはホスト役だったので、実際のところほとんど何も口にできなかったし、料理の内容もよく把握できなかった。だが、参加した皆さんがとても喜んでいたことは、その表情から十分伝わってきた。料理はやや量が少なかったが、質的には申し分なく、あえてこの店にして良かったと思う。パーティにも強い店だ。
2001.05.22
バリ風
カレー&無国籍料理「BOMA」橋本
楽-2橋本駅前にあるビブレの隣のビーズモール1階に、2000年11月にオープンしたカレー&無国籍料理の店「BOMA」は、この辺りにはかつて見られなかったタイプの店として、人気を呼んでいるようだ。ぼくの門下生が探しあてて、昼食をとりに入ったのだが、入り口からしてなかなか凝った設えで、期待できる雰囲気だった。バリの民家の門の設置される守り神「ボーマ」が店名の由来だけあって、店内にはエキゾチックなムードが感じられる。メニューも豊富で、ランチタイムはサラダとドリンク付きセ ットのほか、無料で大盛にできるサービスを行なっている。大皿にサラダと共にダイナミックに盛られたカレーはボリュームたっぷり。デザートにも工夫が見られ楽しい。
2001.06.09
夏のフォンデュ
炉伊厨「Lloyd's」橋本
楽-3橋本駅南口近くのレストラン「ロイズ」で演奏会後のねぎらい会が開かれた。演奏を終えた出演者たちはやっと緊張から開放され、この日の出来映えや反省点などを話しながら、とても和やかな時間を過ごしていた。ここはアプローチに立派な門を構え、その奥に一軒家風の店が建っているという、リゾート風の造りになっており、店内も落ち着いた雰囲気が漂っている。ホール客席はそれほど広くはなく、我々が10名以上でひとつのコーナーを占拠したので、それで店の半分が埋まってしまった。
2階にも個室を含め、1階よりも広いスペースがあるようだが、この日は利用されている様子はなかった。メニューはパスタや一品料理を中心としながら、豊富なコースメニューが用意されており、どれも至ってリーズナブルだ。ちょっと季節外れかと思いつつもチーズフォンデュのコースを注文してみた。前菜盛り合わせ、チーズフォンデュ、パスタ料理、パン、という構成で2,500円。
フォンデュのチーズはワインが効いた大人の味わい。パスタは二人につき一皿の大皿で用意され、豊富なメニューから好みのものを選ぶことができる。パンは常時焼き上げられたばかりの熱々が運ばれてくるので、それだけで満腹になってしまいそうだった。サービスの人員が少なく、相次ぐ入店に対応しきれていなかったが、物理的なこと以外に不足は感じられなかった。
2001.07.29
飲茶
中国料理「珠江飯店」横浜中華街
喜-2午後4時近く、夕食にはまだ早い中途半端な時間だったが、真夏の日曜日、横浜中華街は多くの観光客でごった返していた。人の流れを縫うようにして、一路「珠江飯店」に向かった。店内は空席が目立っていたが、直前までゲストに溢れ活気に満ちていた名残の空気が感じられた。1階のもっとも大通りよりの席に案内され、アラカルトで飲茶を楽しんだ。テーブルには、クロスの上にアクリル製のマットが敷かれ、ナプキンはない。サービスに当たる中国人は、無表情だが必要なことは、よく気が付きせっせとやってくれる。料理は10品を注文し、約9000円。苦しいくらいお腹が一杯になった。中国茶はポットサービスで200円。挿し湯のおかわりは無料。
Y.K.