2001.01.01
獅子舞
横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ Standard Double Room
楽-321世紀最初の夜は横浜で過ごすことになった。予約を入れたのが直前だったこともあり、残っていた客室は一般階のセミダブルだけだったが、ひとり滞在なのでそれで十分だった。チェックインタイムよりも少し早く到着してしまったが、このホテルはチェックインタイムの14時にならないと鍵はもらえないだろうと思い、とりあえず手続きだけ済ませ荷物を預かってもらうことにした。ところが思いがけず、すんなりと客室へ案内してくれた。
今回の客室は低層階の裏側でも仕方がないと諦めていたが、25階の海側のセミダブルルームだった。ベッドは140×205センチのサイズがあり、少々窮屈だが恋人同士で過ごすにはこの狭さがかえって都合がいいかもしれない。もちろん、ひとりには十分なベッドサイズで、アメニティなどはすべてふたり分用意されている。寝転びながら窓越しに遠くまで見渡すことが可能で、美しい夜景や空の広さをじっくりと味わうことができる。ただ、音が響きやすい構造になっているのか、特に清掃の掃除機の音が周囲から響いてきて気になった。
木目を生かしたインテリアでコーディネートされ、ファブリックはベージュ基調の落ち着いた感じ。天井高は270センチあり、窓もワイドなのでなかなか快適だ。電話機はベッドサイドにあるがライティングデスクにはなく、その代わりコンセント2口とモジュラージャックが2口用意されている。ふたつのモジュラージャックのうちFax用は直通で、電話用はゼロ発信になっており、どちらも即座に利用できるようになっていた。以前は22時から10時までという不思議な営業時間であったルームサービスだが、6:30〜10:30(土曜,日祝日は11:30)と17:30〜0:00に変更になった。深夜に営業していないのは心細いが、それほど需要がなかったのかもしれない。
一方、バスルームも広々としていて快適だ。ほぼ正方形に近いカタチをしており、4.4平米の面積と220センチの天井高がある。シャワーブースはないが、ゆったりとしたバスタブにウォシュレット付きトイレ、発信可能な電話機、天板に石を使ったベイシンなど、シングルルームとしてはかなり贅沢な造りだ。壁はタイル、床には石を用い落ち着いた雰囲気になっているが、唯一扉が安普請で足を引っ張ってしまった。BGMを聴く設備がないのも残念に感じた。
アメニティは以前のブルーハワイみたいなきれいな青色をしたシャンプーのシリーズから、ずんぐりむっくりしたボトルのシャワーブレイクシリーズに替わり、以前ビニール包装だった石鹸は紙の箱に入るようになった。箱だったものがビニールに改められるケースは多いが、その逆というのは珍しい。タオルは3サイズが各2枚ずつ用意されているが、バスローブはさすがになかった。また、ベイシン上の蛍光灯とバスタブ上のダウンライトの照明スイッチが別々に設けられており便利だった。
今回はサービスに接する機会が少なかったが、チェックイン/アウト時の対応は爽やかで感じがよかった。また、ロビーでは獅子舞のアトラクションがあり、行き交う人々が足を止めて楽しんでいた。獅子がお客ににじり寄っても、なかなかオカネを食べさせてやる気の利いた人は少なく、せっかくの縁起物もこれではあまりご利益はなさそうだ。
2001.03.25
とびら
神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ Deluxe Room
楽-3大阪市内に用事があってウェスティン大阪を予約してあったが、予約サイトの「一休」を検索したところ、神戸ベイシェラトンに魅力的なプランが出ていた。立地的には少々離れるが、料金的にも内容も満足できるオトクさに負けて、今回はお気に入りのウェスティンをキャンセルして懐かしい神戸ベイシェラトンに浮気をすることにした。
1階のエントランスに到着したとき、大きな荷物を下げ両手がふさがっていた。ドアマンはにっこりと扉に手を添えてくれたが、荷物を持とうとはしてくれなかった。このときふと噛みあわないなという感覚に襲われたが、すぐに若いベルの研修生が2名近づいてきて、まだ自信のない態度ながら「チェックインですか?」と尋ねてくれたので、そこで荷物を委ねることができた。
エントランスホールを体育館と勘違いしてはしゃいでいる子供たちを横目に、エスカレータで2階のフロントへと進み手続きを済ませた。春休みとあってパブリックスペースはどこもいつにない活気があったが、如何せん子供たちの姿が多すぎ、洗練されたインテリアとホテルマンらしい立ち居姿の従業員たちの間をチョロチョロと動き回って不協和音を奏でる様子は、さながら修学旅行生に出くわしたようだった。
賑わっているパブリックスペースに対して客室階は静かだった。シースルーエレベータで南の景色を見ながら14階の禁煙フロアに降りると、オフホワイトを基調にした空間に落ち着いた空気が流れているのが感じられる。客室の扉も枠飾りが施されしっかりしたものだ。後で気が付いたが、見た目はしっかりしていて遮音性に優れていそうなこの扉は意外にも音をよく通すらしく、廊下の音が室内によく響いていた。扉を開けるとすぐのところの通常ならクローゼットがありそうな位置に、ガラスのドレッサーとスツールが置かれている。ドレッサーの正面が鏡張りになっていて空間をより大きく見せている。その隣にはべつに姿見が掛けられいた。
入り口扉と室内の間には内扉が設けてあり、客室の居住性を高めている。人間にとって扉を開くという行為は、橋を渡ることと同様に、なにか特別な作用があるような気がする。特にスイートでは室内の扉の数が多いということも、客室の快適さに大きく関わっているようだ。このささやかな内扉の存在も、時にはプライバシーを守り、時には空間を落ち着かせる役目を果たしながら、この客室のアクセントになっている。
扉の奥には120×205センチのベッド2台、窓に向けられたライティングデスク、シッティングスペースのほかに、ユニークな家具が置かれている。この家具は中央の扉にミニバーとテレビが収納されており、両側はクローゼットになっている。スッキリしたデザインが印象的だが、上部には間接照明があって室内の雰囲気を高めている。ただ残念なのは、室内全体で引き出しがとても少ないことだ。そして、家具類はどれもキズが目立ちくたびれ気味になっている。電話機はベッドサイドとデスク両方にある。
天井高は270センチあり、比較的高い部類に入るのだが、それでも圧迫感があるのは、窓枠の上縁が天井よりもかなり低く造られているせいだろう。もうすこし窓を高くしていれば随分と印象が違ったはずだ。バスルームは6平米弱あるのだが、なぜかそれほど広く感じない。白熱色の照明だけでやや暗めなこと、大理石の色調がやや濃い目であることがその理由にあるようだ。バスタブは長さこそ内径で143センチあってロングだが、浅いことと幅がもっとも狭いところでは40センチしかないことなどから小さく感じる。大理石天板のベイシンはシングルで、アメニティなどが所狭しと並べてあるので余裕がない。110×84センチのシャワーブースは、やや幅が狭い感じがした。バスルームの扉もしっかりとしており、ゴージャスなバスタイムを過ごせる。
今回、チェックインした際、バスタブに前のゲストの垢が粉ふきイモのように白くざらざらと付着していた。その再清掃を依頼したが、目立つところ以外はあまりキレイになっていなかった。どうやら清掃のポイントをつかんでいない様子だった。サービスは概ね低姿勢ではあるが、ピントがずれたり、素っ頓狂なことを言い出したりすることがあった。それも関西人のお人柄か、どうも憎めず、最後にはお互いあはははと笑って解決してしまう。
2100円の朝食ブッフェは和洋のアイテムを取り揃えているが、内容的にはオーソドックスでポイントとなって目を引く品は特になかった。それでも、ブッフェのディスプレイはきれいに保たれており、サラダの新鮮さなどは優れている印象だった。サービスもすがすがしく朝の雰囲気にピッタリ。窓の外はコンビニや団地が目に飛び込んできて生活感丸出しなのが残念だが、大きなワンちゃんたちが人間を引き連れてお散歩しながら、お互いご挨拶している様子は眺めていて楽しかった。
1月に店内を改装したそうだが、ブッフェ台の位置やレイアウトを変更した程度で、内装などに大きな変化は見て取れなかった。食器類は宴会場で使うような金の柄が入ったあまり上品でないものや、パステルカラーでアメリカンスタイルのものが混在するようになって、統一感に欠ける。紙のマットと紙ナプキンだが、値段から考えれば妥当だろう。早い時間に出かけたので混雑もなくゆっくりと過ごすことができた。
お粥もご飯も2,000円。以前凝った器で提供されていた湯豆腐が印象に残っていたが、それはなくなったようだ。あるいは、たまたまこの日は献立が違っていたのか。いずれにしてもひとつひとつの料理に手が込んでいることは十分に感じられるが、どこか残り物のような感じを与えてしまうのは、取り合わせなのだろうか、いまひとつパッとしなかった。店内は細かくセクション分けされ、すだれをおろせば半個室になるコーナーもある。窓がないので外光は入らないが、思いのほか落ち着いており、静かな雰囲気で朝食をとることができた。
Y.K.