2000.11.04
京子さんに会いに
「京屋」多
楽-4

「あら、おにいさん、随分久しぶりじゃないの。生きてたぁ?」と、ご無沙汰して出かけると厨房からこんな調子の挨拶をしてくれるのは、店主の京子さんだ。活字だとまるでクラブのママのようだが、そんな媚びたようなニュアンスはまったくなく、学生時代の先輩に出会ったときのような親しみを感じさせてくれる。

「京屋」は多摩センター駅から町田方面に車を走らせ、尾根幹線道路にぶつかった角にあって、城をイメージしたような真っ白い外壁の店構えをしている。1階がホールの食堂になっており、2階には大小の宴会場を備え、送迎バスまで持っている大型店舗だ。1階ホールは木の切り株を贅沢に使いきのこを模したようなテーブル席と、座敷からなっており、天井も高く開放的だ。

サービスに当たるのは和服の女性たちで、旅館の仲居さん風のタッチ。自慢は新鮮なネタを使った寿司会席だが、昼夜問わず手頃な定食が各種あって、子供やお年よりを含んだ年齢層の広い食事にはうってつけの店だ。料理は奇をてらうことなど一切せず、基本に忠実、王道をまっしぐらに進む気持ちのよいもの。ごまかしの利かないオーセンティックな料理を、豪快に楽しませてくれるところがおおいに気に入っているが、そのあたりにも京子さんの心意気のようなものが大きく映し出されているような気がする。食事をしておなか一杯になるだけでなく、パワーまで与えてくれる店だ。

東京都多摩市南野3−1−1
042−339−5151
11:00〜22:00(年中無休)

Y.K.