2000.02.21
伊太利庵
クッチーナ「Sei」中野富士見町
喜-4

地下鉄丸の内線の中野富士見町駅からすぐ、商店街に面したビルの2階にある小さなイタリア料理の店「セイ」は、本格派料理をつまみに、手頃で良質なイタリア産ワインを楽しむのがよく似合う、隠れ家的な店だ。店内はいくつかのテーブルとわずかなカウンター席とのみで、いつも常連客で賑わっている。

厨房に料理人がひとり、ホールを仕切る若い給仕人ひとりの2人体制で、忙しい夜にはてんてこまいだろう。壁には黒板が掲げられ、その日のオススメがずらりと書き込まれている。グランドメニューを見るのも悪くないが、黒板を見たりカウンター越しで調理をしている料理人に直接オススメを尋ねて注文する方がいい。この日は調子に乗って、あれこれと注文をしてしまったが、どの料理にもきりっとした特徴が際立っており、とかく印象が薄くなりがちなアンティパストの盛り合わせも、すべての品に味わいがあった。

パスタの茹で具合は申し分なく、シンプルな味付けの中に力強い塩味がきいている。また、文字どおりとろけるやわらかさの牛頬の煮込みは、忘れられないおいしさだった。小さい店ながら、ドルチェの種類も豊富で、一通り味わいたいのなら、全種類を盛り合わせてくれる。料金も手頃なのがうれしい。「Sei」とはイタリア語で「6」を意味するが、この店名の由来は「6」ではなく、オーナーのお母さまの名が「せい」さんだからだとか。このあたりからもオーナーのお人柄がうかがえる。

Y.K.