1999.11.09
冷製肉料理
「ブロッシュボワ」小田急ホテルセンチュリー相模大野
哀-397年に「怒-6」を付けさせたこの店も、開業して3年が経ってそれなりに安定して来たようだ。このホテルが入居している小田急線相模大野駅ビルは開業直後から店が撤退し始め、今ではかなりお寒い状態になっているのだが、その惨状と比べればホテルは健闘していると言えなくもない。実際にこの日も、いわゆる食堂街の店は軒並み閑古鳥なのに対して、ホテル内のレストランは思いのほか賑わっていた。
予約をせずに6名で押しかけたので、もしや席がないかもしれないと半ば諦めつつエントランスに立ったのだが、スムースに席に着くことができた。卓上には巻き物状になったメニューが置かれ、持ち帰ることができるようになっている。ランチのコースは3種あって、1,800円、2,500円、3,500円だ。1,800円のコースにはデザートが付かず、500円の追加料金で提供されることになっている。全体的に女性好みの視覚的効果を狙った演出が多く、見ようによっては思い入れがあるようにも見えるが、それに中味が伴なっていないため、舞台裏が丸見えな感じがしてかえって滑稽だ。
料理の品質についても、期待に沿うものではなかった。肉料理にいたっては温かいはずのものが、完全に冷め切った状態で提供された。サービスのタイミングは一応ホテルレベルに行われているが、オードブルを食べ終わらないうちに温かいスープをテーブルの端に置いていってしまうなど、ファミレスレベルのことも平然と行われていることを考えると割高感がある。
ファミレスより優れている点としては、テーブルクロスなど食卓のセットがしっかりしていることと、パンのおかわりが自由なことくらいだろうか。サービス人のお客に対する口の利き方も妙に馴れ馴れしく、洗練されているとは言えないが、この界隈にはスペシャリティレストランが他にないことから、貴重な存在であることも確かだ。
<3周年記念スペシャルランチ>
一口のお楽しみ薪火焼きソーセージ
オードブルバリエ 秋の味覚をお届けします
シェフ特製ポタージュスープ
帆立貝のペルシャード パセリのパン粉でこんがり焼き 自家製パスタとどうぞ
または
和牛肩肉暖炉での丸焼き レフォールバターを添えて
《フランスの香り》アントルメを3品どうぞ
コーヒー又は紅茶
2,500円
1999.11.27
女子高生レスラー
第一ホテル海老名 Single Room
楽-1急な宿泊でワガママを言えず、残った客室チェックインした。さっと手続きを済ませて滑り込んだ客室は、タバコの臭いがきつく不快だったが、ルームチェンジを依頼することなくそのまま利用した。室内には必要なもの以外は一切なく余分なスペースもないが、コンパクトにまとまっているのでマイルーム的な感じがする。天井高が265センチと比較的高いのが救い。
ツインルームがマホガニー調のダークな色調でコーディネイトされているのに対し、シングルルームはライトチーク系の明るい雰囲気だ。ベッド幅は140センチあり、ベッドの両サイドにナイトランプが設けられていて、ダブルユースにも対応できるようになっているが、アームチェアはひとつしかないので二人同時にくつろぐには不便かも。
ライティングデスクには、目覚まし時計が載っているのがユニークだ。デスクの左サイドには引き出しとテレビ、右サイドには冷蔵庫とポットなどが置かれている。冷蔵庫内には以前ミニバーの用意があったが、今年の3月から廃止されて持ち込み専用となり、同時に1階フロント脇に自販機コーナーが設置されるようになったとの印刷物が置かれていた。ミニバーがないくらいだからルームサービスもない。
ライティングデスクの前には鏡があることが多いが、この客室では額縁が掛かっているだけだ。額縁を見ながらでは化粧ができないだろうから、女性にとっては不便だと思う。バスルームは狭いながら清潔に清掃されていて気持ちがいい。カランが細いので水圧は高いが実際にバスタブに湯が張れるまでには5分以上を要した。シャワーの勢いはゴキゲンなほどだ。トイレは洗浄式になっている。タオルは2サイズのみ。アメニティは標準的な品揃えの他に、大き目のスケルトンブラシ、入浴剤やボディソープなどが用意されており、それぞれ2名分あった。
気になったのは、バスルームの照明が白熱色の蛍光燈を使用しているため、点灯後すぐには明るくならないことだ。また、週末は客層が悪く、深夜にもかかわらず高校生と思われる女性のけたたましい声や、プロレスでもやっているのかというほどの騒音などに、安眠を妨げられることを覚悟しなくてはならない。それでも、密室という言葉がピッタリの閉塞感が意外にも新鮮に思え、中途半端に広いよりもこの狭さは結構好きかもしれないなどと考えながらの楽しいステイだった。
開業当初は力作だと感心したロビーなどのパブリックスペースも、徐々にデザイン性が崩壊しつつあり、無粋なプラスチック案内板やべたべたと掲示されたポスターなどが、田舎ホテル丸出しの状態だ。
館内には「アルエット」という洋食のレストランがあるのだが、朝食は日本料理「四季」のみで提供している。コーヒーショップで和朝食も用意しているというケースはよくあるが、その逆のパターンというのは珍しい。面白そうだからアメリカンブレックファストを注文してみようかとも思ったが、餅は餅屋、やはり和朝食にした。
定番のご飯か粥かの選択をするのだが、1,700円の価格にしては満足度の高い料理が提供された。さすが日本料理店だけあって盛り付けも美しく、みなとみらいや舞浜などで3,000円近い価格で食べるルームサービスの和朝食よりも格段に上質だった。
近くのテーブルで、アメリカンブレックファストを注文しているカップルを見かけたが、まったく違和感がないばかりか、そのコーヒーの香りにつられて和朝食の客がコーヒーを追加注文する姿も見受けられた。サービス人員が不足気味で、入口での出迎えや見送りがほとんど出来ていなかったり、朝から少々忙しない働きぶりを見なければならないのが残念だった。
1999.11.28
追加バスタオル
小田急ホテルセンチュリー相模大野 Deluxe Twin
哀-2ホテル客室の価格破壊が進み、高級シティホテルでさえ1室1万円台で販売することが少なくないご時勢だというのに、この界隈のホテルは比較的高いレートで販売をしている。もちろん、内容と価格が見合っていさえすれば文句のつけようがないのだが、ビジネスホテル程度のサービス内容とレベルを考えると、やはり高いという印象が残った。各種の割引を利用すれば、同じ料金で横浜のインターコンチネンタルやシェラトンにも泊まれると思うと尚更だ。
郊外のコミュニティ型ホテルは、目と鼻の先にライバルがあって競争が生じるというケースが少ないし、他のホテルの顔色を見ることにも慣れていない。また、刻々と変化するホテルサービスの水準が、今どこにあって、ある料金でどこまでを提供しなければ通用しないかといった、スタンダードの概念が欠けているように思う。それでもお客は来るのだからと言われてしまえばそれまでだが。
この日は、急に1名での利用を申し込んだが、シングルルーム、ダブルルーム共に満室で、ツインのシングルユースのみに空きがあり、せっかくなのでデラックスツインを予約した。7階にあるフロントに着くと、カウンターには3名のスタッフが立っていた。全121室というホテルの規模に比べると十分な人員が配されており安心感がある。
当日の予約であるにもかかわらず、デポジットの要求は一切なく、すぐにルームキーを手渡してくれた。その際、客室までのルートを案内してはくれたが、同じタイミングでチェックインをしていた大荷物を抱えた外国人の手伝いもしていなかったところを見ると、ベルサービスは行っていないようだった。
客室に向かうエレベータは2基で、地下駐車場から最上階まで連絡しているが、フロントのある7階に必ず停止するようになっている。客室階でエレベータを降りると、すぐ脇に製氷機とドリンクの自動販売機が設置されている。
客室のドアを開けるとすぐに、ルームキーを置くボックスがあって、そこにルームキーを乗せている間、室内の照明が点灯する仕組みだ。客室全体は30平米に満たない小ぢんまりとした空間だが、270センチの高い天井と、壁面いっぱいに取られた大きな窓(幅4メートル80センチ、高さ2メートル)のお陰で、非常に開放的な空間になっており、実際の床面積よりも広々とした印象を受ける。
一般客室の窓は客室最奥部の細い縦長窓のみなので、このワイドな窓の存在は大きな魅力だ。しかも、この窓の上部には調光可能な4つのダウンライトがあり、アップダウン式のレーススクリーン、ドレープ共に電動式になっている。この大きな窓から風光明媚な景観でも望めればなんとも素晴らしいのだが、実際は駅前の喧騒や駅ビルの屋上が見える他、目の前にある岡田屋モアーズのパチンコ屋並みに賑やかなネオンサインが痛いほど目に入る。それに慣れてくると、遠くの夜景に目が行くようになるので、積極的に楽しもうと思って眺めたほうがいいかもしれない。
ベッドは120センチ幅が2台で、ナイトパネルではエアコン、照明、カーテンなどの操作も出来るようになっている。奥の窓際には3面鏡が付いたドレッサーが置かれており、自然光のもとでメイクアップが出来る。このドレッサーがライティングデスクも兼ねているようだが、仕事をするにはスペースが狭すぎるように感じた。このドレッサーの椅子も、帝国ホテル風に斜に構えてセットされていた。
奥の窓の右側には冷蔵庫があるが、このホテルでもミニバーを廃止してしまって空っぽ。湯沸かしポットは他ではなかなか見られないほど大型で、セットしてある茶碗やグラスは、なかなかのものだ。テレビはワイド型で、その下には有線放送のチューナーが設置されている。室内の清掃状況は良好で、パンパシフィックホテル横浜などとは比較にならないほど優秀だ。
バスルームはコンパクトなユニット型で、デラックスと名の付く客室にしては手狭な感じがする。ただ天井高が230センチと高いことが救いだ。バスタブはやや小ぶりだが、湯を張るにはかなりの時間を要する。シャワーの水圧は申し分なく、トイレは洗浄式だ。タオルには刺繍まで入れてある凝りようだが、エキストラのタオルを依頼すると「客室にセットしてあるはずですが」と言って渋り、部屋に届けたときも「バスルームにはありませんでしたか」としつこく尋ねてくるのが鬱陶しかった。
2サイズのタオルとは別にボディスクラブタオルも用意されている。アメニティは、かわいらしいビニールの巾着袋に入って置かれているのだが、中味はチープで必要最低限と、何の遊び心もない。全体的に、ちょっとアップグレードなビジネスホテルというレベルで、もう1割ほど安い料金設定で妥当だろうかという気がした。
Y.K.